沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム ■朴 相鉄

東アジアに3つのメガFTA
IPEFの台頭で紛争のリスク

韓国ポリテク大学教授 朴 相鉄

 

 

 私は今スウェーデンにおります。戦争が行われているウクライナまで1500キロしかありません。ここにはウクライナから避難してきた難民の方々がたくさんいます。戦争はどのような形態であれ、人間性を抹殺します。ですから私たちはいかなる戦争もやってはいけない、反対しなくてはいけないということです。
 そういった側面から、沖縄において現在推進しようとしている「平和のハブ」は、非常に素晴らしいことだと思います。先に発表なさった皆さまのお話のように、東アジアにおいてもいかなる戦争も起きてはいけない。沖縄の平和がこれからも続くことを祈ります。
 併せて、このシンポジウムに招待してくださいました関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム ■楊 伯江

日米同盟と中国との対立の最前線になるか、
アジアの平和と協力のハブになるか

中国社会科学院日本研究所所長 楊 伯江教授

 

 

 今日のテーマは、「沖縄は平和協力のハブになるか大陸対抗のフロントになるか」です。
 中国では沖縄と聞くと琉球を思い起こします。万国津梁の地とされて中国と緊密な関係を築いていました。北には九州と朝鮮半島、南西には中国の福建省、南には東南アジア諸国。貿易の中継地として東アジアの海上貿易において重要な役割を果たしていました。その時代は、琉球王国の大航海時代とも呼ばれています。琉球と中国の関係は、相互依存であり、切っても切り離せない関係です。この時代は、沖縄の歴史において重要なページであるだけではなく東アジア貿易システム、地域の平和と協力の歴史においても重要な部分でもあります。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム ■羽場 久美子

■基調の問題提起 ― 沖縄をハブとし東アジアの平和ネットワークを作る

青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

 

 皆さんこんにちは。羽場久美子でございます。
 「沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム」という場で、まさにその沖縄をハブとし東アジアの平和ネットワークをつくる、中国や近隣国とは戦争しないという立場から、報告をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム ■鳩山 友紀夫

相互尊重・相互理解・相互扶助 東アジアの共同体を 相違乗り越えるのが外交の本筋

鳩山 友紀夫

 

 

 お集まりの皆さん、こんにちは。鳩山友紀夫でございます。今回はお招きを賜りまして、ありがとうございました。先ほど主催者の山本さんからご提案がありましたが、全面的に賛成申し上げます。
 私が着ているこの「かりゆし」は、先月私が訪沖の際に自分で染め上げた藍染めで、とても気に入っています。
 さて現在の世界を見れば、残念ながらさまざまな危機に瀕しております。気候変動やコロナの蔓延も、そして、平和という視点、安全保障の面から見ても、世界的な危機が目の前に横たわっているという話から申し上げます。そして、その解決のために私が従来申し上げている東アジア共同体という構想とその実現に向けて努力をすることがとても意義のあることではないかということを、私なりに申し上げたいと思っております。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム

沖縄会場と日本全国、中国、韓国を結んで開催。
恒常化を確認 

■8月7日、那覇市

 

 「沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム」が8月7日午後、沖縄県那覇市の自治会館ホールで開催された。同時に、オンライン配信され、日本全国と韓国や中国でも視聴された。日本と沖縄、中国、韓国の専門家らが登壇し沖縄を軸とした平和構築の課題について提起、議論した。シンポジウムは、自主・平和・民主のための広範な国民連合が提唱、主幹し、実行委員会が主催した。

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「軍拡」が最重要課題の第2次岸田改造内閣発足

アジアの平和と国民の命・暮らしを守る国民運動を

『日本の進路』編集部

 第2次岸田改造内閣が8月10日、発足した。首相は記者会見で、「防衛力の抜本的強化が最重要課題」と述べた。
 感染症の爆発的蔓延、急激な物価高、低迷する経済。命と暮らし、経済を守ることが最重要課題だ。防衛力強化では平和は守れない。近隣国を「敵」にしない外交も喫緊の課題。
 新内閣も、「旧統一教会」との関係が次々露呈。ましてや、「安倍路線の継承」はあってはならない。
 「アジアの平和と国民の命を守る」国民的闘いが急がれる。

