国内情勢・政治一覧

オスプレイ墜落、南西諸島で戦争準備

「生命を守れ」を躊躇してはならない

鹿児島県議会議員 上山 貞茂

 「民主主義の否定、何を恐れて」――川内原発20年延長の是非を問う県民投票条例が自民党・公明党らの反対多数で否決された時に、県民投票の会の事務局長を務めた向原祥隆さんが発した言葉である。「議員は県民の側に立った判断をしたのか。反対した議員は党派の顔色ばかり窺う。思考停止だ」と怒りをあらわにした。県民投票を求め集まった署名は4万6112筆、法定数2万7千を大きく上回った。地元紙でも「反原発運動を続ける市民団体だけでなく、福島第1原発事故以降、潜在的に原発の不安を感じている人が少なくないことが明らかになった」と報じた。 続きを読む


[米軍オスプレイ墜落]「国家主権なき日本」を改めて暴露

自主的でアジア共生だけが平和で安全の道

『日本の進路』編集部

 米軍オスプレイ墜落とその後の飛行継続強行、さらには事故から1週間後の米軍による飛行全面一時停止決定などの経過は、国家主権なき日本の現実を改めて暴き出した。この国の政府には、国民のいのちも安全も財産も守れない。
 国民のいのちと安全、財産も守れず、何が安全保障か。米軍依存、「抑止力強化」一辺倒ではなく、中国敵視をやめて、対話と外交を中心に自主的な安全保障の確立こそ求められる。
 主権国家を取り戻す、自主の日本を実現する2024年にしたい。 続きを読む


沖縄を戦場にさせない 布施 祐仁

米日韓「準同盟化」で東アジアは平和になるのか?

ASEANが示す「もう一つの道」

ジャーナリスト 布施 祐仁

 

 

 

 

 

ふせ ・ゆうじん
1976年、東京生まれ。フリージャーナリスト。2018年10月、『日報隠蔽―南スーダンで自衛隊は何を見たのか』で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。近著に『日米同盟・最後のリスク なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社、2022年5月)、他多数。

 

「準同盟」化で合意した米日韓首脳会談

 「私が幸せそうに見えるとしたら、それは私が幸せだからです。素晴らしい会談でした」
 8月18日にワシントン郊外のキャンプデービッド(大統領山荘)で開かれた米日韓首脳会談。会談後の記者会見で、米国のバイデン大統領は満面の笑みを浮かべながらこう切り出した。
 米国の呼びかけで行われたこの首脳会談で、バイデン大統領、岸田文雄首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「米日同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化し、米日韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」(共同声明)ことで合意した。

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福島原発 汚染水の海洋放出

IAEA報告は海洋放出を承認していない
中国を「非科学的」と断じる日本の傲慢

ジャーナリスト(元共同通信客員論説委員) 岡田 充

 

 

 

 福島第1原子力発電所の溶け落ちた核燃料を冷却する汚染水の海洋放出が近づいている。
 日本政府やメディアは、国際原子力機関(IAEA)の「国際的安全基準に合致」とした調査報告書(7月4日)によって、海洋放出の安全性と正当性が保証されたかのように主張する。
 だが報告書が「排出の安全性を判断する内容ではない」ことを、どれほどの人が知っているだろう。報告書で「お墨付きを得た」とし、地元・福島の漁民や市民団体、中国や太平洋の島嶼国など海外の反対を「非科学的」「外交カードにしている」などと決めつけるのは、あまりに傲慢な態度ではないか。

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ウクライナ戦争と台湾問題

平和を創る道の探求

東アジア共同体研究所長(元外務省情報局長) 孫崎 享

 

 

 

 

1 反撃能力、敵基地攻撃をどう考えるか

 岸田政権は2022年12月、安保関連3文書の閣議決定をした。3文書中、国家安全保障戦略と国家防衛戦略は、敵のミサイル発射基地などをたたく反撃能力を保有することを明記している。反撃能力は従来敵基地攻撃能力と呼ばれてきた。安保関連3文書の改定を受けて、日経新聞が行った世論調査では5年間で防衛力を強化する計画を支持するとの回答が55%で、支持しないが36%である。
 日本の多くの人はこれで日本の安全が高まったと思っているようだが、全く逆である。

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日本は中国の敵国になれるのか

日米中3国の関係の中に第3次世界大戦を回避するカギがある

元自民党副総裁・山崎 拓

 

長く自民党政権の安保防衛政策の中心にいらした山崎拓氏(防衛庁長官、建設相、自民党幹事長、党副総裁などを歴任)へのインタビュー(3月29日)である。(見出しを含め文責編集部)

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外交で東アジアの平和と安定めざす

3月、沖縄県民の注目すべき前進

『日本の進路』編集部

 

