国際情勢・政治一覧

トランプ政権誕生と国際情勢の劇的変化

経済も軍事も米国一極支配の時代は終わった

㈳東アジア共同体研究所所長 孫崎 享(元外務省国際情報局長)

 

 

 

 トランプ政権の特徴は、①敵味方を厳しく峻別し、敵には報復する、媚びる者は優遇する、②短期的米国の利益の獲得を追求するにある。この基本姿勢の下、トランプ大統領は国際関係において次々に提言をする。だが彼にその提言を貫徹するつもりはない。 続きを読む


敗戦後80年に 私の体験

日本の中国侵略そして敗戦
新中国成立と日中国交正常化へ

NPO法人大阪府日中友好協会副会長 戸毛 敏美

 

 

 

 1931年9月18日に始まるいわゆる「満州事変」などを口実に、日本軍は華北(中国東北部)への侵攻を強め、翌年、「満州国」をデッチ上げます。日本陸軍の獣医として父と母はハルビンへ派遣され、私は36年に中国東北部の黒竜江省ハルビンで生まれ、戦中・戦後の22年間を中国で生きることになりました。 続きを読む


戦後80年 私たちから平和をつくる

欧米中心からグローバルサウスの時代へ
沖縄、長崎、広島、全国市民を平和のハブに!

城西国際大学特別栄誉教授・青山学院大学名誉教授・広範な国民連合代表世話人 羽場 久美子

 

 

 

 

明治期とよく似た
日本の状況

 昨年、日本被団協はノーベル平和賞を受賞されました。本当におめでとうございます。ここを出発点として平和をつくっていきたいと思っています。私たちは何を社会に求めていくか、そして若者たちに何を伝えるべきかということを考えていきたいと思います。 続きを読む


敗戦80年 ■ 日中労交第9次「日中不再戦の誓いの旅」に参加して

南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参列

日中労働者交流協会・全労協女性委員会 中原 純子

 

 

 

 

 

 

 

 中国全国人民代表大会は、2014年2月27日、南京大虐殺犠牲者に対する「国家公祭日」(National Memorial Day)として正式に12月13日を定めた。私は昨年12月12日から15日まで、日中労働者交流協会(日中労交)第9次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団(団長は伊藤彰信・日中労交会長、元全港湾労働組合委員長)の6人の一員として江蘇省南京市を訪問し、13日の南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参列した。その他、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(南京大虐殺記念館)はじめ南京大虐殺関係施設を見学し、南京師範大学の学生たちと交流を行った。短期間だったが学生二人も参加して「日中不再戦を誓う」意義ある訪中となった。 続きを読む


トランプ政権が突きつける真の課題

「米国が守ってくれる」と思っていた日本が異常だった

元内閣官房副長官補 柳澤 協二(元防衛省)

 

 

 

米大統領選
「またトラ」の選択

 11月5日の米国大統領選ではトランプが勝ち、上下両院選でも共和党が多数を獲得した。バイデン政権とハリスが国民の不満を吸収する言葉を持てなかった結果である。米国経済は、IT・先端技術産業を中心に米国一強というべき活況であった。 続きを読む


トランプ政権再登場で世界はどうなる

ウクライナ和平の展望

静岡県立大学グローバル地域センター客員教授 東郷 和彦(元外務省)

 

 

 ウクライナ和平を選挙公約としてアメリカ大統領に選ばれたトランプが、間もなく正式に大統領職に就任する。ウクライナ和平は近く成立するだろうか。
 本当にそれに至るかは、まだわからない。けれども、アメリカ大統領の選挙公約の意味は軽くない。ウクライナ和平のために今、稀有の「機会の窓」が開かれたと考える。自分はなんとしてもここで強固な基礎に立つ和平を成立させてほしいと願っている。 続きを読む


[中国・深圳市、男子児童殺害事件]深圳の悲劇を中国敵視の道具にするな

友好こそが、被害者への追悼になる

ピース・フィロソフィー・センター代表 乗松 聡子

火がついた嫌中

 中国・深圳市で9月18日、日本人学校の男子児童が殺害された事件について、日本のメディアは連日大きく取り扱い、日中間の外交問題として政治化した。
 この日が1931年、関東軍が南満州鉄道を爆破した「柳条湖事件」の日で、その後15年間にわたる満州植民地支配と中国全土に対する侵略戦争を記憶する「9・18」の日であった。そのことから日本では、中国の「反日教育」が招いた結果であると語られ、中国に対する嫌悪が主要メディアでもネットでもエスカレートした。この3カ月前の6月24日、蘇州の日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲撃され、親子が怪我をした事件もあった。 続きを読む


