山形県・農業、一般社団法人・置賜自給圏推進機構代表理事 渡部 務
これが掲載されるころ、当地方は稲刈りが終わって、冬の準備だろうか。今年は盆後の長雨と一時的な低温で「いもち病」の心配もあったが、まずまずの出来である。黄金色に色づき始めた稲穂を見るにつけ一年の努力が実を結ぶうれしさと、その上を飛ぶ赤とんぼ、そのバックには真っ赤に染まった夕日を思い浮かべると、日本人の琴線にふれる風景をこれからも残さなければと思う。 続きを読む
山形県・農業、一般社団法人・置賜自給圏推進機構代表理事 渡部 務
これが掲載されるころ、当地方は稲刈りが終わって、冬の準備だろうか。今年は盆後の長雨と一時的な低温で「いもち病」の心配もあったが、まずまずの出来である。黄金色に色づき始めた稲穂を見るにつけ一年の努力が実を結ぶうれしさと、その上を飛ぶ赤とんぼ、そのバックには真っ赤に染まった夕日を思い浮かべると、日本人の琴線にふれる風景をこれからも残さなければと思う。 続きを読む
熊本県議会議員 西 聖一
私は1983年に熊本県庁に入庁し、農業改良普及員、農業行政、農業研究センター等農業技術者として23年奉職した後、自治労推薦の議員として現在に至っています。農業に対する危機感を共有し、命を守るための日本の安全安心な食糧確保を堅持していくための運動を大きく展開したい思いを述べさせていただきます。 続きを読む
農事組合法人八頭船岡農場(鳥取県)組合長 鎌谷 一也(全日農副会長)
人生の最終ステージは、「本気の百姓を!」ということで、朝から晩まで、田んぼで働く。
コロナ禍のもと、昨年から寄り合いや会議も減少し、いっそう農作業に打ち込むこととなった。
晴天・曇天・雨天であろうと、汗を流し作業に没頭していれば、農業は新型コロナとは無縁の世界にも思える。実際は、業務用の米や野菜の販売が滞ったり、消費減により価格が下がったり、影響がないことはないが、太陽の下で働くことに閉塞感もストレスもない。米のほか、小麦、大豆、白ネギ、キャベツ、繁殖牛、原木シイタケ、ワサビなど、あれもこれも、やろうと思えばきりがないほど、仕事が増える。
だが、旧町単位の範囲で、260ヘクタールの水田を集積、構成員は545名(旧町エリアの約8割の農家)、職員15名を抱えている農事組合法人の組合長としては、作業だけに明け暮れているわけにもいかず、昨年は10年先を考えて、第3次5カ年計画(がんばる農家プラン)を策定した。
高齢化や人口減少により、10年先は旧町全農地340ヘクタールの半分170ヘクタールは、法人(職員)の直接管理が必要となるであろう。その時に、職員は何人必要か、その職員が食べていくだけの生産体制・経営基盤は。集落で頑張る中核的な法人構成員の育成確保、集落単位での協業や相互扶助体制の確立をどうするか。水田活用、野菜生産、耕畜連携に放牧を利用した和牛繁殖など、事業展開をどうするか。そもそもどういった農村風景・農村社会を想定し、ことを進めるべきか、これまた考えることは尽きない。 続きを読む
JAM会長 安河内 賢弘
4月27日に2020年農林業センサスが発表されたが、日本農業の衰退がさらに進んでいることが改めて示された。5年前と比較すると農林業経営体は22・2%減少し、なかでも林業経営体は61・1%と壊滅的な減少である。また、年齢階層別に基幹的農業従事者の推移を見ると、5年前と比べ、85歳未満の全ての階層で減少した。
一方で、農産物販売金額規模別に農業経営体数の増加率を見ると、5年前に比べ3千万円以上の層で農業経営体数が増加したとするものの、3千万円を超える農業経営体は全体の3・82%にすぎず、全体の約7割強が300万円未満の農家である。
2015年11月25日、TPP大筋合意を受け政府はTPP総合対策本部を設置し、「総合的なTPP関連政策大綱」を取りまとめた。その主な柱は、①中堅・中小企業等の海外展開の支援、②経済再生・地方創生の実現、③農林水産業支援、④その他必要な支援(食の安全・安心、知的財産等)であった。このうち農林水産業については、「攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)」と「経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)」が重点施策として掲げられたが、それから5年を経た2020年の日本農業の衰退は残念ながら加速している。
大田区議会議員 奈須 りえ
鈴木先生のご講演は、これまで進められてきたグローバル化を総括した非常に意義深いものでした。
NHKスペシャルが報じた「2050に起きるかもしれない食料を求める暴動」はそれだけでも、大きな衝撃でしたが、先生が出された試算は、それよりずっと前2035年に日本が飢餓に直面する可能性をリアルに示しており、食料自給への不安を具体的な危機として私たちに突き付けました。先生は、食料自給率がここまで下がり、飢餓の危機にさらされている背景にある「TPPなど自由貿易協定」と「一連の法改正(種子法廃止→農業競争力強化支援法→種苗法改定→農産物検査法改定等)」など、この間、法や制度が支えてきた公の役割を規制緩和により壊し、市場経済の自由競争にさらすことで、グローバル資本に利益をもたらす構造をつくってきた政府を厳しく批判しておられ、大変に共感いたしました。地方議員としてこの間の制度改正から、農業など一次産業だけでなく、都市部においてもグローバル資本の投資対象が拡大し弊害が生じていることを実感してきたからです。 続きを読む
大牟田市「いちのたんぼの会」 山下 公一
