問われる市町村の災害対策への姿勢
求められる深刻な自治体間格差解消
弁護士(南山法律事務所) 小口 幸人
私は東日本大震災が発生した際、岩手県宮古市という被災地にいました。それから13年間、日本弁護士連合会災害復興支援委員会に所属し、被災者の復興支援に携わり続けています。 続きを読む
弁護士(南山法律事務所) 小口 幸人
私は東日本大震災が発生した際、岩手県宮古市という被災地にいました。それから13年間、日本弁護士連合会災害復興支援委員会に所属し、被災者の復興支援に携わり続けています。 続きを読む
東京大学大学院特任教授 鈴木 宣弘
過剰、過剰と言われたコメが、突如足りないと言われ始め、急速にコメ不足が顕在化した。これからは新米が市場に出回るので、当面、需給逼迫感は緩和されると見込まれるが、長期的には、政策の失敗の是正をしないと、コメ不足が頻繁に起こりかねない。
いろいろな要因で今回のコメ不足は顕在化したが、根底には、稲作農家の平均所得が1万円(時給にすると10円)というような事態に追い込んでいる「今だけ、金だけ、自分だけ」の「3だけ主義」の取引とコスト高に対応できない政策の欠陥がある。 続きを読む
石垣市住民投票を求める会
左から原告の川満、金城、宮良さんと大井弁護士(9月6日、東京)
石垣市・中山義隆市長は2015年、陸上自衛隊配備受け入れを表明。「住民投票を求める会」(金城龍太郎代表)は18年10月末、配備計画の賛否を住民投票で問う署名を約1カ月で規定を超えて集め条例制定を請求した。しかし、19年2月、市議会は条例案を否決した。
「求める会」は19年9月、市に住民投票の実施義務付けを請求する訴えを起こしたが那覇地裁は請求を棄却した。「求める会」は直ちに控訴したが福岡高裁も訴えを退け、今回、最高裁上告に踏み切った。
23年3月、住民投票は実施されないまま陸自石垣駐屯地が開設された。 続きを読む
ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会事務局長 新垣 邦雄
8月11日の「戦争準備NO!」集会で司会を務めた新垣邦雄さん(壇上左端)
岸田政権下、「台湾有事」を口実に全国で自衛隊の基地強化・拡大の動きが強まっている。こうしたなか8月、沖縄で「戦争準備NO!」をスローガンに西日本を中心に全国各地から基地強化・拡大に反対する住民団体が一堂に結集した集会が開催された。9月には自衛隊が大規模な「防衛複合拠点」の開設などを計画している広島県呉市で「戦争止めよう西日本連帯交流会」が開かれた。すでに「沖縄・九州・西日本ネットワーク」(仮称)の発足も決まっている。こうした取り組みを中心的に担っている新垣邦雄氏に聞いた。 続きを読む
『日本の進路』編集長 山本 正治
主食のコメもない、灼熱の夏。大地震警告の列島。東アジアの戦争を阻止できるのか。文字通り国民の生活・生命とわが国の存立に関わる重大局面である。
立憲民主党代表選、自民党総裁選(本稿執筆時点では結果はまだだが)を経て、どの時期になるかは別に衆院解散総選挙である。しかし残念ながらこうした深刻な危機、重大な課題は争点になっていない。自民党では自らの金権腐敗、裏金問題には触れない。両党とも、中国脅威の誇張と日米同盟強化、軍拡主張の競い合いだけが目立つ。
重大局面にある日本の課題を直視し、持続可能な国へと打開の闘いが求められる。政治を変える壮大な闘いが必要だ。 続きを読む
全国16人の若者が火力発電事業者にCO2排出削減を求めて提訴
2024年8月6日 若者気候訴訟弁護団
全国の若者16人が8月6日、火力発電を展開する10社を相手に、二酸化炭素の排出削減を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。このテーマで若者だけが原告になる訴訟は国内初。
本日、北海道から九州までの全国各地で暮らしている16人の若者が、株式会社JERAなど火力発電事業者10社に対し、科学が求める水準に基づいてCO2排出の差し止めを求める訴訟を名古屋地方裁判所に提起しました。原告たちと全国の若者が明日を生きるために、地球の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるためには、被告ら日本の主要電力事業者は、2030年代にも脱炭素を実現する必要があります。少なくとも、科学が必要とする排出削減を実行することを求める訴訟です。
