オスプレイの飛行再開

怒り高まる沖縄、闘いは新たな局面に

 米軍は3月8日、昨年11月に米陸軍所属のオスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落した事故を受けて決めていた同機の飛行停止措置の解除、飛行再開を発表、14日には飛行を強行した。事故原因や安全対策について具体的な説明もないなかでの再開である。岸田政権もこれに追随、「米側から、事故の状況や原因や安全対策について、前例のないレベルで詳細な情報提供を受けている」(木原防衛相)などと米軍の主張をそのまま繰り返している始末だ。


 沖縄県内では普天間基地に海兵隊のMV22オスプレイが24機配備されている。今回の飛行再開に県内では不安と怒りの声が高まっている。玉城デニー知事は「本当に強い憤りを禁じえないどころか、この憤りを、どのように受け止めるのか問いたい」「沖縄ではこれで許されると思っているとしたら大間違いだ。防衛省の対応は本当に不条理極まりない」と米軍とそれに追随する岸田政権の姿勢を厳しく批判した。
 また普天間基地を抱える宜野湾市の松川正則市長も「納得いかない」「自治体含めて県民に対する事故原因の説明がない実態はいかがなものか。市民の命に関わることなのでしっかりした説明をすべきだ」と不満を表明した。嘉手納基地の周辺自治体で構成される「三市町連絡協議会」(三連協)会長の桑江朝千夫・沖縄市長は「懸念は払拭されていない」、名護市の渡具知武豊市長も「理解しかねる」などと一様に憤りを示す。
 地元紙は、「住民無視の暴走行為だ」(「沖縄タイムス」)、「結局は米国の言うがままではないか。これが『強固な同盟関係』の実態。日米同盟の犠牲を拒否する」(「琉球新報」)などと厳しく日米両政府を指弾した。
 飛行再開が強行された14日、県内では普天間基地がある宜野湾市だけでなく、那覇市や浦添市、北部の宜野座村、東村でもオスプレイが飛び回り、住民に不安を与えている。
 翌15日には「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が県庁前で抗議集会を開催、怒りの声を上げた。玉城知事も参加、「政府が米軍の言いなりになっている状態が続いている」「米軍のやりたい放題を止めることが今の防衛省にはできないという実態が明らかになっている」と指摘、「ぜひ日本政府に県民の声を聞け、県民の将来を考えろと堂々と伝えていこう」と訴えた。金城徹共同代表は「日本政府は国民の命を守るという仕事を放棄して、事故の説明のないままに飛行を再開させた。国民の命を何だと思っているのか」と批判、「米国への追随を許さないぞという思いを強く持つ。この決意を日米両政府に示し、オスプレイ配備撤回まで一つになって頑張ろう」と呼びかけた。
 折しも沖縄では同日、米軍が県や周辺自治体からの反対の声を無視して嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行。昨年12月から4カ月連続である。石垣市には米海軍駆逐艦が入港した。
 このような傍若無人とも言える米軍の振る舞いへの怒りと、とても独立国と言えぬわが国岸田政権に対する県民の怒りは、日増しに広く高まっている。
 うるま市での自衛隊訓練場の新設をめぐっては保革を超えて地元住民が計画の断念を求め、20日には1200人を超える人びとが集まって市民集会が開かれた。
 「台湾有事」をあおり、中国に対抗すると軍事力強化を進める日米両政府に対する県民の闘いは新たな段階を迎えている。

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