ミサイル基地ではなく民間外交で平和を模索する
石垣市議会議員 花谷史郎さん
台湾有事を想定した自衛隊ミサイル基地建設が進む石垣島で、農業を営み基地建設に反対し平和な島を守る先頭に立っている石垣市議会議員・花谷史郎さんに話を聞いた。(見出しとも文責編集部)
石垣市議会議員 花谷史郎さん
台湾有事を想定した自衛隊ミサイル基地建設が進む石垣島で、農業を営み基地建設に反対し平和な島を守る先頭に立っている石垣市議会議員・花谷史郎さんに話を聞いた。(見出しとも文責編集部)
東アジア不戦推進機構 代表 西原春夫
私たちは77年前、1945年に太平洋戦争、第二次世界大戦に敗れ去った日本の、戦争の時代を直接体験したいわば最後の世代に属する者です。
他国に巨大な損害を与え、自らも大きく傷ついたあの戦争がいかに悲惨なものであったか、いかに愚劣なものであったかを身にしみて感じている者です。戦争は理由のいかんを問わず絶対にしてはならない、そう考えて生きてきました。
そういう私たちから見て、最近の国際情勢の中に大国同士の戦争の危険が含まれていることに大きな危惧の念を抱くようになりました。そのようなとき、「戦争はいけない」と世界に向かって声を上げるのは、戦争の何たるかを知り尽くしている私たち世代の責務ではないかとさえ考えるに至ったのです。それは2019年初夏のころでした。
「東アジア不戦宣言」の呼びかけ人たちによる記者会見が、2022年2月22日午後2時から、日本外国特派員協会(FCCJ)において開催された。会見には、西原春夫(1928年3月13日生)東アジア不戦推進機構代表・元早稲田大学総長、明石康(1931年1月19日生)元国際連合事務次長、谷口誠(1930年3月31日生)元国連大使・元OECD事務次長のほか、この運動に共鳴する方々が出席した。
広範な国民連合事務局長 山本 正治
ロシアはウクライナ全土に軍事侵攻した。アメリカによる世界支配秩序の時代は終わり、「多極化」の世界が公然と現れた。「ウクライナは明日の東アジア」「台湾有事、日本有事」「核共有」までもが語られる。こうした中でのシンポジウムとなった。
各氏のご発言は当然にもこの問題からだった。ウクライナの国家主権と領土の一体性への乱暴な侵害・破壊、殺戮行為は許されず、即刻の停戦とロシア軍の撤退を求めるとともに、東アジアでの戦争を避ける、台湾有事にしてはならないことは共通の認識だった。
衆議院議員 新垣 邦男さん
衆議院議員の新垣です。今日は本当に勉強させていただきました。私は昨年の総選挙で初めて当選し、国会に来ました。
国会に来て非常にびっくりしたことは、なぜか、国会の中では台湾有事や対中国の安全保障では沖縄が非常に重要な場所だという発言がたびたびあるんですね。ちょっと待ってください、そうなると先ほど伊波先生が言われたように、沖縄は戦争に巻き込まれるんですかと問い返したい。
沖縄はずっと米軍の事件や事故に悩まされている。しかし、戦争になるという認識はこれまではほとんどありませんでした。なんでそんな議論が活発になっているのか不思議でしょうがありません。先ほどのご発言からも石破先生は沖縄について認識されていると思うんです。石破先生に一つ質問をしたいんです。
自衛官OB、元空将補 林 吉永さん
一つ申し上げたいのは、軍人・自衛官は軍事的要請の遂行を追求します。学際的にいくら戦争を論じても、現場では敵を殺すこと、破壊することに懸命になるんです。そうしないと自分がやられ国・国民を守れません。
参議院議員 伊波 洋一
沖縄選出の参議院議員、「沖縄の風」の伊波洋一です。
台湾有事は日本の有事であるというのは、台湾防衛のために南西諸島を戦場とするためだろうと思っています。
今、ウクライナでは隣国への避難民がこれまでに250万人を超えたと言われています。市民が戦火を逃れるのは当然のことで、国連は400万人の避難民を想定しています。ロシアの侵攻後に、地続きの他地域や国外に自動車などの交通手段で避難しているわけです。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
羽場久美子先生は本誌に、「NATOとロシアのはざまで引き裂かれるウクライナ」を掲載しています。重複部分は割愛しました。
