中国側の評価と期待は高い

石破政権の誕生 その対中外交政策はいかに?

福井県立大学名誉教授 凌 星光

 中国のネット世論では、石破茂氏は平和憲法改正論者のタカ派国防族、中国にとっての「敵対的存在」と見られている。ところが、10月10日、ラオスでの石破・李強会談で、李総理は「私たちが大きな関心を持っている所信表明演説の中で、中国との戦略的互恵関係を引き続き推進し、と述べたことを、中国は高く評価している」と語った。これは一般の予想を上回る評価と期待を表している。 続きを読む


「運をつかんだ」 石破新総理に期待する

最大の課題は「台湾有事は日本有事」にさせないこと

元自民党副総裁・山崎 拓 氏 語る

 自民党総裁選挙は紆余曲折がありましたが石破茂さんが逆転勝利しました。小泉純一郎元総理が「息子は出さない」と言ったのは、3月7日と5月14日でした。もしそうであれば、石破さんの勝利はかなり堅いというふうに判断した時期もありました。しかし実際には小泉進次郎さんが出馬したために、大混戦になったという経過なんですね。 続きを読む


日米共同統合演習

「キーン・ソード25」に対する中止要求声明

戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク(準備会)

 【編集部】「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク(準備会)」は10月21日、「日米共同統合演習『キーン・ソード25』に対する中止要求声明」を発表しました。
 この演習は文字どおり、日米の「対中戦争シナリオ」のリアルな実戦訓練です。このような軍事演習はほぼ通年のように全国各地で展開されています。しかし、今回は規模も戦争準備へのレベルもかつてないものとなっています。「声明」でその一端を知ることができ、さらに声明は、政府に対し、「『中国―アジア』への姿勢の歴史的大転換を!」主張しています。ここは非常に重要な視点と考えます。
 本誌10月号で新垣邦雄さんが報告してくれているように「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」は、沖縄・奄美に続いて九州・西日本で急ピッチに進む軍事拠点化に対して、各地・各団体・各個人がつながり合い、連携・連帯して、共同の闘いによって戦争準備を打ち破ろうという新たな運動です。

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総選挙 自民党史上最悪の敗北

半壊状態の自公政権を引きずる役割の石破茂

ジャーナリスト 高野 孟

 自民党単独で解散時勢力256から65も減らし、過半数233を42も下回る191議席。自公の与党合計ですら過半数に18も足りないという大惨敗で、普通なら石破茂首相は即刻辞任して然るべきである。ところが、石破は9月27日に自民党総裁に選ばれて、早ければ早いほど有利だろうという党利党略以外に何の理由もなく、したがって国民にとっては意味がないどころか迷惑千万でしかない解散・総選挙に、最短期間でバタバタと持ち込んで、勝手にこけたわけなので、ここで惨敗したからといって今さら辞めるとは言い出せない。すでに半壊状態に陥った自公政権という荷車を引きずって行くしかないのである。 続きを読む


加速する米日両国の「対中国戦争準備」策動

「台湾は中国の一部」原則を堅持すれば危機は避けられる

『日本の進路』編集部

 日米共同統合演習「キーン・ソード25」が10月23日から11月1日まで、沖縄・奄美を中心に北海道まで全国で展開された。「仮想敵」は中国である。直前の14日には、中国人民解放軍が「『台湾独立』勢力に対する強力な懲罰だ」と台湾沖で大規模演習をした。
 マスコミは、キーン・ソードについてはほとんど取り上げず中国軍の演習だけを大々的に報道し、反中国世論を煽っている。 続きを読む


長崎被爆体験者訴訟で「一部勝訴」

今も続く被爆の痛み

一刻も早い政治解決を望む

全国被爆二世団体連絡協議会・特別顧問 平野 伸人

 

不合理な被爆地の決め方

 「被爆体験者」問題がどういうものかということを簡単にお話しします。長崎の被爆地は細長いんですね。放射線の影響とか関係なく、昔の長崎市(地図のピンク色)であったところが被爆地にまず指定されました。その後、西彼杵郡の2地域(地図の青色)が長崎市に入ったりし、多少の是正はされたんですけれども。このように行政区域によって被爆地域が決められたことがそもそも不合理であり、問題の根本はここにあります。 続きを読む


激増する大規模災害 求められる万全の対策

問われる市町村の災害対策への姿勢

求められる深刻な自治体間格差解消

弁護士(南山法律事務所) 小口 幸人

 

 

 私は東日本大震災が発生した際、岩手県宮古市という被災地にいました。それから13年間、日本弁護士連合会災害復興支援委員会に所属し、被災者の復興支援に携わり続けています。 続きを読む


「コメ不足」「バター不足」を猛暑のせいにするな

農家を苦しめる政策が根本原因

問題の大本には米国からの度重なる圧力

東京大学大学院特任教授 鈴木 宣弘

 

 

