課題・言葉一覧

米価から見える理不尽な社会構造

一部だけが潤う社会でいいのか

前JA福島中央会会長 菅野 孝志さん

40年ぶりの米価上昇

 僕のところも9月末から本格的に稲刈りをやっています。天気が続けばあと5、6日で終わるかな。稲刈りと総選挙の応援で大忙しの毎日です。
 最近の米をめぐる動きですが、福島のコシヒカリは去年は1俵(60㎏)1万2000円前後だったのに、9月初めには1万7800円に上がりました。10月に入ったらJAグループでも米が集まらないような懸念が出てきたんですね。民間業者が2万円とか2万1千円とかで買い集めているので、県下のJAも慌てて2万円で足並みをそろえたわけです。2万円なんて40年ぶりです(その後も低温多雨等による一過性で高い年はありましたが)。 続きを読む


年金で生きながらえるコメ作農業は限界

若者が農業を発展させる日本へ

農地を守る営農体に国費投入

宍粟市議会議員(兵庫県) 今井 和夫

 特に中山間地域における農地・農村の現状・原因と、当面なすべきことについて書かせてもらいます。

1 中山間地における農地担い手の変遷

 まず、中山間地における、戦後の農家の変遷を簡単にまとめてみます。(戦前までは、地主と小作人でした。そして、農地解放で自作農になりました) 続きを読む


[日本被団協 ―ノーベル平和賞、受賞] “全ての被爆者に敬意”

“全ての被爆者”とは?

広範な国民連合・長崎代表 中村 住代(元日赤長崎原爆病院職員)

 「日本被団協」にノーベル平和賞授与を聞いた時「快挙」と思わず口にしていました。そして、仕事や平和活動などで出会った多くの被爆者の皆さんのことが思い出されました。つらい体験を、声を振り絞りながら時には涙を流しながら語ってくださった方々。
 授賞理由に「ノーベル賞委員会は今年の平和賞を日本被団協に授与することで、肉体的苦しみやつらい記憶を、平和への希望や取り組みを育むことに生かす選択をした全ての被爆者に敬意を表したい」と述べたくだりがあります。今回の「日本被団協」の受賞は、核廃絶と戦争反対を訴え続けてきた名もなき多くの被爆者の方々を代表しての受賞であることがわかります。
 そしてその上で、「全ての被爆者とは?」と考えました。
 被爆地ナガサキで私が出会った被爆者の中には、朝鮮半島から強制連行されて海底炭鉱「端島」(通称軍艦島)で強制労働させられ、後に三菱造船所で被爆した韓国人被爆者がいました。彼は、語り部として核廃絶を訴え続けました。
 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にも国交がないために被爆者援護から完全に見捨てられている被爆者がいます。
 中国から炭鉱に強制連行され、食べるものも十分支給されず非人間的な強制労働を強いられたあげく、あらぬ嫌疑をかけられ刑務所(現在の平和公園の場所)に捕らえられ原爆死した32人の犠牲者のことも知っています。ご遺族はいま日中友好の懸け橋となっています。
 捕虜収容所で被爆死したオランダ人のことも知っています。
 また、アメリカやフランスが、南太平洋諸島で繰り返した原爆・水爆実験により心身に被害を受け、満足な補償もない現地住民は「全ての被爆者」に入るのか?
 「全ての被爆者」というのであれば、これらの人びとが当然入っていなければなりません。被爆したのは決して日本人だけではなかったことを記憶にとどめるべきです。そして、何故、こうした被爆者が生じたのか、日本の朝鮮や中国侵略の歴史、強制連行のことについて考えなくてはいけないと考えます。

日本政府、米国政府に強く求める

 また、今回の授賞を契機に日本政府に求めなくてはいけないと思います。一つは、日本が唯一の戦争被爆国というのであれば、この機会に「核兵器禁止条約」の批准に一歩踏み出すべきです。
 そして、もう一つ、「被爆者」であるのに「被爆者」として認められない「被爆体験者」の救済は待ったなしです。解決の方法は政治決着しかないと思います。
 また、アメリカのオバマ氏とバイデン大統領が祝意を表したと報道がなされています。2016年当時大統領だったオバマ氏がヒロシマを訪問。平和公園で演説しましたが、原爆を投下した当事国でありながら、謝罪の言葉はなく、原爆投下の責任を認めない。まるで核兵器廃絶を訴える平和主義者のような振る舞いでした。今回も、祝意の前に、謝罪や反省があってしかるべきと思いますがありません。
 祝意とは裏腹に、ヒロシマ・ナガサキに原爆投下後も、度重なる核実験を繰り返し、世界のいたるところで核の脅しをしている最大の核超大国アメリカ。そして現在に至るまで、被爆者から何も学んでいないことを世界にさらし続けています。絶対に許せません!