 台湾有事が叫ばれ大軍拡予算が成立、政府では抑止力という軍事力強化だけが目立つ。こうした中で沖縄は3月、県議会の意見書採択など、東アジアの平和と安定をめざして外交で事態を打開しようとする画期的前進が見られた。玉城デニー知事が中国を訪問する計画も言われる。2月26日には「沖縄を平和発信の場に」と全国に共同の努力を呼びかける緊急集会も開かれていた。県民、県知事、県議会が一体となって動き始めた。

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定

世界の趨勢を見据え
自主的で平和な進路、アジアの共生を

 ウクライナ戦争は、ロシアの侵攻以来2月24日で1年を超えた。この1年の経過は、文字通り世界が歴史的な転換期にあることを示している。岸田首相は、1月23日の通常国会冒頭の施政方針演説で「われわれは歴史の分岐点に立っている」として、第1にウクライナを挙げて「国際平和秩序の弱体化」を指摘した。

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 前泊 博盛


沖縄から見た安保関連3文書
台湾有事という「危機」演出

沖縄国際大学教授 前泊 博盛

 

 

 前泊博盛沖縄国際大学教授は衆議院予算委員会公聴会で2月16日、公述人として意見陳述と質疑応答をおこなった。本稿は、そこでの発言を『日本の進路』編集部が整理・要約したもの。(見出しを含めて文責編集部)

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 石破 茂


戦後安全保障政策の大転換とは?
戦争を知らない世代は慎重の上にも慎重さが求められる

衆議院議員・元自民党幹事長 石破 茂

 

 

 岸田政権は、「安全保障政策の歴史的転換」と言って大軍拡政策を進めようとしている。衆議院議員の石破茂さんは衆院予算委員会で2月15日、10年ぶりに質問に立ち、質問時間の大半で岸田総理の安全保障政策について質し、自説を展開した。さらに、「サンデー毎日」のインタビューにも答えた。本誌は石破茂さんにインタビューした。(見出しとも文責編集部)

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 伊勢崎 賢治


即時停戦こそ求められる
本質は米・NATOの代理戦争

伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 に聞く

 

 

 ウクライナ戦争から1年。昨年の開戦から、僕は即時停戦を言い続けてきました。それが和田春樹先生たちの耳に留まって、それ以来一緒に声明文を国連事務総長宛てに出すなど、いろいろな働きかけをしてきました。日本人は、「停戦」と「終戦」の違いがあまり分かっていないと思います。日本は、かつての戦争で、停戦にならず終戦までいってしまった。もし停戦がされていたら? 3月10日の東京大空襲も、沖縄戦も、広島・長崎も回避できたか? これは歴史のイフですが、本来ならその違いをいちばん分かる国民でなければならないと思うのです。

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 花谷 史郎


石垣島自衛隊ミサイル基地開設
軍拡の最前線の島から平和をめざす報告

石垣市議会議員 花谷 史郎

 3月5日、石垣島の陸上自衛隊駐屯地に軍用車両が搬入される予定と聞き、私は市内にある港近くで早朝から待機していました。
 この港の敷地内には数日前から貨物船で運ばれてきたと思われる大量の車両が止められており、それを目隠しするため周囲に高さ3メートルほどの囲いが設けられており、出入り口の前には警備員が立ち、中の様子を窺うことはできません。

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 高野 孟


続・石破茂氏の防衛論

ジャーナリスト 高野 孟

 

 

 本稿は、高野孟さん主宰のINSIDER No.1195 23/02/27に掲載された、石破茂さんの「サンデー毎日」3月5日号でのインタビューの論点を紹介したものである。「続」とあるように、高野さんはINSIDERの前号で、石破茂さんの衆院予算委員会での質問を詳論している(INSIDER https://www.mag2.com/m/0001353170)。なお、見出しは元のママ。再録に際して誌面の都合上編集部の責任で若干割愛している。

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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 羽場 久美子


世界平和と新国際秩序、日本の役割
沖縄をアジアの平和と交流のセンターに

青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

 

 参議院の「外交・安全保障、戦争と平和、軍縮」に関する調査会に招かれて2月22日、羽場久美子青山学院大学名誉教授は参考人として意見を述べた。そこでは、「世界平和と新国際秩序において、日本が実践的役割を果たす」という問題意識に基づき、①今はどういう時代なのか、をデータに基づき分析し、②加えて、最も重要なこととしていま戦争と緊張を招いているメカニズムは何なのか、③市民が戦争の犠牲にならないために、平和と繁栄の新世界秩序をどのように構築するべきか、という課題を提起した。本稿は、戦争を防ぎ平和と繁栄を築くための日本の役割と問題提起について、整理したものである。(当日のパワーポイントに基づき、編集部が要約)

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