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コロナ禍で困窮の学生 ■ インタビュー/要求と闘い

多くの学生が政治に主張せざるを得ない状況に追い込まれ

「一律学費半額を求めるアクション」代表 山岸 鞠香さん

 私は慶応義塾大学理工学部で数学を専攻し卒業しました。大学院修士課程をフランスのエコール・ポルテクニーク大学院で修了して、この後、日本の博士課程の大学院に進学予定です。
 今、「一律学費半額を求めるアクション」(略称「一律半額アクション」)の代表をしています。このアクションは4月半ばに発足しました。学費関係の学生団体の中でもコロナ禍を受けて発足したことが特徴だと思います。 続きを読む


コロナ禍で困窮の学生 ■ 発足した菅新政権に切実な訴え

FREEが9月16日、コロナ禍から学生を守ろう!官邸前ラリー

 高等教育の無償化を目指す学生団体「FREE」が16日夜、発足した菅内閣にコロナ禍で苦しむ切実な声を届けようと官邸前ラリーを開催した。
 ラリーでは8人の大学生、大学院生が各大学の切実な状況を訴えた。 続きを読む


菅義偉新政権の成立 ■ 安倍政権崩壊は必然

新しいグランドデザインが求められている

『日本の進路』編集部

 9月16日、国会で菅義偉首相が選出され、新政権が発足した。
 7年8カ月に及ぶ安倍政権は、首相が政権を投げ出して崩壊した。全国の自民党員による党員投票すらなしの総裁選出であった。公明党は、節操もなく今回も連立で政権に加わった。菅新首相と関係が深いといわれる日本維新の会は、事実上の与党である。
 他方、枝野幸男氏を代表に新たな立憲民主党が立ち上がった。野党各党は、首班指名選挙で枝野氏にこぞって投票し、解散総選挙に備えるとしている。 続きを読む



米海兵隊の戦略転換と日本の防衛・安全保障

日本の立ち位置をどう選択するか?

国際地政学研究所(IGIJ)理事長 柳澤 協二

 今年の3月、「米海兵隊兵力デザイン2030」が議会に報告されました。海軍・海兵隊が戦略・編成を替えようとしている背景に、中国に対する米国の軍事的優位に陰りが見えてきたことがあります。インド太平洋軍のレベルでも、対中国の戦い方として「集中から分散」という方向を志向しています。こうした米国の戦略転換は、日本の防衛政策にも大きなインパクトを与えることになると思います。
 辺野古への米海兵隊普天間基地代替施設の建設も、海兵隊の戦略・配備の変更に左右されます。また、陸上イージス計画の断念と「敵基地攻撃論」についても、グアムのミサイル防衛と長距離精密打撃力に重点が置かれようとしている米軍の新戦略のなかで、日本の役割を大きく変える可能性をはらんでいます。 続きを読む


戦後75年に思う ■「連合平和行動」は中止になったが

未来につなぐ沖縄からのメッセージ

日本労働組合総連合会 沖縄県連合会(連合沖縄)会長 東盛 政行

 連合は、社会連帯を通じた平和、人権、社会貢献への取り組みと次世代への継承を推進するため、幅広く国民的課題や地域の課題に対して役割を発揮し、戦争や大規模災害などの実相を風化させない取り組みを構築すべく、今年は「2020平和行動における戦後75年の取り組み」を準備してきた。 続きを読む


戦後75年に思う ■ 長崎と沖縄

時にあらがう 長崎と沖縄、継承この手で

毎日新聞長崎支局記者 松村 真友

 「戦争はならん(いけない)」。沖縄戦を体験した祖母に子供の頃からそう教えられた沖縄出身の私(宜野湾市生まれ、24歳)が、同じように太平洋戦争で大きな被害を受けた長崎に記者として赴任した。被爆者が凄惨な過去を思い返しながら語る体験は、何度聞いても顔をゆがめてしまうほど悲惨で、つらい気持ちを押して話す姿にいつも心打たれる。だが一方で、沖縄で繰り広げられた地上戦が本土で思ったほど知られていないことと比較し、世界で唯一被爆を経験した「ヒロシマ・ナガサキ」の発信力に嫉妬する自分も、正直いた。 続きを読む