 

 


[日本被団協 ―ノーベル平和賞、受賞] 被爆者として戦争を憎み

核兵器が最後の一個まで廃棄されるまで叫び続ける

歓喜の先に ノーベル平和賞授賞の報に

長崎被爆者 本村 チヨ子

 過日10月13日夕刻6時過ぎ、それまで漫然とテレビをつけていた時ニュース速報が流れた。ノーベル平和賞「日本被団協」受賞と。一瞬目を疑ったが間を置かず固定電話・携帯電話が鳴った。友人や知人からのオメデトー・コールであった。
 思えば長い道程であった。2008年から09年にかけ被爆者としてピースボートの「被爆者百人乗船」のプロジェクトに参加し地球一周をして始まった。それから今日まで原爆の実相を知る者として、いろいろと国内外で「平和・核兵器廃絶」を訴え原爆放射能が人体に及ぼす影響など繰り返し繰り返して訴えてきた。17年にNGOのICANに同じく平和賞が贈られた時、世界に向け喜びのメッセージを発信したカナダ在住のサーロー節子さんも、一被爆者として参加しており、訪れた国々で平和の目的を訴えてきた同期であった。 続きを読む


「わかやま女性議員の会」で取り組む

白浜町、海南市、橋本市の3市町議会 全会一致で

白浜町議会議員 水上 久美子

 「わかやま女性議員の会」では8月、これまでの米兵による性的暴行事件に対して、事案の説明、共有がありました。その後、議員各自が調査し9月議会定例会に臨みました。その結果、白浜町議会、海南市議会、橋本市議会で意見書を提出し、いずれも全会一致で採択されました。 続きを読む


[⽶兵性暴⾏に厳重抗議意見書]長崎県議会 全会一致で採択

⾃⺠党会派でも「佐世保に基地があるから当然」との声が

⻑崎県議会議員 ⽩川 鮎美

 ⻑崎県議会は9⽉定例議会において、沖縄の「⽶兵の性的暴⾏に厳重抗議し、⽇⽶政府に対策を強く求める意⾒書」を政府国会に対して提出しました。
 昨年12⽉、沖縄県嘉⼿納基地所属の⽶空軍兵が、16歳未満の少⼥を⾞で誘拐し、性的暴⾏を加えたとして、那覇地検がわいせつ⽬的および不同意性交等犯罪で3⽉に起訴していたことが、6⽉25⽇の報道で明らかになりました。
 また、5⽉にも不同意性交致傷の疑いで⽶兵が県警に逮捕され、その後起訴されていたことが6⽉28⽇、捜査関係者への取材で判明しています。さらに今年1⽉から5⽉にも3件の⽶兵による不同意性交容疑での逮捕があったことも判明しました。 続きを読む


[米兵犯罪から女性を守る]二度と事件を起こさせない

全県一丸となった県民大会を!

沖縄県女性団体連絡協議会会長 伊良波純子さん に聞く

問題は女性の人権が侵害されたこと

 沖縄では米兵による性的暴行事件が相次いで発覚しています。私たち女団協は商工会や労働組合など21の女性団体で構成されていますが、何かを決めるときには全会一致です。昨年末の米兵による少女に対する誘拐・性的暴行事件に抗議して再発防止などを求める県民一丸となった大会開催を要請することも、全会一致で決まりました。7月26日には記者会見を開き、県民に広く呼びかけたところ、賛同団体が40以上に広がっています。 続きを読む


長崎被爆体験者訴訟で「一部勝訴」

今も続く被爆の痛み

一刻も早い政治解決を望む

全国被爆二世団体連絡協議会・特別顧問 平野 伸人

 

不合理な被爆地の決め方

 「被爆体験者」問題がどういうものかということを簡単にお話しします。長崎の被爆地は細長いんですね。放射線の影響とか関係なく、昔の長崎市(地図のピンク色)であったところが被爆地にまず指定されました。その後、西彼杵郡の2地域(地図の青色)が長崎市に入ったりし、多少の是正はされたんですけれども。このように行政区域によって被爆地域が決められたことがそもそも不合理であり、問題の根本はここにあります。 続きを読む


「コメ不足」「バター不足」を猛暑のせいにするな

農家を苦しめる政策が根本原因

問題の大本には米国からの度重なる圧力

東京大学大学院特任教授 鈴木 宣弘

 

 