私は、中東欧の近現代国際政治、第一次世界大戦それから第二次世界大戦、そして冷戦、さらにはEUやNATO拡大を専門にしています。ロシアのウクライナ侵攻について、あまりメディアで言われていない三つのことについて今日は話させていただきます。
共同通信客員論説委員 岡田 充
今日のメインテーマは台湾有事ですが。ここ1週間のウクライナの動きを見ると、全体として米ロのある意味では代理戦争的なところがあるわけです。米ロお互いの挑発がかなり刺激的になったなという気がしています。
衆議院議員(元自民党幹事長) 石破 茂
議員になってもう37年目です。右からは左と言われ、左からは右と言われる。実に不思議な立ち位置にありますが、絶対的な立ち位置は変わっていない。言っていることは変わっていないんです。
平成の時代はおそらく、三つのものが本質的に変わった、そういう時代だったと考えます。一つは間違いなく「戦後」が終わったということだと思います。昭和20年に少年兵として従軍された方も今は90歳になられる。田中角栄先生は従軍された経験がおありでしたが、ご存命中に、「あの戦争に行ったやつがこの日本の中心にいる間は大丈夫だ」とおっしゃっておられた。「だけど、そういうやつがいなくなった時が困るんだ、だからよく勉強してもらわなければいかんのだ」ということをよく言っておられた。その戦後が終わった。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
まず、ウクライナ戦争に触れておきたい。プーチンの狙いについて、世界が間違えていました。まさか、ウクライナに攻め入ることはないと思っていた。ところが戦争を始めてしまった。
背景には、ソ連崩壊後のNATOの東方拡大を巡って、西欧・アメリカとロシアの間の信頼醸成がなされてこなかったことがあると思います。だからと言ってプーチンの行為を免責するわけにはいかない。これは国連憲章に違反する、第二次世界大戦後の世界秩序を覆す暴挙です。
日本のロシア・東欧史研究者を中心に歴史家たちは3月15日、「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」と題した訴えを出し、日本政府などへの働きかけを強めている。「ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉」を始めるため、「日本、中国、インド三国の政府にウクライナ戦争の公正な仲裁者となるように要請」している。この訴えを支持し、「なしうるあらゆる努力を」呼びかける。(編集部)
世界国際学会(ISA)アジア太平洋会長/
グローバル国際関係研究所所長/
神奈川大学教授・青山学院大学名誉教授
羽場 久美子
本稿は、第2回「日中時事交流フォーラム」(2月27日)での問題提起に筆者が加筆修正されたもの。見出しとも文責編集部。
ウクライナはヨーロッパとロシアのはざまにある「非常に大きな小国」です。不思議な言い方ですけれども、ドイツとポーランドを合わせたくらいの、ドイツの2倍の領土があります。ウクライナはすでに主権と領土保全の領有権を持つ国です。現在、ウクライナの首都までロシアの軍隊が迫っており、そうした中で多数の犠牲が出ていることはたいへん遺憾だと思います。
第2回「日中時事交流フォーラム」が2月27日、オンラインで開催された。当フォーラムの日本側代表を務めている羽場久美子・青山学院大学名誉教授が、「EU・NATOの間で引き裂かれるウクライナ―境界線でせめぎあう大国―」をテーマに報告し、華語シンクタンクの彭光謙理事長がコメントを述べた。中国側からは徐長銀・同シンクタンク執行理事長、龔剣・同シンクタンク事務局長が、日本側からは、第1回報告者であった丸川知雄東京大学教授をはじめ三十数人が参加した。凌星光教授が仲介役を務め、杜世鑫氏が通訳を担当した。
今回の交流は、ロシアの軍事侵攻でウクライナ市民の犠牲が相次ぎ、他方、経済制裁などロシアへの圧力が強まる情勢下で行われた。羽場教授の、日中が連携して東アジアから平和的解決に動くべきとの提起を受けて、真剣な意見交換がなされたことは大いに意義深い。以下概略。