沖縄と世界を、未来に向けて対話と交流でつなごう!
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
今回「沖縄を平和のハブに!」シンポジウムを2023年6月24日、「沖縄慰霊の日」の翌日に、昨年22年8月に続いて行うことができました。日にちもとても良かった。ぜひ来年からもこの日につないでいきたいと思います。皆さま、ありがとうござました。
まず、今回の成果と課題を、3点簡潔に述べたいと思います。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
今回「沖縄を平和のハブに!」シンポジウムを2023年6月24日、「沖縄慰霊の日」の翌日に、昨年22年8月に続いて行うことができました。日にちもとても良かった。ぜひ来年からもこの日につないでいきたいと思います。皆さま、ありがとうござました。
まず、今回の成果と課題を、3点簡潔に述べたいと思います。
■ パネリスト
上原 美春さん 宮古島市、高校1年生 2021年沖縄全戦没者追悼式「平和の詩」朗読 |
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金城 龍太郎さん 石垣市、マンゴー農家 石垣市住民投票を求める会代表 |
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神谷 美由希さん 那覇市、沖縄ゼロエミッション共同代表 |
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司会 神谷 めぐみさん 沖縄国際大学法政研究所研究支援助手 |
司会・神谷めぐみ(以下、司会) まず宮古島から参加の上原美春さんをご紹介します。2021年6月の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」、「みるく世の謳」を朗読しました。これは姪っ子の誕生に抱いた喜びと戦争を生き抜いた先人たちの思いを「みるく世ぬなうらば世や直れ」という宮古民謡の一節でつないだ唄でした。22年8月に広島で行われました「第1回ひろしま国際平和文化祭」で「ひろしまアワード」音楽部門の国内の部を受賞しました。もともと絵が大好きだった美春さん。先日は宮古島内のアートスペースで2人展を開催するなど、大変精力的に活躍しております。お話を伺いたいと思います。
沖縄は第二のふるさと(陳海騰)
地域間交流のしくみを(周鵬邦)
沖縄に大きな可能性感じる(比嘉盛太)
■ パネリスト
陳 海騰 氏 東和株式会社代表取締役 (中国・福建) |
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周 鵬邦 氏 上海庄周企業管理顧問有限公司総経理 (中国・台湾出身) |
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比嘉 盛太 氏 株式会社フューチャーネオ代表取締役 (沖縄) |
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司会 泉川 友樹 氏 (一社)琉球経済戦略研究会事務局長 |
泉川友樹(以下、泉川) 本日は福建、台湾、そして沖縄からすばらしいパネリストの方をお招きしました。この3つの地域の経済発展、共に豊かになるというお話をしていきたいと思います。その前にお隣では、どういう経済発展の状況が起こっているのか、ビデオでご覧いただきます。広東省深圳市が数十年間でいかに劇的な経済発展を遂げたかのビデオです。(ビデオ上映)
これが私たちの隣の国、地域で起こっている現実です。それを踏まえて沖縄はどう発展していくのか、今回の経済トークで考えていきたいと思います。最初に自己紹介と手がけている事業をご紹介ください。
第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて
第1部のテーマは「沖縄平和ハブ構築に向けて―安全保障、文化、経済、外交交流の拠点を考える」であった。パネリストは山崎拓・元自民党副総裁・防衛庁長官、劉江永・中国清華大学国際関係研究学院教授、我部政明・国際政治学者、羽場久美子・青山学院大学名誉教授。コーディネーターを、家族の病気で急遽参加できなくなった前泊さんに代わって髙良共同代表が務めた。政府が「今日のウクライナは明日の東アジア」などと「台湾有事」を煽り「抑止力」強化一辺倒の軍拡政策を進めるなかで、東アジアでの戦争の危機を回避し、いかにして持続可能な安全保障を築いていくか、東アジアで沖縄が果たすべき役割を探る議論を展開した。また、インド、台湾からもビデオメッセージで平和構築に向けた意見が届いた。以下、パネリストの発言要旨。なお、インドのプラディープ・チヤウハン(クルクシェトラ大学教授)と台湾のマーク・チェン(台湾欧州連盟中心執行長)のビデオ報告は割愛。(見出しとも文責編集部)
第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 台湾問題はあくまで中国の内政問題 元自民党副総裁・防衛庁長官 山崎 拓氏 |
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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 中国清華大学国際関係研究院教授 劉 江永氏 |
