3月、沖縄県民の注目すべき前進
『日本の進路』編集部
台湾有事が叫ばれ大軍拡予算が成立、政府では抑止力という軍事力強化だけが目立つ。こうした中で沖縄は3月、県議会の意見書採択など、東アジアの平和と安定をめざして外交で事態を打開しようとする画期的前進が見られた。玉城デニー知事が中国を訪問する計画も言われる。2月26日には「沖縄を平和発信の場に」と全国に共同の努力を呼びかける緊急集会も開かれていた。県民、県知事、県議会が一体となって動き始めた。
『日本の進路』編集部
台湾有事が叫ばれ大軍拡予算が成立、政府では抑止力という軍事力強化だけが目立つ。こうした中で沖縄は3月、県議会の意見書採択など、東アジアの平和と安定をめざして外交で事態を打開しようとする画期的前進が見られた。玉城デニー知事が中国を訪問する計画も言われる。2月26日には「沖縄を平和発信の場に」と全国に共同の努力を呼びかける緊急集会も開かれていた。県民、県知事、県議会が一体となって動き始めた。
ウクライナ戦争は、ロシアの侵攻以来2月24日で1年を超えた。この1年の経過は、文字通り世界が歴史的な転換期にあることを示している。岸田首相は、1月23日の通常国会冒頭の施政方針演説で「われわれは歴史の分岐点に立っている」として、第1にウクライナを挙げて「国際平和秩序の弱体化」を指摘した。
沖縄国際大学教授 前泊 博盛
前泊博盛沖縄国際大学教授は衆議院予算委員会公聴会で2月16日、公述人として意見陳述と質疑応答をおこなった。本稿は、そこでの発言を『日本の進路』編集部が整理・要約したもの。(見出しを含めて文責編集部)
衆議院議員・元自民党幹事長 石破 茂
岸田政権は、「安全保障政策の歴史的転換」と言って大軍拡政策を進めようとしている。衆議院議員の石破茂さんは衆院予算委員会で2月15日、10年ぶりに質問に立ち、質問時間の大半で岸田総理の安全保障政策について質し、自説を展開した。さらに、「サンデー毎日」のインタビューにも答えた。本誌は石破茂さんにインタビューした。(見出しとも文責編集部)
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 に聞く
ウクライナ戦争から1年。昨年の開戦から、僕は即時停戦を言い続けてきました。それが和田春樹先生たちの耳に留まって、それ以来一緒に声明文を国連事務総長宛てに出すなど、いろいろな働きかけをしてきました。日本人は、「停戦」と「終戦」の違いがあまり分かっていないと思います。日本は、かつての戦争で、停戦にならず終戦までいってしまった。もし停戦がされていたら? 3月10日の東京大空襲も、沖縄戦も、広島・長崎も回避できたか? これは歴史のイフですが、本来ならその違いをいちばん分かる国民でなければならないと思うのです。
石垣市議会議員 花谷 史郎
3月5日、石垣島の陸上自衛隊駐屯地に軍用車両が搬入される予定と聞き、私は市内にある港近くで早朝から待機していました。
この港の敷地内には数日前から貨物船で運ばれてきたと思われる大量の車両が止められており、それを目隠しするため周囲に高さ3メートルほどの囲いが設けられており、出入り口の前には警備員が立ち、中の様子を窺うことはできません。
ジャーナリスト 高野 孟
本稿は、高野孟さん主宰のINSIDER No.1195 23/02/27に掲載された、石破茂さんの「サンデー毎日」3月5日号でのインタビューの論点を紹介したものである。「続」とあるように、高野さんはINSIDERの前号で、石破茂さんの衆院予算委員会での質問を詳論している(INSIDER https://www.mag2.com/m/0001353170)。なお、見出しは元のママ。再録に際して誌面の都合上編集部の責任で若干割愛している。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
参議院の「外交・安全保障、戦争と平和、軍縮」に関する調査会に招かれて2月22日、羽場久美子青山学院大学名誉教授は参考人として意見を述べた。そこでは、「世界平和と新国際秩序において、日本が実践的役割を果たす」という問題意識に基づき、①今はどういう時代なのか、をデータに基づき分析し、②加えて、最も重要なこととしていま戦争と緊張を招いているメカニズムは何なのか、③市民が戦争の犠牲にならないために、平和と繁栄の新世界秩序をどのように構築するべきか、という課題を提起した。本稿は、戦争を防ぎ平和と繁栄を築くための日本の役割と問題提起について、整理したものである。(当日のパワーポイントに基づき、編集部が要約)
「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」(同実行委員会主催)が2月26日、沖縄県那覇市泉崎の県庁前県民広場で開かれた。主催者発表で1600人が参加し、政府にミサイル配備・軍拡をやめて外交の充実・強化を図ることを求め、全国の自治体においても沖縄県と同じように独自の自治体外交を通して隣国中国と平和交流の強化を図るよう求める集会宣言を採択した。
沖縄市在住(1936年生まれ) 仲宗根 藤子
1944年10月10日の米軍による空襲(十・十空襲)を、大人も最初は敵機と気づかず、空を見上げておりました。地響きを立てて飛んでいる異様な巨体の飛行機が頭上を飛び去った。その直後に姉の後を追って山に逃げました。大木の陰に身を隠して、空襲がやむのを待ちました。母と弟は家の壕の中で無事でした。
十・十空襲で、父の妹(私の叔母)は爆弾の破片がおなかを貫通して即死しました。叔母の母とは「戦争が来たらどうしようか」と深刻に語り合っていました。夫は病弱だし長女は小児まひで手がかかるので戦争のことばかり気にかけていました。真っ先に叔母が息を引き取ってしまい、二人は自決したとひそかに聞いています。今、叔母の孫は「琉球新報」の四コマ漫画を描いています。
平良 友里奈
私は、「島々を戦場にさせない!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」の司会をさせていただいた。そして、この緊急集会に寄せた私の投稿が2月17日付の「琉球新報」に載って多くの方の反響を呼び、投稿を読まれた何人かがさらに投稿してくださるといううれしいことも起きた。以下はその抜粋だ。
実行委員長あいさつ 具志堅 隆松 さん
(遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)
皆さんこんにちは
ガマフヤーの具志堅隆松です。今までやってきていることは、沖縄戦で亡くなった人、正確に言えば殺された人ですが、殺された人たちの遺骨を探し出して遺族の元に帰そうと、その思いで活動してきました。その人たちの遺骨と向き合っていつも考えていたのは、どうしてこの人たちは殺されなければいけなかったのだろうか、私たちはどうしてこの沖縄が戦場になることを避けることができなかったのだろうかということでした。
私たち沖縄県民は平和を愛する民です。私たち沖縄県民は「命どぅ宝」を大切にしてきました。人を殺すこともまた殺されることも望みません。私の命も隣の人の命もどれも同じように大切です。私たちは全ての戦争を拒否します。ミリタリーパワーよりピースパワーを拡げていきましょう。沖縄から生まれたこの理念を世界の仲間たちにも拡げていきましょう。
宮古島市議会議員 下地 あかね
2月26日、沖縄県庁前の県民広場は1600人の熱気に包まれました。昨年12月16日閣議決定された安保3文書は、沖縄本島を含む南西諸島へさらなる軍備強化を推し進めるもので、とくに島嶼部におけるミサイル部隊の配備は、有事の際に住民の命と暮らしを脅かすものになりかねません。与那国、石垣、宮古、それぞれの島からも参加する県民集会となりました。