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[ウクライナ戦争と日本]東郷 和彦

中長期的視野を忘れた岸田外交

静岡県立大学グローバル地域センター客員教授 元駐オランダ大使
東郷 和彦

ウクライナ停戦を実現するためには

 戦争というのは、太平洋戦争もそうでしたが、一度始めてしまうと終わらせるのは本当に難しい。始めてしまった以上は、自分が完全に負けるということで手を挙げることは、どちらもよほどのことがないとできないし、やらないです。日本も太平洋戦争の時、ミッドウェーから戦況がひっくり返り、最終的に終戦にいくのに3年かかりました。しかもやめる時に、「国体の護持」ができないのだったら最後まで戦って皆死んでもいいと。この時の日本人のメンタリティーは一体何だったのか、非常に重い問いをいまだに抱えています。だから、やめるというのは本当に大変なことだともいえます。 続きを読む


参議院議員選挙に際し提案する

食料安保と自給率アップのために

宍粟市議会議員 今井 和夫

 

 どこの政党も一応、食料安保を言っています。自給率アップも一応口先だけでは言っています。
 でも、本当にアップしたいと思っているとは思えません。
 ホントに自給率を取り戻すのは簡単です。農家の生活が成り立つようにすればいいだけのことです。例えば、田舎において「公務員になる」ことに反対する親や本人はあまりいないでしょう。農家を公務員並みの所得環境にすれば、ほとんどの者は農家になりたがります。「並みの」というより、農業担当の公務員として採用すればいい。

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進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」

台湾有事 軍事強化と戦う住民

 

 

 

 

「沖縄の基地が使用不能になった場合に備える」とは?

沖縄だけでなく、九州各県をはじめ全国の自衛隊で、米軍で、対中国の戦争準備態勢強化が急である。
鹿児島県から関東まで、各地からレポートしてもらった。築城基地強化では、防衛省は「武力攻撃を受け、沖縄の基地が使用不能になった場合」と言う。その時、沖縄はどうなっているのか? ゾッとする動きである。(編集部)

 

◇ 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」(各地レポート)

1 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

鹿児島

鹿児島での軍事基地化の動き
強引に進む馬毛島基地計画
鹿児島県議会議員 上山 貞茂

2 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

宮崎県

自衛隊新田原基地(宮崎県)
F35Bを20機配備、米軍用弾薬庫も
宮崎市議会議員 中川 義行

3 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

佐世保市

自衛隊水陸機動団強化(佐世保市)
訓練に反対し漁民や住民が声を上げる
広範な国民連合・長崎 代表世話人 中村 住代

4 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

福岡県

自衛隊築城基地(福岡県)
「沖縄の基地が武力攻撃で使用不能になった場合」にと急ピッチで進む米軍基地化
平和といのちをみつめる会代表 渡辺 ひろ子

5 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

山口県

極東最大の岩国基地(山口県)
連日の訓練、機能強化が進む
岩国市議会議員 姫野 敦子

6 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

京丹後市

米軍Xバンドレーダー基地(京丹後市)
目的は「米国本土防衛」、犠牲は日本に
京丹後市議会議員・米軍基地建設を憂う宇川有志の会 永井 友昭

7 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

横須賀・厚木

横須賀と厚木――大きく変わる基地の使い方
木元 茂夫(神奈川県を中心に反戦・反基地運動に参加)

