日本の食料・農業危機の深層と日本社会崩壊の足音
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
ロシアがウクライナの穀物積み出し港の攻撃を7月に再開し、インドは世界の輸出の4割を占めるコメの輸出の多くを7月から停止した。紛争に備えて中国は人口14億人が1年半食べられるだけの穀物を備蓄するために買い占めているという(一方、日本の穀物備蓄能力は1・5~2カ月だ。この点でもまったく危機への備えに雲泥の差がある)。さらに、イスラエル・パレスチナ紛争も勃発した。国際情勢はさらに悪化している。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
ロシアがウクライナの穀物積み出し港の攻撃を7月に再開し、インドは世界の輸出の4割を占めるコメの輸出の多くを7月から停止した。紛争に備えて中国は人口14億人が1年半食べられるだけの穀物を備蓄するために買い占めているという(一方、日本の穀物備蓄能力は1・5~2カ月だ。この点でもまったく危機への備えに雲泥の差がある)。さらに、イスラエル・パレスチナ紛争も勃発した。国際情勢はさらに悪化している。
いちのたんぼの会代表 樋口 茂敏(福岡県大牟田市)
「いちのたんぼの会」草刈り隊(右端が会代表の樋口茂敏さん)
福岡県大牟田市の市民団体「いちのたんぼの会」は結成から20年を迎え、8月下旬に「20周年を祝う会」を開催しました。当日は、大牟田市長、市議会議員、市農業委員会会長、グリーンコープ生協支部理事長などの来賓を含めて40名近くが参加し、20年の軌跡を振り返り、今後の課題を確認し合いました。編集部のご厚意により、この間の私たちの取り組みの一端を報告させていただきます。
山形県・農民 置賜自給圏推進機構代表理事 渡部 務
猛暑どころか酷暑をくぐり抜け、なんとか米収穫を終わることができた。山形県の作況指数は101の平年並みとのことだが、予想された品質低下は現実となって表れた。
水不足に見舞われた他県ほどではないが、1等米比率が昨年を32%下回る63%となっている(当農協9月末)。その原因は梅雨期間の曇天続き、梅雨明けからの猛暑、そして登熟期の降雨と暑さ、そのため腹白米、芯白米被害が発生し、米粒の充実不足も重なった結果である。その結果、米価は昨年より1000円(60キロ当たり)上がったものの、2等米は600円、3等米は1600円の価格差となり、値上げ分が吹っ飛んだ。
「福島円卓会議」(福島県男女共生センター館長、元福島大学副学長)千葉 悦子
私は30年余り福島大学で教鞭を執り、2018年3月に退職しました。東日本大震災以降は教育も研究も福島の復興・再生のために追われる毎日だったような気がします。
東日本大震災に伴う原発事故で全村避難となった飯舘村には、これまで学生の実習や調査研究のフィールドとして多くのことを学ばせていただきました。とくに第五次総合振興計画の策定(04年)や中間見直しの作業(09年)では村職員と住民とひざを突き合わせて何度も話し合い、村民の方々との信頼を深めてきました。私たちは飯舘村の豊かな村づくりの実践を地域づくり論として発信しようと準備を進め、いよいよ刊行という段階にまで進んでいたそのさなかに東日本大震災が発災したのです。
広範な国民連合・福岡は10月1日、福岡県教育会館において「沖縄を再び戦場にさせない」映画と講演のつどいを開催しました。当日は150人ほどの参加でした。
沖縄県南城市の市議会議員で30歳と若い瑞慶覧長風さんを講師に招き、長風さんと年齢も近く、4月に新しく議員となった筑紫野市議会議員の吉村陽一・春口あかねさんのフレッシュな二人に司会をしてもらいました。
参議院議員・琉球大学名誉教授 髙良 鉄美
米軍普天間基地の移設先になっている名護市辺野古の埋立て工事は、沖縄県民の反対にもかかわらず、強行されてきた。これまでいくつもの裁判が県と国との間で行われてきているが、ここでは2023年9月4日の最高裁判決について取り扱う。埋立て工事は辺野古側と大浦湾側(と言っても対岸ではなく、埋立て区域を便宜上分けただけである)で行われるが、辺野古側は浅瀬で比較的工事がしやすく、現在この部分は一応の埋立ては完了している。大浦湾側については軟弱地盤等の存在もあり、沖縄防衛局は沖縄県知事に埋立て工事の設計変更を申請した。知事が同申請を不承認としたため、沖縄防衛局はこれを不服として、国交大臣に県知事の不承認の取り消しを求めて審査請求を行った。国交大臣は不承認の取消裁決を行い、さらに承認するよう知事に「是正の指示」を行った。この是正の指示が地方自治に対する「違法な関与」にあたるとして県が国を被告として裁判所に判断を求めたものだが、最高裁判所は「国の指示は適法」として上告を棄却した。
