課題・言葉一覧

TSMC進出で問題噴出

農林水産業を基礎に、
熊本の持続可能な将来をめざそう

広範な国民連合・熊本事務局 渡邉 浩

 

 

 

 

 

 TSMC(台湾積体電路製造)が進出したのは、熊本市に隣接する人口4万5千人の菊陽町である。かつては、農業を中心にベッドタウンとして発展してきた町だが、1988年にセミコンテクノパークが造られ、ソニーや東京エレクトロンが進出し、半導体関連の工場が集まり、県内では数少ない人口が増えている町である。そこに、巨大なTSMCが来て、地域は激変している。 続きを読む


食料自給議員連盟を全国に

学校給食を核にした「地消地産」へ一歩

いちき串木野市議会議員 吉留 良三

 

 

 政府は25年ぶりに食料・農業・農村基本法を見直しました。「強い農業」を目指したはずが、資材高騰や気候変動等で、農畜産業は危機的です。わずか38%に低迷する食料自給率を引き上げ、農家所得確保につながる方策を期待したが、変わりませんでした。 続きを読む


新型コロナ感染症の5類移行

医療提供体制・公衆衛生の課題

鹿児島大学教授 伊藤 周平

 

 

 

 

1 問題の所在―検証されない新型コロナ感染症の5類移行後

 3年余りに及ぶ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのもと、感染拡大地域では、入院できる病床や医療従事者の不足で、多くの感染者が入院できず「自宅放置」となり、高齢者施設の高齢者や精神科病院の精神障害者は施設に留め置かれ、必要な医療を受けることができないまま亡くなった(詳しくは、横山壽一・井上ひろみ・中村暁・松本隆浩『コロナ「留め置き死」』旬報社、24年参照)。医療が提供されず、本来であれば救える命が救えない「医療崩壊」が生じ、高齢を理由に人工呼吸器の利用を拒否される、認知症や精神疾患のある患者の入院が対応困難との理由で忌避されるなど、とくに高齢者や障害者について入院治療の優先順位が低位に置かれる医療差別(「いのちの選別」)がさまざまな場面でみられた。 続きを読む


79年目の熱く歴史的な被爆地ナガサキ 山口 雪乃

被爆79年に寄せる思い

KNOW NUKES TOKYO 山口 雪乃

 

 

 3200人。今年8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典にて奉安された死没者名簿のお名前の数です。私は毎年9日は、朝から夕方まで市内で開催されている平和に関連するさまざまなイベントを巡り慌ただしく予定を終えると、夜は自宅で平和祈念式典の録画配信を視聴しながら心を静かにする時間を持ちます。今年の式典も、長崎市長による平和宣言や被爆者代表の平和への誓いなど、心が震える場面が多くありました。その中でも個人的にとりわけ印象深かったのが、原爆死没者名簿の奉安です。今年の名簿には自分の祖父の名前もその一人に加えられ、「被爆者がいなくなる」という事実をあらためて突きつけられた思いがしました。 続きを読む


79年目の熱く歴史的な被爆地ナガサキ 中村 住代

「原爆をつくる人」と「平和をつくる人」

広範な国民連合・長崎代表世話人 中村 住代

 

 被爆79年目のナガサキは、例年にも増して熱く歴史的にも記憶される節目の年となったと感じた。
 8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で、鈴木史朗市長が読み上げた「平和宣言」(以下、宣言)に被爆詩人福田須磨子(以下、須磨子)の詩の一部が引用された。 続きを読む



米兵性的暴行と政府隠ぺい厳重抗議 春口 あかね

日米政府に対策を強く求める
意見書採択をめざす

筑紫野市議会議員 春口 あかね

 

 降伏文書に調印した1945年9月7日から72年5月15日の返還まで沖縄は、戦後27年間日本国憲法からも守られることなく、「沖縄に行けば無法地帯だ」と言われていた悲しい歴史がある。返還されたにもかかわらず、沖縄で繰り返される米兵・軍属らによる犯罪は、復帰から2022年までの50年間で6163件あり、年間で計算すると123件、毎月10件もの米兵・軍属らによる犯罪が起こっている計算となる。 続きを読む