猿田佐世新外交イニシアティブ代表
新外交イニシアティブ(猿田佐世代表)は8月24日、「政権交代にむけて―求められる安全保障政策―」との政策提言を発表した。執筆者は、柳澤協二(元内閣官房副長官補)、マイク・モチヅキ(ジョージ・ワシントン大学准教授)、半田滋(防衛ジャーナリスト/元東京新聞論説兼編集委員)、佐道明広(中京大学国際学部教授)、猿田佐世(ND代表/弁護士)である。以下要旨を紹介する。
(一財)東アジア共同体研究所理事長 鳩山 由紀夫(元内閣総理大臣)
アメリカと中国との関係は、これからしばらくは、ある意味での厳しい状況は続くと思うんですね。それはグレアム・アリソンが唱えたいわゆる「トゥキディデスの罠」のように、新興国を恐れる覇権国が、自分たちがやられてしまわぬうちに、今のうちに叩いておこうということで、米中には潜在的な軍事衝突の危険があるのではないか、ということです。したがって米中関係の緊張はそう簡単には解けない。このことを前提として私どもは考えなきゃならないのではないかと思います。 続きを読む
神奈川県下の厚木基地爆音防止期成同盟、第五次厚木基地爆音訴訟原告団、原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会、自主・平和・民主のための広範な国民連合・神奈川の4団体と13人の議員を含む105人が要請者となって7月19日、黒岩祐治知事に「今こそ、県民の命と暮らしを守り、戦争をさせないために、日米地位協定の抜本改定を求める県民世論と運動の先頭に立ち、国に強力に働きかけていただきたい」との要請をした。県は、三森基康・県基地対策部長が受け取った。 続きを読む
種子島の漁師 浜田 純男さん
広範な国民連合・熊本事務局 渡邉 浩
TSMC(台湾積体電路製造)が進出したのは、熊本市に隣接する人口4万5千人の菊陽町である。かつては、農業を中心にベッドタウンとして発展してきた町だが、1988年にセミコンテクノパークが造られ、ソニーや東京エレクトロンが進出し、半導体関連の工場が集まり、県内では数少ない人口が増えている町である。そこに、巨大なTSMCが来て、地域は激変している。 続きを読む
いちき串木野市議会議員 吉留 良三
政府は25年ぶりに食料・農業・農村基本法を見直しました。「強い農業」を目指したはずが、資材高騰や気候変動等で、農畜産業は危機的です。わずか38%に低迷する食料自給率を引き上げ、農家所得確保につながる方策を期待したが、変わりませんでした。 続きを読む
鹿児島大学教授 伊藤 周平
3年余りに及ぶ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのもと、感染拡大地域では、入院できる病床や医療従事者の不足で、多くの感染者が入院できず「自宅放置」となり、高齢者施設の高齢者や精神科病院の精神障害者は施設に留め置かれ、必要な医療を受けることができないまま亡くなった(詳しくは、横山壽一・井上ひろみ・中村暁・松本隆浩『コロナ「留め置き死」』旬報社、24年参照)。医療が提供されず、本来であれば救える命が救えない「医療崩壊」が生じ、高齢を理由に人工呼吸器の利用を拒否される、認知症や精神疾患のある患者の入院が対応困難との理由で忌避されるなど、とくに高齢者や障害者について入院治療の優先順位が低位に置かれる医療差別(「いのちの選別」)がさまざまな場面でみられた。 続きを読む
KNOW NUKES TOKYO 山口 雪乃
3200人。今年8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典にて奉安された死没者名簿のお名前の数です。私は毎年9日は、朝から夕方まで市内で開催されている平和に関連するさまざまなイベントを巡り慌ただしく予定を終えると、夜は自宅で平和祈念式典の録画配信を視聴しながら心を静かにする時間を持ちます。今年の式典も、長崎市長による平和宣言や被爆者代表の平和への誓いなど、心が震える場面が多くありました。その中でも個人的にとりわけ印象深かったのが、原爆死没者名簿の奉安です。今年の名簿には自分の祖父の名前もその一人に加えられ、「被爆者がいなくなる」という事実をあらためて突きつけられた思いがしました。 続きを読む