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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて 国際政治学者 我部 政明氏 |
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第1部 沖縄平和ハブ構築に向けて パワーとパワーの境界線にある美しい地域を、 「沖縄を平和のハブに」プロジェクト共同代表、青山学院大学名誉教授 羽場 久美子氏 |
元自民党副総裁・防衛庁長官 山崎 拓氏
昨日の玉城デニー沖縄県知事の慰霊の日式典での発言で、昨年暮れの政府、岸田政権が発表した、「国家安全保障戦略」など3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)、知事は防衛3文書という表現をお使いになりましたが、これについて心配される方向性があるとおっしゃったように受けとめました。この中で緊迫するアジア情勢ということがうたわれております。それは東アジアの中でいわゆる政治体制の違いと申しますか、自由民主主義体制の国と専制主義の国との基本的な対立があるという見方です。そのことから生まれてくる東アジアの緊迫する軍事情勢があるというのが、この国防3文書、なかんずく防衛戦略文書であると思います。
「沖縄を平和のハブに」プロジェクト共同代表、青山学院大学名誉教授 羽場 久美子氏
「沖縄を平和のハブに」というのは、沖縄がパワーとパワーの境界線にあるからです。
ハワイや沖縄、台湾あるいはウクライナ西部、東部もそうですが、これらはいずれもとても美しい観光地であり、国と国のボーダーであり、歴史的に周りの多くの民族が移り住み、結果として多民族共存の地域をつくり出してきました。先ほどのエイサーも日本本土のわびさびとは少し違う、大変美しく壮大な芸術です。そうした歴史的な多民族共存の地域をミサイルや戦争の最前線基地にしていったのは近代以後、植民地以後です。そして、その結果ハワイのパールハーバーをはじめとして沖縄、台湾、朝鮮半島、クリミア、ウクライナ、「境界線」地域が全て戦争の最前線地域になっていきます。
中国清華大学国際関係研究院教授 劉 江永氏
今日は、ここで中日関係の現状と沖縄の将来という話題に自分なりの見方を申し上げたいと思います。
中国と日本との関係は今、「政冷経熱」という形から「政冷経冷」という形に変わりつつあります。本質的には、互恵関係からお互いに対抗し合うような段階に入りつつあります。
国際政治学者 我部 政明氏
今日のシンポジウムにあるフレーズ「沖縄を平和のハブとする」と言うけれども、誰が、という主語がありません。沖縄の人の中には、自分たちではなく周りの誰かが沖縄を「平和のハブ」にしてくれるのでは思っている方がいるのでないでしょうか。このフレーズに主語がない以上、そう考えられても致し方ないと思います。
東アジア共同体研究所理事長・元内閣総理大臣 鳩山 友紀夫
お集まりのすべての皆さん、こんにちは。久しぶりに皆さまがたにお目にかからせていただいてたいへん幸せでございます。
私は、昨日は「平和の礎」に伺い、私なりの思いと祈りを捧げてまいりました。そして、今朝は対馬丸記念館に行ってまいりました。800人にならんとする子どもたちが、大人を合わせると1600人もの命が一瞬にして奪われてしまいました。その中で400人ほどの方は顔写真がありますが、1200人の方々は写真もままならない、そんな状況だと伺いました。
彼ら彼女らがもし生きてそれぞれの人生を全うしていたら、沖縄も日本ももっと変わっていたのにというそんな思いがいたしました。同時に、このようなことが起こってしまった軍事面での政治的な責任についても考えさせられました。
沖縄県知事 玉城 デニー
はいさい ぐすーよー ちゅう うがなびら。
皆さま、こんにちは。沖縄県知事の玉城デニーです。
今日は「アジア対話交流」ということで、この入り口の「アジア美味いもの大交流祭」にキッチンカーが何台か出ていました。アジア各国の民族料理が提供されていて、私はそこでカレーライスをいただきました。できるのを待っている間に、たくさんの県外の方から「昨日の沖縄全戦没者追悼式に行きました。ありがとうございます」と声をかけていただきました。警備もあって少し物々しかったかもしれませんが、平和であることの大切さを改めて確認できたのではないかと思います。お越しいただいた皆さま、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
本日、「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流」が開催されるにあたり、ひとことごあいさつを申し上げます。
6月24日開催 那覇市琉球新報ホール
沖縄県那覇市にある琉球新報ホールで6月24日、「沖縄を平和のハブとする東アジアの対話交流」シンポジウムが開催された。主催は、「沖縄を平和のハブとする東アジア対話交流PROJECT」(共同代表 羽場久美子青山学院大学名誉教授、前泊博盛沖縄国際大学大学院教授、髙良鉄美琉球大学名誉教授・参議院議員)。概要は本誌7月号既報。