[中国・深圳市、男子児童殺害事件]中国に「反日教育」はない

「私たちは中国を憎みませんし、同様に日本を憎みません」

王 景賢

 深圳で10歳の小山航平君が凶悪な犯罪者に刺され命を失いました。この悲しすぎる出来事に、まず心より遺憾の意を表しご冥福をお祈り申し上げます。日本人の父と中国人の母の間に生まれた子供がこんな無残な目に遭ったことに対して、日本だけでなく、中国社会においても深い悲しみと強い怒りに包まれ、ネット上では犯人への批判が止まりません。一日も早く真相を徹底的に究明し、厳罰を下してほしい。 続きを読む


中国・グローバルサウスとの平和協力関係へ

日中共同声明は、今も生かすべき日本外交の原点

『日本の進路』編集長 山本 正治

 石破茂新首相は衆議院を解散してその足で10月10日未明、ラオスに向かった。ASEAN首脳会議に参加し、李強中国首相と首脳会談を行った。日中関係打開に向けて、「台湾問題において『日中共同声明』を堅持するという日本の立場に変更はない」と明言した。これは当然のこととはいえ、最近の政府首脳からは聞かれぬ立場であり、英断と言える。
 命脈尽き内部対立も激化する自民党中心の連立政権であり、しかも政治状況は総選挙結果でどうなるか分からない。 続きを読む


中国側の評価と期待は高い

石破政権の誕生 その対中外交政策はいかに?

福井県立大学名誉教授 凌 星光

 中国のネット世論では、石破茂氏は平和憲法改正論者のタカ派国防族、中国にとっての「敵対的存在」と見られている。ところが、10月10日、ラオスでの石破・李強会談で、李総理は「私たちが大きな関心を持っている所信表明演説の中で、中国との戦略的互恵関係を引き続き推進し、と述べたことを、中国は高く評価している」と語った。これは一般の予想を上回る評価と期待を表している。 続きを読む


総選挙 自民党史上最悪の敗北

半壊状態の自公政権を引きずる役割の石破茂

ジャーナリスト 高野 孟

 自民党単独で解散時勢力256から65も減らし、過半数233を42も下回る191議席。自公の与党合計ですら過半数に18も足りないという大惨敗で、普通なら石破茂首相は即刻辞任して然るべきである。ところが、石破は9月27日に自民党総裁に選ばれて、早ければ早いほど有利だろうという党利党略以外に何の理由もなく、したがって国民にとっては意味がないどころか迷惑千万でしかない解散・総選挙に、最短期間でバタバタと持ち込んで、勝手にこけたわけなので、ここで惨敗したからといって今さら辞めるとは言い出せない。すでに半壊状態に陥った自公政権という荷車を引きずって行くしかないのである。 続きを読む


加速する米日両国の「対中国戦争準備」策動

「台湾は中国の一部」原則を堅持すれば危機は避けられる

『日本の進路』編集部

 日米共同統合演習「キーン・ソード25」が10月23日から11月1日まで、沖縄・奄美を中心に北海道まで全国で展開された。「仮想敵」は中国である。直前の14日には、中国人民解放軍が「『台湾独立』勢力に対する強力な懲罰だ」と台湾沖で大規模演習をした。
 マスコミは、キーン・ソードについてはほとんど取り上げず中国軍の演習だけを大々的に報道し、反中国世論を煽っている。 続きを読む


中国はどこへ行くのか?

歴史を画する「3中全会」を読む

北東アジア動態研究会主宰 木村 知義

 

 

 中国は歴史の新たな段階に歩みを進めることを力強く宣明した。
 世界注視の中で開かれた中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の「決定」を読んで抱く感慨である。 続きを読む


日中不再戦のために ■ 日中不再戦九州自治体議員の会

広がる日中不再戦九州自治体議員の会(準)

地方と地方、民と民の交流が力に

 

 日中不再戦・平和友好を進める九州自治体議員の会は4月13日、福岡市で結成準備会を開いた。その後、西聖一熊本県議を団長に九州3県の自治体議員と事務局員の計9人が参加して4月23日から28日まで北京、南京を訪ねる訪中団を派遣した。訪中の成果を広め戦争回避・日中友好の機運を高めるため、賛同会員の拡大と、当面二つのことに取り組むことになった。一つは、結成準備会での羽場久美子・青山学院大学名誉教授の記念講演と訪中報告をまとめた冊子を発行すること。もう一つは、訪中報告会を各県で開催すること。報告会は7月21日に福岡市で、8月21日に長崎市でそれぞれ開催された。 続きを読む