第18回全国地方議員研修交流会(7月23・24日、川崎市)から

日本農業と食料を守るために
農業振興こそ安全保障の要

鈴木宣弘先生の問題提起

 

第18回全国地方議員研修交流会(7月24日・川崎市)の第1分科会「日本農業と食料を守るために」の要旨を紹介します。鈴木宣弘東京大学大学院教授の問題提起、3人の現場報告、それに討論要旨です。危機的状況にある農業と、安全安心の食料自給の闘いを発展させる上で重要な問題提起になっています。(見出しとも文責編集部)

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酪農危機、農業・食料の危機打開を 永井 照久

危機打開を求める切実な声
大半の酪農場の経営が立ち行かなくなることは必至

釧路農協連(酪農技術支援室) 永井 照久

 

 酪農現場からの悲痛な声は強まるばかりです。
 これまでに幾度も厳しい情勢を乗り越えてきた酪農産業ではありますが、現在おかれている状況はかつてないレベルで生産現場を苦境へと追いやって、生産者の不安感を増幅させています。こうした状況が続くと、大半の酪農場の経営が立ち行かなくなることは必至です。それは単に生乳生産基盤を揺るがすばかりでなく、地域社会の崩壊などその影響は多岐にわたります。日本全体の活力に悪影響を及ぼすことが強く懸念されます。

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酪農危機、農業・食料の危機打開を 9月18日、釧路市

大半の酪農家が廃業してもおかしくない

9月18日、釧路市で約1000人が決起大会

写真提供:JA釧路太田

 

 酪農経営を守ろうと、北海道釧路・根室管内の農協や生産者約1000人が9月18日、釧路市で決起大会を開いた。
 冒頭あいさつした釧路酪対の徳田善一会長は「釧路・根室地区だけでなく、全道・全国の酪農経営が過去に経験したことのない危機的状況に陥っている」と述べ、国に対して緊急かつ強力なテコ入れ策を講じるよう求めた。

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酪農危機、農業・食料の危機打開を 鈴木 宣弘

これ以上放置できない農村現場の苦境

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 

最悪の事態が起こる

 一昨年に比べて肥料2倍、飼料2倍、燃料3割高、と言われるコスト高でも、十分に価格転嫁ができない農畜産物。政策も動き始めたが、酪農については「追い討ち」的な乳雄子牛価格の暴落などで現場の苦境は深刻化している。
 そうした中、ついに、酪農家さんの自殺という最悪の事態に接し、無念と無力感にさいなまれる。政府の緊急補塡、乳製品による人道支援、急いでほしい。皆一丸となって国産乳製品を買おう。酪農家さん、踏ん張ってください。

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国民の命の危機と戦争の危機と

軍事費倍増ではなく、国民生活こそ防衛せよ

『日本の進路』編集部

中村進一 ( 三重県議会議員)

 10月から食料品価格が軒並み上がり、電気料金も前年同月比26%(東京電力)のアップだ。長く続くコロナ感染症もあって、仕事を失ったり、収入が大幅に減ったりの多くの国民にとって極めて深刻な事態だ。
 ところが、「防衛力の強化が最優先課題」とする岸田政権は、軍事(防衛)費を2023年度からの5年間で総額45兆円程度とする。倍増の大軍拡だ。武器を売り込む米国は大喜びだろう。だが、財政赤字を理由に毎年社会保障費は削減され年金も削られ、この10月からは後期高齢者医療費窓口負担が2割となった。国民の生命を削っての大軍拡を許してはならない。
 中国を「敵」にして軍拡を正当化する「国家安全保障戦略」改定と軍拡予算に反対し、「国民生活こそ防衛せよ」の声を上げよう!

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広範な国民連合第25回全国総会に求められること

戦争の危険迫る情勢
自公政権といかに対峙するか

『日本の進路』編集長 山本 正治

 核戦争の危険も迫る世界である。ウクライナ戦争は泥沼化の様相で、東アジアの緊張も高まる。戦争に反対する闘いは全世界的課題である。戦争は、貧困と貧富格差、気候危機にも拍車をかける。
 アメリカは、中国の不可分の一部である「台湾の独立」をそそのかし、中国の核心的利益を脅かし、ウクライナの次の戦争を挑発する。わが国政府・自民党やマスコミも、盛んに脅威を騒ぎ立て、大軍拡政策を正当化する。
 軍事衝突はいつでもあり得る情勢で、国民の危機感も高まっている。アベノミクスによる貧困化と格差の拡大、とりわけコロナ禍と最近の物価高騰で国民各層の生活は困難を極めている。その上軍事費増の負担が待ち受ける。

 7月の参院選の「自民大勝」で、「黄金の3年間」などと岸田自公政権は、憲法改悪も含めてやりたい放題の状況を手に入れたみたいな評価が広まっていた。だが真夏の夜の夢だった。内閣支持率はついに30%を切り、政権はいつまでもつのかの状況となっている。
 しかし野党第1党の立憲民主党など野党は、先の参院選でもまったく振るわず、その後も、支持率にも見るべき変化はない。窮地の自公政権だが、野党も攻勢に立てていない。野党は残念ながら国民の期待に応えられない。
 自公政権と対峙し打ち倒す方向を再検討しなくてはならない。そして国民的力の結集が急がれる。11月20日開催の広範な国民連合全国総会もその機会にならなくてはならない。
今こそ生かすべき