戦後75年に思う ■ 沖縄

未曽有のコロナ禍の沖縄から将来を展望する

南風原町議会議員 照屋 仁士

原爆の日に沖縄から

 8月6日朝8時15分、広島の平和祈念式典にチャンネルを合わせ、6歳の娘と3歳の息子に説明をしながら、黙とうを行った。子どもたちに理解できるかはわからない。でもこの間、戦跡巡りのバスツアーや、普段から沖縄の至るところにある戦跡や米軍基地を一緒に見せながら、子どもたちに語りかけてきた。ふとした時に、「たくさん爆弾が落ちたんでしょ」なんて言葉が返ってきてびっくりさせられる。 続きを読む



少なくともまず東アジアを戦争のない地域に――長老たちの提言

「どうやって他の国が攻めてこないようにするか」を、国際政治・外交の本旨に

東アジア不戦推進機構代表 西原 春夫

各界長老が連名で発表した「東アジア不戦」の提言を紹介するにあたって、編集部は、「提言」を提唱され、運動を進めるために「東アジア不戦推進機構」をつくり代表を務めておられる西原春夫さん(早稲田大学元総長)からメッセージを頂いた。

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わが国は再び近隣諸国の脅威となってはならない

「敵基地攻撃能力」は戦後の反省と「非軍事」路線からの根本的転換

自主・平和・民主のための広範な国民連合

 安倍政権は、コロナ感染症対策さえ満足でないにもかかわらず、「敵基地攻撃能力保有」の新たな安全保障政策の検討に入った。
 自民党の提言は、「憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方の下」という条件をつけてはいる。だが、どう取り繕っても実態を変えることはできない。
 わが国の自衛隊という軍隊が、米軍とともに相手国領域内に攻め込む軍事力を保有する。日本は明らかに一線を越える。 続きを読む


香港問題をどう考えるか(1)

『日本の進路』編集長 山本 正治

より歴史的にとらえないと未来を誤る

 私たちは、自由を求める香港の青年たちの要求と闘いに深い共感をもっている。いかなる政権であってもこうした行動を力で弾圧することは許されない。
 しかし、香港の問題(国家安全維持法制定)は完全に中国の内政問題である。アヘン戦争によって奪われた香港の領土と主権を回復する歴史的課題が中国国民と政府にはまだ終わっていない。「国際社会」による、「自由」とか「人権」という言い分での乱暴な内政干渉は許されない。それは植民地主義の手法である。問題を解決できるのは中国国民だけである。 続きを読む


香港問題をどう考えるか(2)

『日本の進路』編集長 山本 正治

アヘン戦争で「大英帝国」に奪い取られた香港

卑屈なわが国マスコミ

 朝日新聞社説は「19世紀以降、英国の植民地支配下で育まれた独特の都市文化は変質せざるをえないだろう」(7月1日)といって、英国の香港植民地支配を無条件に賛美し、中国政府を激しく攻撃する。「香港の声を聞かずに」「人権」「香港の高度な自治」等々と、わが国マスコミも野党も声高である。だがこれらの中国攻撃は、「大英帝国」がアヘン戦争を通じて香港を中国から強奪し、植民地支配を進めたことに一言も触れない。それどころか朝日新聞に至っては逆に、それを天より高く持ち上げる。「植民地都市文化の変質」、大いに結構、それこそ必要ではないか。植民地文化にどっぷり汚染されたマスコミ人は気づかないのであろうか。 続きを読む


香港問題をどう考えるか(3)

『日本の進路』編集長 山本 正治

司法権も民主制も大英帝国当時のママ

 例えば、「高度な自治権」の中には、「独立の司法権および終審裁判権を有し、現行の法律は基本的に変えない」ことも含まれていた。要するに、イギリス帝国の世界支配の法体系(コモン・ロー)をそのまま維持するという合意だった。コモン・ローは英国(帝国)独特の「一般的慣習法」のことで、英連邦の司法関係者以外には理解もできず、運用もできない。そこに司法支配を委ねるということである。香港基本法92条には「裁判官は、他のコモン・ロー適用地域から招聘できる」とも規定されている。この結果、現在も最終審(最高裁)判事は17人中15人が外国籍である。
 返還とは名ばかりで、ロンドンの金融街による香港の司法支配であり、それに従属した自由だった。司法制度は植民地のままだった。 続きを読む