衆議院議員 屋良 朝博
米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐる政府と沖縄県の裁判闘争は、軟弱地盤改良工事に必要な設計変更を玉城デニー知事に代わって政府が代執行する。地方は政府に従えーとばかりに、地方自治と自己決定権さえ踏みにじるモンスター事業が進んでいく。ひどい国だ。
宮古島市議会議員 下地 あかね
9月24日、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」設立キックオフ集会が、沖縄市民会館大ホールで行われました。宮古島からはオンライン会場をつないでの参加となりましたが、この集会にこぎつけるまで、10回を超える会合にオンラインで参加しています。侃々諤々の議論を経てのキックオフ集会開催に、大変感慨深い思いになりました。
「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」
呼び掛け人 西尾 慧吾
「沖縄差別」という言葉が、これほど当てはまるときはない。9月4日、最高裁第1小法廷は、辺野古新基地建設設計変更申請を不承認とした沖縄県に対して国土交通省が出した是正指示を適法とする判決を下した。5人の裁判官全員一致の意見だったという。政府はこの判決を錦の御旗にし、沖縄の自己決定権剝奪に驀進している。
しかし、地方は国の下請けではなく、地方のことは地方で決める。これが国家総動員体制の復活を防ぐ、「平和国家」日本の屋台骨だ。沖縄の地方自治を政府が公然と破壊し、最高裁がそれにお墨付きを与える現状を、「沖縄の問題」として放置しておいてよいはずがない。
石垣市出身・会社員・26歳 阿利 斎生
皆さんこんにちは。石垣市出身の阿利斎生と申します。「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」の事務局におりまして、ふだんは那覇で会社員をしています。
波照間で生まれ、石垣で育ちました。子どもの時には与那国島に住んでいたこともあります。私が育った島々には美しい歌や芸能があります。この夏、4年ぶりにそれが復活し、島の活気が戻ってきました。この風景がずっとずっとこの先も長く続いていけばいいなと思っています。
東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターYoung Friendship Okinawa-YouFO
平良 友里奈
私たちは当初から、若い人たちが参加したくなる集会を開催するにはどうしたらいいのかと、ずっと模索し続けています。参加しやすい雰囲気を大切にしつつ、危機的な状況もちゃんと知る機会となってほしい。
ゼロエミッションラボ沖縄 神谷 美由希
左から神谷美由希さん、平良友里奈さん、山城博治・県民の会事務局長、右端が瑞慶覧長風・南城市議(9月24日、沖縄市でのキックオフ集会で)
私は、9月24日のキックオフ集会で司会を務めさせていただきました。
今、台湾有事の危機があるなかで、私たちは絶対に戦争に反対することを国内、世界中に発信していかなくてはいけない大事な局面にあります。
去年から私はその危機感を強くし、平和活動に力を入れることにしました。
今、私たちは「戦争反対!」と国内外でアピールしないといけないという強い思いでこの活動をしています。
『日本の進路』編集部
臨時国会が始まっている。経済対策補正予算案が中心といわれるが、残念ながら深刻な状況にある国民の声は届いていない。
「身ぐるみひとつで牛も馬も畑も家も墓も海も捨てて島から追い出されることを絶対に認めない」、住民はこう吐露した。「有事」に全島民を1日で島外避難させるという与那国町での説明会(10月9日)でのことだ。与那国島は台湾から110㎞。
東京大学社会科学研究所教授 丸川 知雄
日中の平和と友好が大事と考える人々にとって今年(2023年)の夏はなかなかつらかったと思う。いうまでもなく、福島第一原発の敷地内に溜まった核汚染水を処理した水を海洋に放出する作業が始まったからである。日本政府と東京電力は、汚染水に含まれる放射性物質を極力取り除くものの、トリチウムは濾過しても取り除けないので海水で希釈したうえで放出するのだと説明している。