沖縄一覧

第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 山崎 拓

 

台湾問題はあくまで中国の内政問題
平和的解決を求め日本も外交努力を進めるべき

元自民党副総裁・防衛庁長官 山崎 拓

 

 

 

 昨日の玉城デニー沖縄県知事の慰霊の日式典での発言で、昨年暮れの政府、岸田政権が発表した、「国家安全保障戦略」など3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)、知事は防衛3文書という表現をお使いになりましたが、これについて心配される方向性があるとおっしゃったように受けとめました。この中で緊迫するアジア情勢ということがうたわれております。それは東アジアの中でいわゆる政治体制の違いと申しますか、自由民主主義体制の国と専制主義の国との基本的な対立があるという見方です。そのことから生まれてくる東アジアの緊迫する軍事情勢があるというのが、この国防3文書、なかんずく防衛戦略文書であると思います。

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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 羽場 久美子

 

パワーとパワーの境界線にある美しい地域を、
戦争の最前線から平和と繁栄の最前線に!

「沖縄を平和のハブに」プロジェクト共同代表、青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

 

 「沖縄を平和のハブに」というのは、沖縄がパワーとパワーの境界線にあるからです。
 ハワイや沖縄、台湾あるいはウクライナ西部、東部もそうですが、これらはいずれもとても美しい観光地であり、国と国のボーダーであり、歴史的に周りの多くの民族が移り住み、結果として多民族共存の地域をつくり出してきました。先ほどのエイサーも日本本土のわびさびとは少し違う、大変美しく壮大な芸術です。そうした歴史的な多民族共存の地域をミサイルや戦争の最前線基地にしていったのは近代以後、植民地以後です。そして、その結果ハワイのパールハーバーをはじめとして沖縄、台湾、朝鮮半島、クリミア、ウクライナ、「境界線」地域が全て戦争の最前線地域になっていきます。

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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 劉 江永

 

基本的な対立関係に変化した中日関係

中国清華大学国際関係研究院教授 劉 江永

 

 

 

 今日は、ここで中日関係の現状と沖縄の将来という話題に自分なりの見方を申し上げたいと思います。
 中国と日本との関係は今、「政冷経熱」という形から「政冷経冷」という形に変わりつつあります。本質的には、互恵関係からお互いに対抗し合うような段階に入りつつあります。

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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 我部 政明

 

周囲の安定が沖縄の豊かさの条件

国際政治学者 我部 政明

 

 

 今日のシンポジウムにあるフレーズ「沖縄を平和のハブとする」と言うけれども、誰が、という主語がありません。沖縄の人の中には、自分たちではなく周りの誰かが沖縄を「平和のハブ」にしてくれるのでは思っている方がいるのでないでしょうか。このフレーズに主語がない以上、そう考えられても致し方ないと思います。

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来賓あいさつ 鳩山 友紀夫

 

武力ではなく対話で 東アジア共同体で平和をつくる

東アジア共同体研究所理事長・元内閣総理大臣 鳩山 友紀夫

 

 

 

 お集まりのすべての皆さん、こんにちは。久しぶりに皆さまがたにお目にかからせていただいてたいへん幸せでございます。
 私は、昨日は「平和の礎」に伺い、私なりの思いと祈りを捧げてまいりました。そして、今朝は対馬丸記念館に行ってまいりました。800人にならんとする子どもたちが、大人を合わせると1600人もの命が一瞬にして奪われてしまいました。その中で400人ほどの方は顔写真がありますが、1200人の方々は写真もままならない、そんな状況だと伺いました。
 彼ら彼女らがもし生きてそれぞれの人生を全うしていたら、沖縄も日本ももっと変わっていたのにというそんな思いがいたしました。同時に、このようなことが起こってしまった軍事面での政治的な責任についても考えさせられました。

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来賓あいさつ 沖縄県知事 玉城 デニー

 

県民は、軍事力の抑止のみでは地域の緊張を高め、
不測の事態が発生するとの強い不安を感じている

沖縄県知事 玉城 デニー

 

 

 

 

 はいさい ぐすーよー ちゅう うがなびら。
 皆さま、こんにちは。沖縄県知事の玉城デニーです。
 今日は「アジア対話交流」ということで、この入り口の「アジア美味いもの大交流祭」にキッチンカーが何台か出ていました。アジア各国の民族料理が提供されていて、私はそこでカレーライスをいただきました。できるのを待っている間に、たくさんの県外の方から「昨日の沖縄全戦没者追悼式に行きました。ありがとうございます」と声をかけていただきました。警備もあって少し物々しかったかもしれませんが、平和であることの大切さを改めて確認できたのではないかと思います。お越しいただいた皆さま、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。  

 本日、「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流」が開催されるにあたり、ひとことごあいさつを申し上げます。

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「沖縄を平和のハブとする東アジアの対話交流」シンポジウム

6月24日開催  那覇市琉球新報ホール

対話と交流で東アジアの平和をめざす

オープニングの創作エイサー「NEO Ryukyu」

 

 

 

 

 

 

 沖縄県那覇市にある琉球新報ホールで6月24日、「沖縄を平和のハブとする東アジアの対話交流」シンポジウムが開催された。主催は、「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流PROJECT」(共同代表 羽場久美子青山学院大学名誉教授、前泊博盛沖縄国際大学大学院教授、髙良鉄美琉球大学名誉教授・参議院議員)。概要は本誌7月号既報。

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玉城沖縄県知事訪中

多面的な交流へ確かな手応え
新時代の日中関係 アジアの持続的な平和と繁栄めざす

 

『日本の進路』編集部

 日中平和友好条約45周年の夏、展望ある新たな動きが始まった。玉城デニー沖縄県知事が中国を訪問、中国側は歓迎し李強首相など政府要人らと会談した。一連の交流で玉城知事は、「日中友好関係の強化、さらにはアジアの持続的な平和と繁栄に貢献したい」と強調し、また、運休していた直行便の再開・拡大、訪中時のビザ取得緩和などを要望した。7日、沖縄に戻った知事は、「沖縄と中国の多面的な交流の活性化に向けて確かな手応えを感じた」と成果を確認した。新時代の日中関係へ、沖縄は突破口を切り開いた。沖縄が交流を継続・強化し、全国も続いて、この道を確かなものとしたい。

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全国地方議員交流研修会で訴えたい 具志堅 隆松

自治体には大きな役割と可能性がある

今度は私たちが「戦没者遺骨」になりかねない!