米兵性的暴行と政府隠ぺい厳重抗議 藤本 眞利子

全国の地方議会で意見書を上げましょう

和歌山県議会議員 藤本 眞利子

 

 今年の夏はことさら暑く、実感として、温暖化の影響がじわじわと出てきていると感じずにはいられません。
 「暑い暑い、大変だ」「やれ、パリオリンピックだ」と言っている間にも、日本の政治は危機をあおり、軍備をさらに増強させようとしています。今まさに進められている日米の軍事の一体化は日本に何をもたらしていくのか、私たちは真剣に考え、行動していかなければなりません。 続きを読む


米兵性的暴行と政府隠ぺい厳重抗議

沖縄県民の闘いを支持し、全国で我がこととして闘おう

 沖縄での米兵による少女性暴力事件。米兵と米軍、それに隠蔽加担した政府への怒りが広がっている。沖縄では知事を先頭に、県議会や各市町村議会決議も続く。県民大会開催を求めて県女性団体連絡協議会が立ち上がっている。
 全国で怒りを共有し我がこととして、沖縄県民と共に闘おう。さしあたって各自治体の9月議会で政府などに対する意見書をこぞって上げよう。 続きを読む


各地の活動 ■ 広範な国民連合・熊本

終わらない水俣病

県は被害者の立場にたて 県知事に要請行動

 今年5月1日、「水俣病犠牲者慰霊式典」後の環境省と患者団体との懇談会で、患者団体の発言をたった3分間で一方的に打ち切るという、まったく理不尽な事態が引き起こされた。熊本の木村知事もその場にいたが、何も言わないままだった。しかも木村知事は、後日の記者会見で「大臣はつるし上げになっていた」と発言し、水俣病被害者のことなどまったく考えていないことが暴露された。 続きを読む



農業基本法改正と関連法成立への懸念

「権利としての食料」を重視する
国際的潮流から考える

愛知学院大学教授 関根 佳恵

 

 

 

1.基本法改正と食料安全保障、フードセキュリティー

 2024年5月29日に、食料安全保障の強化を基本理念に掲げる「改正食料・農業・農村基本法」(以下、改正法)が成立した。日本で言う食料安全保障は、英語のフードセキュリティーを訳したものだが、国際的な定義と国内の定義には違いがある。そのため、本稿では日本の法律に基づくものを食料安全保障、国際的な定義の方をフードセキュリティーと呼ぶ。フードセキュリティーが国際社会で定義されたのは1974年だ。穀物輸出国だったソビエト連邦(現ロシア)が輸入国になることで世界市場が逼迫し、国連世界フードセキュリティー委員会(以下、CFS)が発足した。 続きを読む


食料自給の確立をめざして

農業の衰退を食い止めるための手だて

JA常陸組合長 秋山 豊

 

 

 編集部は、北海道、鹿児島県に次ぐ農業生産県である茨城県の主力JA(農業協同組合)であるJA常陸の秋山豊組合長に、農業の現状と課題、改定農業基本法について、熱心に取り組まれているオーガニック給食支援などについて伺った。(見出しとも文責編集部)

 とにかく現場の農業の衰退が激しいんです。 続きを読む


中国を訪問して

600年の歴史もつ沖縄の使命を実感

交流積み重ね戦争を避けよう

沖縄県副知事 照屋 義実

墓地遺跡で祈りを捧げる筆者(前列)

 

 玉城県政が6年目を迎え、今年度から平和・地域外交推進課を設置し、地域外交を本格的にスタートさせました。助走期間の昨年、知事はフィリピン、シンガポール、中国、ハワイ、台湾を訪問。私は韓国・済州の平和フォーラムに参加しました。
 今回の日本国際貿易促進協会(河野洋平会長)の7月訪中団に参加させていただき中国を訪問することができましたが、沖縄の地域的、歴史的な状況を踏まえて、平和のために果たす役割が大きいことを改めて実感しました。 続きを読む