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安保条約60年の現実

 今年、現行の日米安全保障条約締結から60年を迎えた。安倍首相は調印記念日の1月19日、「100年先まで、日米同盟を堅牢に守り、強くしていこう」と述べた。いつまで日本はアメリカに縛られるのか。「日米同盟基軸論」は野党の中にも浸透している。
 4月28日は、1951年9月8日に締結されたサンフランシスコ講和条約と旧日米安保条約の発効記念日である。この日、沖縄などが日本から切り離され米軍の直接支配下に置かれた。また、米軍は「合法的」に日本全土どこにでも駐留する特権を手にした。さらに「行政協定」(今日の「地位協定」)で日本の法律に縛られない特権も手に入れた。
 沖縄県民はこの日を「屈辱の日」と呼んでいるが、まさに民族的屈辱の歴史であり、今も日本の現実である。この機会に日米安保同盟を検証する。(編集部)


[安保条約60年の現実] 日米戦争同盟へと変貌する日米安保

戦争のできる国を目指す安倍政権

ジャーナリスト 吉田 敏浩

 今年は安保改定から60年の節目にあたるが、安倍政権のもとアメリカに追従しながら「戦争のできる国」への動きが加速している。安倍政権は違憲である集団的自衛権の行使を強引な解釈改憲によって容認した。専守防衛の原則を捨て、集団的自衛権の行使などにより、自衛隊が海外で米軍の補完戦力として参戦できるための安保法制つまり戦争法制も整備した。憲法9条を変えて自衛隊を明記し、実質的に戦争ができる軍隊に変えることも企てている。
 米日同盟を米英同盟のような共に〝血を流す〟同盟へと変えたいアメリカの戦略と、それに呼応して軍事大国化を目指す安倍政権の思惑が合致している。軍事予算(防衛予算)は増え続け、アメリカからの武器購入も増加し、自衛隊の軍備は拡大する一方だ。 続きを読む


[安保条約60年の現実] 日米安保体制下の沖縄に生きて

広範な国民連合顧問
元沖縄県教職員組合委員長 石川 元平

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 去る3月9日の「琉球新報」は1面~2面にかけて、「沖縄は国連の『信託統治』であった」という誤認についての記事を大きく報じた。2014年に刊行され、15年に読売・吉野作造賞を受賞した獨協大学教授の福永文夫氏による『日本占領史 1945―1952 東京・ワシントン・沖縄』の初版本や、2019年に直木賞を受賞した真藤順丈氏の沖縄を題材にした小説『宝島』などにある誤認を挙げている。 続きを読む


[安保条約60年の現実] 石垣島・陸自ミサイル基地に反対する

自衛隊配備問題に揺れる島

沖縄県議会議員 次呂久 成崇

はじめに

 沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設計画をめぐり、名護市辺野古の沿岸部を埋め立てることについて賛否を問う県民投票が2019年2月24日に投開票され、反対票が投票総数の7割を超えた。玉城デニー氏が18年の県知事選で当選した際に集めた過去最多の得票をも超えており、辺野古への移設に反対する県民の強い「民意」を改めて示したこの県民投票は全国のマスコミでも取り上げられた。 続きを読む


三池争議から60年。見えてくるもの

映画制作を通したジェンダー考察

岡本 美沙(映画『ひだるか』主演女優・ピアニスト)

 今年は戦後最大の労働争議である三井三池闘争から60年の年である。小泉政権の下で労働市場の規制緩和により非正規雇用が急拡大した2005年、「三井三池闘争」に注目し、この争議の意味を捉え直し、そこから何らかの教訓を引き出すことで、若い世代に引き継ぐものはないだろうかとの思いで映画『ひだるか』(港健二郎監督)が制作された。この映画に主演され、現在も音楽・映像・メディアなど多様な分野で、社会を問う活動をされているピアニスト・岡本美沙さんに現在の活動や思いを書いていただいた。(見出しは編集部) 続きを読む


沖縄県議選 「オール沖縄」候補への支援を呼びかける

オール沖縄会議共同代表 照屋 義実

 沖縄県議選(5月29日告示、6月7日投票)が間近に迫ってきました。
 定数48の県議会(欠員2)で、デニー知事を支える「オール沖縄」県政与党の議席は現在26人、野党の自民党・公明党、元維新(現在無所属)の議席は20人です。
 自民党は、去る3月17日、党本部で開いた党大会に代わる両院議員総会で2020年度の重要な選挙戦として沖縄県議選を挙げ「勝利のために、党の総力を結集し闘い抜く」と強調し、「オール沖縄」つぶし、県政奪還の動きを強めてきています。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 観光が主産業の沖縄 「無給の休職を募る状況」

連合沖縄 組合アンケートもとに県へ申し入れ

富川副知事に申し入れる東盛会長(右)

富川副知事に申し入れる東盛会長(右)

 県外からの観光客が1000万人を超え、観光産業は沖縄経済の中心を担ってきたが今回のコロナショックで大打撃となっている。
 連合沖縄(日本労働組合総連合会 沖縄県連合会)の東盛政行会長は3月19日、県庁に富川盛武副知事を訪ね、新型コロナウイルス感染症対策に関し、休業補償の拡充や無利子の融資などあらゆる支援策の実施や手続きを簡素化することなどを求める要請書を手渡し、県の緊急かつ強力な対策を申し入れた。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 北海道での新型コロナウイルスの影響と課題