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広範な国民連合 第25回全国総会について

日時:

2022年1120日(日曜日)
午前10時半から午後4時半まで
(コロナ対策で1日のみにします)

会場: 東京近郊
(コロナ対策を徹底し定員を制限して開催)
オンライン併用のハイブリッド方式で開催。
申し込み 会場参加もオンライン参加も、事前申込制。
会員でない方のオブザーバー参加も歓迎します。

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各地の活動 ■ 広範な国民連合・東京

在日米軍基地を知る連続企画を開催

広範な国民連合・東京

 

 広範な国民連合・東京は、4月に総会を開催し、その総括会議で、敵基地攻撃を公言するようになった岸田政権の下では、「米軍総司令部が置かれている横田基地は大変危険な存在だ」との共通認識を持ち、横田基地と「横田空域」を知り・知らせる運動の準備を進めていました。8月にペロシ米下院議長が、中国の反対を押し切って訪台し、東アジア情勢はかつてなく危険な状況になりました。そうした緊迫する情勢下で、「在日米軍基地を知る―講座とフィールドワーク―」を実施しました。

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熊本県菊池で農業危機突破緊急集会

『国民の皆様へ 日本で生産された農畜産物を食べて下さい』
『日本の食を守るため私たち農家は命を懸けて生産します』

JA菊池 三角修組合長 インタビュー 

――8月8日の菊池地域農業危機突破緊急集会に至る経過や現状についてお聞かせください

 肥料関係は、ご案内の通り3割から4割、なかには5割近くまで値上がりしているものがあります。ロシアによるウクライナ侵攻によって肥料関係の輸入ができなくなったからです。

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平壌宣言から20年

何故? 日朝国交正常化できないか

月刊『日韓分析』編集人 北川 広和

 

 今年9月17日、日朝平壌宣言が結ばれて20年が経過した。しかしながら、平壌宣言の柱である植民地支配の清算に基づく日朝国交正常化は、いまだ実現していない。そこで、この20年間の日朝関係を振り返ることで、国交正常化できない原因が、いかなる意味で日本政府にあるか明らかにしたい。

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北東アジアを非核兵器地帯に

人類は崖っぷちに立っている

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)准教授 中村 桂子

 

 

なかむら・けいこ 専門は国際関係論(核軍縮)。モントレー国際大学大学院国際政策研究修士課程修了。2001年~12年、NPO法人ピースデポの研究員として、核軍縮に関する国際会議の取材活動などに携わる。12年4月、核兵器廃絶研究センター発足に伴い現職に着任。

長崎大学核兵器廃絶研究センターは、「核なき世界の実現」を大学にとって枢要な課題とする長崎大学の共同教育研究施設であり、核兵器廃絶に向けた情報や提言、大学教育への貢献などの目的をもつ活動拠点として、長崎市や長崎県などとも連携を図りながら運営されている。

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台湾有事を避ける道

日本に足りないものは「反撃力」ではなく、
戦争回避の戦略

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 

「敵基地攻撃で抑止」という不可解

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本では、反撃力(敵基地攻撃能力)をはじめとする防衛力の抜本的強化と、日米同盟強化の議論が盛んである。これらはいずれも、抑止力・対処力の強化として語られている。それだけの力を持てば戦争を抑止すると同時に、戦争になっても負けない、という論理である。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム(続) ■ 鳩山 友紀夫

東京でも北京でもソウルでもなくて
沖縄がそのハブになりうる唯一の資格をもっている

東アジア共同体研究所理事長 鳩山 友紀夫

 

 

 長時間皆さん方から積極的なご意見を聞かせていただき、大いに学ばせていただきました。特に屋良さんが「それでも私たちは戦争できますか?」と問われました。できるわけがないのです。そして絶対にしてはいけないのです。
 ところが戦争をして利益を得ている国もないわけではない。そういう国からいろんな挑発があった場合に、決して乗ってはいけないということです。ウクライナ戦争で味を占めた国は、今度は台湾を挑発し始めています。その挑発は台湾の独立派を鼓舞し、独立の勢いが増してくる恐れがあります。日本の政府はその傾向を支持しているようにも見えます。

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沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム(続) ■ 朴 相鉄

アジアは世界経済の最も重要な地域になる

韓国ポリテク大学教授 朴 相鉄

 

 

 

 羽場先生がおっしゃったように、東アジアの経済成長というのは、IMF(国際通貨基金)や世界銀行なども予測したように、今後20年間で世界の平均経済成長の2倍以上を達成する唯一の地域です。そして東アジアの諸国家は、世界の生産量と物流量の50%以上をグローバル経済に供給している、最も重要な地域でもあります。

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