 過剰、過剰と言われたコメが、突如足りないと言われ始め、急速にコメ不足が顕在化した。これからは新米が市場に出回るので、当面、需給逼迫感は緩和されると見込まれるが、長期的には、政策の失敗の是正をしないと、コメ不足が頻繁に起こりかねない。
 いろいろな要因で今回のコメ不足は顕在化したが、根底には、稲作農家の平均所得が1万円(時給にすると10円)というような事態に追い込んでいる「今だけ、金だけ、自分だけ」の「3だけ主義」の取引とコスト高に対応できない政策の欠陥がある。 続きを読む


9/6 最高裁要請行動・東京集会

陸自南西シフト

石垣だけでなく全国の問題だ

石垣市住民投票を求める会

左から原告の川満、金城、宮良さんと大井弁護士(9月6日、東京)

 石垣市・中山義隆市長は2015年、陸上自衛隊配備受け入れを表明。「住民投票を求める会」(金城龍太郎代表)は18年10月末、配備計画の賛否を住民投票で問う署名を約1カ月で規定を超えて集め条例制定を請求した。しかし、19年2月、市議会は条例案を否決した。
 「求める会」は19年9月、市に住民投票の実施義務付けを請求する訴えを起こしたが那覇地裁は請求を棄却した。「求める会」は直ちに控訴したが福岡高裁も訴えを退け、今回、最高裁上告に踏み切った。
 23年3月、住民投票は実施されないまま陸自石垣駐屯地が開設された。 続きを読む


「知り・つながり・とめる」合言葉に

私たち市民は連帯して「国家のための戦争」を阻止する

ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会事務局長 新垣 邦雄

8月11日の「戦争準備NO!」集会で司会を務めた新垣邦雄さん(壇上左端)

 岸田政権下、「台湾有事」を口実に全国で自衛隊の基地強化・拡大の動きが強まっている。こうしたなか8月、沖縄で「戦争準備NO!」をスローガンに西日本を中心に全国各地から基地強化・拡大に反対する住民団体が一堂に結集した集会が開催された。9月には自衛隊が大規模な「防衛複合拠点」の開設などを計画している広島県呉市で「戦争止めよう西日本連帯交流会」が開かれた。すでに「沖縄・九州・西日本ネットワーク」(仮称)の発足も決まっている。こうした取り組みを中心的に担っている新垣邦雄氏に聞いた。 続きを読む


[新しい日本をめざす] 若者気候訴訟

明日を生きるための若者気候訴訟(略称:若者気候訴訟)

全国16人の若者が火力発電事業者にCO2排出削減を求めて提訴

2024年8月6日 若者気候訴訟弁護団

 全国の若者16人が8月6日、火力発電を展開する10社を相手に、二酸化炭素の排出削減を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。このテーマで若者だけが原告になる訴訟は国内初。

 本日、北海道から九州までの全国各地で暮らしている16人の若者が、株式会社JERAなど火力発電事業者10社に対し、科学が求める水準に基づいてCO2排出の差し止めを求める訴訟を名古屋地方裁判所に提起しました。原告たちと全国の若者が明日を生きるために、地球の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるためには、被告ら日本の主要電力事業者は、2030年代にも脱炭素を実現する必要があります。少なくとも、科学が必要とする排出削減を実行することを求める訴訟です。

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[新しい日本をめざす] アナザーワールドの入り口に立つ地球

日本は温暖化のホットスポット

 もう後がない! 今すぐCO₂削減を

 

三重大学教授 立花 義裕

 

 

 

日本の観測史上ダントツの猛暑

 昨年の日本は観測史上ダントツの猛暑でした。今年はその猛暑をさらに塗り替える勢いです。今年の場合は日本全部じゃなくて特に本州ですね。北海道は昨年に比べて少し低いんですけど、北海道を除けばほぼ全国で昨年よりも猛暑になっています。その理由ですが、大ざっぱに分けて二つあります。一つは大気で、もう一つは海です。 続きを読む


「漁場を返せ!」漁民が防衛省を告訴

「漁場を返せ!」漁民が防衛省を告訴

種子島の漁師 浜田 純男さん

 

 鹿児島県西之表市の塰泊浦の漁師浜田純男さん(68)が今年3月12日、馬毛島周辺で漁を営む権利が侵害されたとして、国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟を鹿児島地裁に起こした。馬毛島では現在、米軍陸上空母離着陸訓練(FCLP)基地移転を伴う自衛隊基地建設が進んでいる。
 馬毛島の唯一の漁港である葉山港の周辺は、対岸の塰泊浦集落の共有地である。浜田さんはその地権者の一人でもある。
 本誌編集部は浜田さんにお話を伺った。

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