道民に寄り添わない鈴木知事、官邸の露払いか

北海道議会議員 北口 雄幸

知事の初動対応で混乱拡大

 北海道内で最初の感染者が確認されたのは2月14日。次の確認は2月18日であり、この時鈴木直道北海道知事は道内出張中であり、先に発表したのは札幌市であった。そして北海道の発表の仕方が、その感染者の居住地や感染経路などを一切発表しなかったことから、道民の不安はさらに増幅されたのである。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 感染症拡大――「日本の底力」失う危機

産別、ナショナルセンターが役割発揮を

安河内 賢弘・JAM会長 に聞く

■昨年段階ですでに景況感は悪化―本当の危機はこれから

 昨年4月、加盟組合に行った景況調査で、景況感が大幅に悪化していました。続く9月の調査ではさらに景況感は悪化しました。
 これには10月の消費増税の影響が入っていません。米中の貿易摩擦の影響で、中国経済が減速した点が大きいと思います。そして、それに消費増税が追い討ちをかけました。さらにそれが今回の感染症の世界的拡大でさらに落ち込むのではないかと見ています。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 中小企業家同友会全国協議会会長談話

 中小企業家同友会全国協議会は3月6日、新型コロナウイルス感染症の影響が急激に広がり中小企業が大きな打撃を受けている中で、「一社もつぶさない!」との広浜泰久会長談話を発表した。それに先立って3月4日、「中小企業の倒産・廃業を避ける」ための緊急要望・提言を各方面に要請した。以下、談話全文と緊急要望・提言の要旨。

一社もつぶさない! 新型コロナウイルスによる危機を乗り切ろう

広浜泰久会長

 新型コロナウイルス感染症の影響が、急激に広がり、中小企業は大きな打撃を受けています。影響を受けた会員が9割を超える地域や、売上9割減の企業もあり、深刻な局面を迎えています。この災禍がいつ終息するか不透明であり、影響が長期化する可能性も指摘されていますが、「一社もつぶさない」という気概のもと企業を存続させるため、会員の皆さんに次の三点を呼びかけます。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 「国民の命と暮らし」を守る政治を

パンデミックと経済危機、緊急対処が迫られる

『日本の進路』編集部

 新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)に。公衆安全上の危機にとどまらず、100年に一度といわれた2008年の金融危機を上回る世界危機が避けられないと見られる。国民の生命と安全、健康を守り、急ブレーキがかかった経済混乱、間近となったバブル崩壊と引き起こされる恐慌から国民生活を守るために全力を挙げなくてはならない。
 しかし、こうした危機の時ほど、貧困層を中心に国民に犠牲がしわ寄せされ、大企業や大銀行が肥え太る。「危機対策」で覆い隠されるが、危機の時ほど利害対立は最も熾烈となる。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] マスク不配布問題と日本人社会に潜む差別

心の深くに沈殿するヘドロ

広範な国民連合代表世話人 西澤 清

 新型コロナ感染症の流行は、現在はヨーロッパを中心に猛威を振るっている。広範な国民連合は20年2月8日の全国世話人会で、「世界・日本中に起こりつつある『民族差別』を警戒し、差別を排除する運動に取り組む」と確認した。案の定、欧米からは、アジア人に対する差別が多くなり暴力行為も起こっており、アメリカでは銃砲店に身の危険を感じた購入者が殺到していると報じられた。 続きを読む


[寄稿] コロナと世界社会共同

2020年3月29日 羽場久美子

 コロナウイルスが世界に急速に拡大している。アメリカが中国、イタリアを追い抜きそうになっても全くメディア報道がない中、おかしいと思っているうち、アメリカはここ1日2日で感染者が2万人ずつ幾何級数的に増えて、中国、イタリアをあっという間に追い抜き、感染者12.4万人を超え、世界第1位の最前線を走っている。もうすぐ中国の2倍に膨れ上がりそうな勢いだ。
 日本も数少ないながら、この2、3日、昨日の倍々で増え始めたので、2000、3000を超すのも時間の問題かもしれない。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 角田 義一

「晋は国家なり」 安倍首相退陣求め、国民のレジスタンスを

広範な国民連合代表世話人 角田 義一(元参議院副議長、弁護士)

 私は、つねづね「安倍晋三総理は亡国の宰相」であると言って、その退陣を強く訴えてきました。
 今回、コロナウイルスを巡る事態で総理が小中高の一斉休校を要請した事態に鑑みるに、われわれは「暗愚の宰相」を頂いていると暗澹たる気持ちを抱くに至りました。常識ある政治家ならば、これだけの事態を決定するにあたり、少なくとも財務、文科、経済各閣僚と合議の上決断するでしょう。彼は何の科学的根拠もなく「政治決断」と称して断行したのです。その結果、学校現場はもとより、関係する産業をはじめ社会的・経済的混乱を挙げれば枚挙にいとまはありません。その後の総理の対応を見れば、責任を痛感している様子は全く見えません。 続きを読む