 過剰、過剰と言われたコメが、突如足りないと言われ始め、急速にコメ不足が顕在化した。これからは新米が市場に出回るので、当面、需給逼迫感は緩和されると見込まれるが、長期的には、政策の失敗の是正をしないと、コメ不足が頻繁に起こりかねない。
 いろいろな要因で今回のコメ不足は顕在化したが、根底には、稲作農家の平均所得が1万円(時給にすると10円)というような事態に追い込んでいる「今だけ、金だけ、自分だけ」の「3だけ主義」の取引とコスト高に対応できない政策の欠陥がある。 続きを読む


9/6 最高裁要請行動・東京集会

陸自南西シフト

石垣だけでなく全国の問題だ

石垣市住民投票を求める会

左から原告の川満、金城、宮良さんと大井弁護士(9月6日、東京)

 石垣市・中山義隆市長は2015年、陸上自衛隊配備受け入れを表明。「住民投票を求める会」(金城龍太郎代表)は18年10月末、配備計画の賛否を住民投票で問う署名を約1カ月で規定を超えて集め条例制定を請求した。しかし、19年2月、市議会は条例案を否決した。
 「求める会」は19年9月、市に住民投票の実施義務付けを請求する訴えを起こしたが那覇地裁は請求を棄却した。「求める会」は直ちに控訴したが福岡高裁も訴えを退け、今回、最高裁上告に踏み切った。
 23年3月、住民投票は実施されないまま陸自石垣駐屯地が開設された。 続きを読む


「知り・つながり・とめる」合言葉に

私たち市民は連帯して「国家のための戦争」を阻止する

ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会事務局長 新垣 邦雄

8月11日の「戦争準備NO!」集会で司会を務めた新垣邦雄さん(壇上左端)

 岸田政権下、「台湾有事」を口実に全国で自衛隊の基地強化・拡大の動きが強まっている。こうしたなか8月、沖縄で「戦争準備NO!」をスローガンに西日本を中心に全国各地から基地強化・拡大に反対する住民団体が一堂に結集した集会が開催された。9月には自衛隊が大規模な「防衛複合拠点」の開設などを計画している広島県呉市で「戦争止めよう西日本連帯交流会」が開かれた。すでに「沖縄・九州・西日本ネットワーク」(仮称)の発足も決まっている。こうした取り組みを中心的に担っている新垣邦雄氏に聞いた。 続きを読む


[新しい日本をめざす] 金権腐敗の自民党政治を終わらせる時

もはや暮らしも平和もこの国は持続不可能だ

『日本の進路』編集長 山本 正治

 主食のコメもない、灼熱の夏。大地震警告の列島。東アジアの戦争を阻止できるのか。文字通り国民の生活・生命とわが国の存立に関わる重大局面である。
 立憲民主党代表選、自民党総裁選(本稿執筆時点では結果はまだだが)を経て、どの時期になるかは別に衆院解散総選挙である。しかし残念ながらこうした深刻な危機、重大な課題は争点になっていない。自民党では自らの金権腐敗、裏金問題には触れない。両党とも、中国脅威の誇張と日米同盟強化、軍拡主張の競い合いだけが目立つ。
 重大局面にある日本の課題を直視し、持続可能な国へと打開の闘いが求められる。政治を変える壮大な闘いが必要だ。 続きを読む


[新しい日本をめざす] 若者気候訴訟

明日を生きるための若者気候訴訟(略称:若者気候訴訟)

全国16人の若者が火力発電事業者にCO2排出削減を求めて提訴

2024年8月6日 若者気候訴訟弁護団

 全国の若者16人が8月6日、火力発電を展開する10社を相手に、二酸化炭素の排出削減を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。このテーマで若者だけが原告になる訴訟は国内初。

 本日、北海道から九州までの全国各地で暮らしている16人の若者が、株式会社JERAなど火力発電事業者10社に対し、科学が求める水準に基づいてCO2排出の差し止めを求める訴訟を名古屋地方裁判所に提起しました。原告たちと全国の若者が明日を生きるために、地球の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるためには、被告ら日本の主要電力事業者は、2030年代にも脱炭素を実現する必要があります。少なくとも、科学が必要とする排出削減を実行することを求める訴訟です。

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[新しい日本をめざす] 新外交イニシアティブ(ND)■ 政策提言発表

「政権交代にむけて―求められる安全保障政策―」

猿田佐世新外交イニシアティブ代表

 

 

 新外交イニシアティブ(猿田佐世代表)は8月24日、「政権交代にむけて―求められる安全保障政策―」との政策提言を発表した。執筆者は、柳澤協二(元内閣官房副長官補)、マイク・モチヅキ(ジョージ・ワシントン大学准教授)、半田滋(防衛ジャーナリスト/元東京新聞論説兼編集委員)、佐道明広(中京大学国際学部教授)、猿田佐世(ND代表/弁護士)である。以下要旨を紹介する。

(全文は https://www.nd-initiative.org/research/12724/続きを読む