8 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

米軍横田基地

米軍横田基地
進む実戦訓練基地化
横田・基地被害をなくす会 代表 大澤 豊

食料自給、地消地産、食料安全保障確立へ

安全な食・地元産学校給食の先駆け、喜多方市を訪ねて

広範な国民連合事務局 川崎 正

 食料自給率37%、日本の農業・食料は危機的状況。会津地方の5市町村が合併した喜多方市は、学校給食の地元産化に取り組んでいる。30年前から「安全な地場産食材を活用した学校給食」に取り組んできた「熱塩加納型給食」。喜多方市を訪ね関係者にお話を伺った。

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コロナ禍で一段悪化の沖縄県子どもの貧困

「ざる経済」の沖縄は基地の重圧下で困難に

沖縄県議会議員 当山 勝利

 

 「3人に1人の子どもが貧困である」という全国の約2倍の高さの調査結果に、行政をはじめ沖縄県民は衝撃を受けた。約6年前のことである。
 当時、子どもの貧困率を調べていた都道府県は全国の中で1県しかなく、翁長雄志県政下の沖縄県のみだった。全国平均の貧困率は16・3%、それに対し沖縄県は29・9%であった。県は「沖縄県子どもの貧困対策計画」を策定し、基金30億円をつくり、さらに「沖縄子ども未来会議」を発足させて行政と民間団体とが一体的に子どもの貧困問題解決に向けた体制がつくられた。

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ウクライナ戦争の教訓に学ぶ

日本は、「緩衝国家」として「人権大国」になれ

アフガン戦争などで『紛争処理』に関わった 伊勢崎 賢治 教授に聞く

 

 

 

一刻も早く「停戦」を

 「戦争反対」や「反戦」というスローガンは非常にミスリードされやすいものになっている。「ロシアによる侵略に反対」に僕も異論はないが、それはウクライナに大量の武器供与をしている米国・NATOの陣営と、「ウクライナのようにならないために抑止力が必要」と日本の軍備を倍増し日米同盟を強化したい陣営に、巧妙に取り込まれる。

 日本の護憲派も「反戦」を叫ぶが、それはウクライナに「もっと戦え」と言っているのと同じだと気がつかない。そして、「プーチンは独裁者」には僕も異論はないが、紛争当事者の片一方だけを「悪魔化」し、第一次、第二次世界大戦のように、相手が滅ぶまで完全勝利を目指す戦争に参戦していることに気がつかない。

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日中国交正常化50周年  東アジアの平和と共生を

中国封じ込めでなく、共同発展を

神奈川大学教授、青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

 

 

 

本稿は、羽場久美子先生の「日中国交正常化50周年記念、東アジアの平和と共生を求める」講演会(5月29日、横浜)での講演の一部。ウクライナ戦争をどう見るかなど豊富な論点が述べられたが、先生がこれまですでに本誌で触れられている点については割愛した。見出しともに文責編集部。

 

 日中国交正常化50周年でありながら、今、日中両国が大変な緊張関係にあります。その背景にアメリカの東アジア戦略が大きく関わっています。バイデン大統領はなぜ日中の協力関係にくさびを打ち込むのでしょうか。QuadやAUKUSというアメリカの軍事同盟が着々と東アジアにつくられている今、いかに東アジアの平和と共生をつくっていくべきか、を考えていきたいと思います。

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進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 横田基地

米軍横田基地
進む実戦訓練基地化

横田・基地被害をなくす会 代表 大澤 豊

 横田基地では最近、次々と新たな課題が増えている。5月に「Beverly Morning22-01」という名前の訓練が行われ、米軍三沢基地の戦闘機F16が12機飛来。迅速機敏戦闘展開(ACE)と重大事故即応演習(MARE)が行われた。早朝から夜間という時間帯に複数機で同時に離発着し、基地周辺だけではなく遠隔地にまでも轟音が鳴り響き、基地から離れて生活している私自身も驚いた。訓練のために三沢基地所属のパイロットや整備士など150人が参加し、期間中は横田基地に滞在した。また訓練名に22-01という番号が振り付けられていて、次の22-02もあるかもしれないと思わされた。

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