戦没者遺骨収集・ガマフヤー代表 具志堅 隆松さん

 

 

 

 

 

 

 私は沖縄が急速にキナ臭くなってから、どこでも二つに絞って話しています。一つは戦没者の遺骨が交じった土砂の埋め立てについて、もう一つは戦争(台湾有事)についてです。

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35歳のシングルマザー、平和運動に〝新風〟

「争うよりも愛しなさい」

東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターYouFO  平良 友里奈

 

 

 「争うよりも愛しなさい」、このタイトルは、5月23日に沖縄テレビの夕方のニュースの特集で放送された時に付けられたものだ。私は、沖縄を戦場にさせない「2・26緊急集会」そして「5・21平和集会」の司会を務めさせていただいた。この集会のスローガン「争うよりも愛しなさい」、これを提案したのは、私であった。

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自治体外交に大いに展望あり

平和はわれわれがつくる
万国津梁の気概でアジアの共生

沖縄県副知事 照屋 義実

 

 

 

沖縄県の照屋義実副知事は6月2日、韓国済州道で開催された「第18回済州フォーラム」で基調講演し、沖縄は東アジアでの地域間の信頼醸成と緊張緩和を目指し「21世紀の万国津梁を構築する」と宣言した。沖縄県の地域外交が本格的に始動したこともあり、編集部は照屋副知事にお話を伺った。(見出しとも文責編集部)

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沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流

那覇で6月24日シンポジウム 「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流」

戦争回避へ 抑止ではなく対話と外交を

 

 

 

 シンポジウム「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流」が6月24日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。同プロジェクト実行委員会(共同代表:羽場久美子青山学院大名誉教授、前泊博盛沖縄国際大学教授、髙良鉄美琉球大学名誉教授。略称「沖ハブ」)主催、沖縄の対中経済交流を進める企業家の集まりである(一社)琉球経済戦略研究会(略称琉経会)が共催。冒頭、玉城デニー沖縄県知事、鳩山友紀夫元首相が来賓あいさつした。パネル討論が、外交・安全保障、経済、次世代トークの3分野で行われた。政治家や国内と中国の有識者、経済人、若者ら11人が登壇した。「次は東アジアだ」と政府が戦争を煽るなかで、平和を構築するために抑止力強化ではなく外交努力を求めるとともに、沖縄がハブとなって東アジア諸国・地域との対話と交流を深めていく重要性を確認した。

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玉城デニー知事の平和宣言  ■ 2023年度沖縄全戦没者追悼式

二度と戦場にしない 沖縄県慰霊の日、参列者ら誓い

知事、平和宣言で安保3文書を批判、平和外交を対置

 

 

 沖縄県は6月23日、沖縄戦から78年目の慰霊の日を迎え、糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われた。台湾有事という日米政府が振りまく脅威論を背景に、沖縄への軍事力強化、「南西シフト」が急速に進んでいる。平和宣言で戦前回帰の危機感を強調した玉城デニー知事が「二度と沖縄を戦場にしてはならない」と決意を述べ、参列者は大きな拍手で支持と誓いを表明した。
 知事は平和宣言で、昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略などの安保3文書が78年前の地上戦を想起させるとして、「対話による平和的外交が求められる」と政府の抑止一辺倒の軍拡政策を強く牽制した。さらに知事は「独自の地域外交を展開し、アジア太平洋地域の平和構築に貢献できるよう努めていく」と述べた。知事が平和宣言で日本政府の軍拡に抗議するのは初めて。追悼式には岸田文雄首相や衆参両院議長、関係閣僚らも参列していた。
 正午の時報に合わせ、参列者は静かに黙とうをささげた。県遺族連合会の宮城篤正会長はロシアに侵攻されるウクライナの戦況を挙げつつ「二度と戦没者遺族を出さないという信念で活動を続ける」と誓った。その後、つくば開成国際高3年の平安名秋さん(17)が平和の詩を読み上げた。

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南西諸島の軍事拠点化を超えて

「国民の誓い」として沖縄を平和と交流の島に

ニュー・パブリック・ワークス代表理事 上妻 毅

 

 

78年目の慰霊の日を迎える沖縄では「沖縄を再び戦場にするな」との声が高まっている。こうしたなかで、玉城デニー知事は地域外交室を設置し、訪米に続いて韓国訪問、さらに7月には中国訪問も予定するなど自治体外交を積極化させている。県議会も市民運動も、平和実現の自治体外交・地域外交を求めて積極的に動き始めている。1996年に大田県政下で、「21世紀・沖縄のグランドデザイン」、沖縄県「国際都市形成構想」、2005年には国境離島の新しい将来像を提起した与那国町「自立へのビジョン」の策定に、当時の吉元政矩副知事と連携し深く関わった上妻毅氏に、いま沖縄がめざすべき方向について話を聞いた。(見出しとも文責編集部)

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