大牟田市では今日、15名が集まってオンライン講演会に参加しています。大牟田市櫟野は中山間地で、そこで長年にわたって無農薬、無化学肥料栽培を頑張ってこられた山下公一さんの農地に集まって、農作業を楽しむグループとして2003年にスタートしたのが「たんぼの会」です。週に2日、午前中に作業をしています。鈴木先生がお話しになったように、種子法廃止、農業競争力強化支援法、種苗法改定と続く政権の動きが大変気にかかりまして、種子法廃止に関して山田正彦さん、国連の家族農業の10年に関して関根佳恵さんの講演会を開いたり、映画「タネは誰のもの」の自主上映会に取り組んだりしてきました。なお福岡では今日、筑豊地区と筑紫野市でも同じような会が開かれています。山下公一さんから、集落の状況なども含めて、報告していただきます。
(樋口茂敏) 続きを読む
全国沿岸漁民連絡協議会共同代表(北海道北るもい漁業協同組合所属) 高松 幸彦
私自身は先生のご講演を聞かせていただいたのは今回で2度目です。最初は自分が共同代表として所属する「JCFU(全国沿岸漁民連絡協議会)」が開催した〝改正漁業法に関する勉強会〟でした。
安倍政権下での、漁業法の「70年ぶりの改正」というわりには浜を対象にした説明がほとんどないに等しい状態で、国会審議においても衆参両院合わせてもわずか約21時間余り、「数の論理」による乱暴な国会運営でした。このため法案を通してから水産庁の担当者が説明に各地を回るというお粗末なありさまです(改正漁業法は、2018年12月成立、20年12月1日施行)。いまだに大多数の漁業者が法改正の中身を理解できてない状況です。これは当事者である漁民を愚弄し、〝漁業人口の94%にあたる家族漁業経営体を軽視〟していることの表れにほかならないと思います。まさに農業改革で農協の弱体化を狙った時と構図的には似たものがあります。 続きを読む
JA菊池組合長 三角 修
JA菊池の三角です。お世話になっています。鈴木先生のお話、久しぶりに「鈴木節」を聞かせていただきありがとうございました。
先生がおっしゃられましたようにですね、私は農協というのは地域環境を守るという大きな仕事もあると思います。また片方には当然、食料を、日本人の胃袋を満たすという大きな仕事もあると思っています。そのへんにつきましては今日最後の方で、生産者と消費者は「運命共同体」なんだということをおっしゃっておられましたけど、私もまさにそのとおりだと思っております。
山梨県議会議員(南アルプス市園芸農家) 藤本 好彦
山梨県は、果樹農業が盛んであるため、圃場では窒素・リン酸・カリウム等の資材の堆積が目立ち、果樹の順調な生育を阻害したりするなど、病気も増えています。栽培規模の拡大、機械化、栽培作物の単一など、効率化を推し進めたことで、土壌の成分の偏りが危惧され弱体化が懸念されています。
県は農業者が不要な化学肥料の施用を防止し、おいしさや栄養価を高め、環境に与える負担を軽減し、適正な施肥を行い健康な土づくりを通じて健康な農作物を育てられるよう、1979年度から、県内約120地点の主要農地において、土壌診断を進め地力に関する調査を実施しています。 続きを読む
養父市議会議員 浄慶 耕造
鈴木先生のお話、非常に明快でかつ「怖い」話でしたので、心の中にずっしりと響きました。
われわれの養父市、話がありました「国家戦略特区」に2014年、最初の5地区のなかの一つとして「農業特区」に指定されました。当時市長は、「中山間地の革命児」などと多くのメディアで持ち上げられました。
養父市はどういうところかといいますと、2004年に平成の大合併によって市になったわけですが、当時の人口が3万人弱、現在は2万2千人で高齢化率39%の少子高齢化の地域です。かつて経済は、鉱山、林業、養蚕の山村経済の上に商業の隆盛を誇った地域でしたが、ベースの産業の衰退と「大店法」の廃止に伴う郊外店の進出によって「ひっそり」とした中心市街地になってしまいました。 続きを読む
北海道議会議員 北口 雄幸
北海道からはですね、いわゆる国の「規制改革会議」などで農地に民間企業が参入できるようにして、農業に民間企業が参入しやすくする規制改革が進められたわけですが、参入した民間企業が早くも撤退した事例などについて少しご報告をさせていただきたいと思います。
全国的な居酒屋チェーンの「和民」があります。この「和民」は「ワタミファーム」をつくって、全国で11カ所、そのうち北海道では3カ所、農場を展開し、野菜や卵、それから牛乳などを生産しております。全国の農地面積は630ヘクタールというふうに聞いております。
そのうち北海道のせたな町、道南の方の瀬棚農場でありますけれど、平成16年度から国の「構造改革特区」を活用し、ワタミは外食産業向けの有機野菜や有機乳製品の生産を目的に設立、参入しました。ところが、この3月末をもって閉鎖、撤退をするということであります。 続きを読む
広範な国民連合は3月28日、鈴木宣弘東大教授を講師に「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」講演と討論の会をオンラインで開催した。以下は、鈴木教授の講演の結論部分の要約と各地からの報告要旨である。 文責、見出しとも編集部
「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている。2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいる(詳細は本誌4月号、鈴木論文)。世界も同様である。
「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。都市人口集中という3密構造そのものを改め、地域を豊かにし、農林漁業を核に地域経済の循環構造を確立する必要がある(詳細は本誌2月号、鈴木論文)。 続きを読む
3月28日、鈴木宣弘先生のオンライン講演と討論の会「農林漁業を核に持続可能な地域循環型経済の形成へ」が開催されました。
オンライン講演会を以下に公開します。
東京大学 鈴木 宣弘
先日、NHKスペシャルが2050年ごろに日本人が飢餓に直面する危険性に警鐘を鳴らした。画期的である。だが、その危険性はもっと早くに迫っているかもしれない。下の表はその可能性を示唆している。 続きを読む