■基調の問題提起 ― 沖縄をハブとし東アジアの平和ネットワークを作る
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
皆さんこんにちは。羽場久美子でございます。
「沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム」という場で、まさにその沖縄をハブとし東アジアの平和ネットワークをつくる、中国や近隣国とは戦争しないという立場から、報告をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
皆さんこんにちは。羽場久美子でございます。
「沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム」という場で、まさにその沖縄をハブとし東アジアの平和ネットワークをつくる、中国や近隣国とは戦争しないという立場から、報告をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
静岡県立大学グローバル地域センター客員教授 元駐オランダ大使
東郷 和彦
戦争というのは、太平洋戦争もそうでしたが、一度始めてしまうと終わらせるのは本当に難しい。始めてしまった以上は、自分が完全に負けるということで手を挙げることは、どちらもよほどのことがないとできないし、やらないです。日本も太平洋戦争の時、ミッドウェーから戦況がひっくり返り、最終的に終戦にいくのに3年かかりました。しかもやめる時に、「国体の護持」ができないのだったら最後まで戦って皆死んでもいいと。この時の日本人のメンタリティーは一体何だったのか、非常に重い問いをいまだに抱えています。だから、やめるというのは本当に大変なことだともいえます。 続きを読む
神奈川大学教授、青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
本稿は、羽場久美子先生の「日中国交正常化50周年記念、東アジアの平和と共生を求める」講演会(5月29日、横浜)での講演の一部。ウクライナ戦争をどう見るかなど豊富な論点が述べられたが、先生がこれまですでに本誌で触れられている点については割愛した。見出しともに文責編集部。
日中国交正常化50周年でありながら、今、日中両国が大変な緊張関係にあります。その背景にアメリカの東アジア戦略が大きく関わっています。バイデン大統領はなぜ日中の協力関係にくさびを打ち込むのでしょうか。QuadやAUKUSというアメリカの軍事同盟が着々と東アジアにつくられている今、いかに東アジアの平和と共生をつくっていくべきか、を考えていきたいと思います。
新外交イニシアティブ(ND)代表・弁護士 猿田 佐世
2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、世界は騒然としました。凄惨な被害を受け続けるウクライナの情勢を見て、元来9条護憲を掲げていた方々の中には、これまでの信念が揺らぎ、軍事力拡大が必要なのではないか、と考えを変えた方がいるとも耳にしています。私も、攻撃開始後1週間ほど、今後の自分の考えをどのように伝えるべきか、大きく影響を受けた日本社会の中で悩みました。
大国が戦争を決意したら「抑止力」とかなんとか言っていても戦争になるんだ、そういう決意をさせない環境づくりが大事なのだと改めて実感しました。戦争が始まってしまったら取り返しはつかず、戦争を始めさせないことが重要です。
参議院議員 伊波 洋一
私はオール沖縄の参議院議員として外交防衛委員会で、南西諸島の軍事化の問題を重視して取り組んでまいりました。
今、私たちの国はたいへん危険な方向に向かっています。10年の中国漁船と海上保安庁の巡視艇の衝突事故を契機に12年に尖閣諸島が国有化され、日中関係がたいへん厳しい状況になっていく中で、「南西諸島の軍事化」が米国から日本に求められたと思っています。現在は、日本が自らの国益や本来の主権を見失って、アメリカの意のままに翻弄される状況です。
今年1月7日に開催された日米の外務・防衛閣僚2+2協議では共同通信が報じた自衛隊と米海兵隊の台湾有事の共同作戦計画原案をさらに進展させる南西諸島の自衛隊基地の日米共同使用や「日米共同作戦」策定の合意となりました。5月5日には岸防衛大臣がワシントンでオースティン米国防長官と会談し、日本の防衛力の抜本的強化と双方の戦略を緊密な協議を通じて擦り合わせていくことを確認しました。まさに戦争への道をまっしぐらに進む状況になっています。
本誌編集長 山本 正治
ロシアの軍事侵攻から早くも2カ月が過ぎた。ウクライナの国家主権と領土一体性を乱暴に破壊し、何よりも毎日多くの国民が命を落とし傷つき、日常を奪われ、祖国を後に難民となっている。プーチン政権の蛮行はいかなる意味でも許されない。
わが国は、停戦と紛争の平和解決のために力を注ぐべきだ。
広範な国民連合事務局長 山本 正治
ロシアはウクライナ全土に軍事侵攻した。アメリカによる世界支配秩序の時代は終わり、「多極化」の世界が公然と現れた。「ウクライナは明日の東アジア」「台湾有事、日本有事」「核共有」までもが語られる。こうした中でのシンポジウムとなった。
各氏のご発言は当然にもこの問題からだった。ウクライナの国家主権と領土の一体性への乱暴な侵害・破壊、殺戮行為は許されず、即刻の停戦とロシア軍の撤退を求めるとともに、東アジアでの戦争を避ける、台湾有事にしてはならないことは共通の認識だった。
衆議院議員 新垣 邦男さん
衆議院議員の新垣です。今日は本当に勉強させていただきました。私は昨年の総選挙で初めて当選し、国会に来ました。
国会に来て非常にびっくりしたことは、なぜか、国会の中では台湾有事や対中国の安全保障では沖縄が非常に重要な場所だという発言がたびたびあるんですね。ちょっと待ってください、そうなると先ほど伊波先生が言われたように、沖縄は戦争に巻き込まれるんですかと問い返したい。
沖縄はずっと米軍の事件や事故に悩まされている。しかし、戦争になるという認識はこれまではほとんどありませんでした。なんでそんな議論が活発になっているのか不思議でしょうがありません。先ほどのご発言からも石破先生は沖縄について認識されていると思うんです。石破先生に一つ質問をしたいんです。
自衛官OB、元空将補 林 吉永さん
一つ申し上げたいのは、軍人・自衛官は軍事的要請の遂行を追求します。学際的にいくら戦争を論じても、現場では敵を殺すこと、破壊することに懸命になるんです。そうしないと自分がやられ国・国民を守れません。
参議院議員 伊波 洋一
沖縄選出の参議院議員、「沖縄の風」の伊波洋一です。
台湾有事は日本の有事であるというのは、台湾防衛のために南西諸島を戦場とするためだろうと思っています。
今、ウクライナでは隣国への避難民がこれまでに250万人を超えたと言われています。市民が戦火を逃れるのは当然のことで、国連は400万人の避難民を想定しています。ロシアの侵攻後に、地続きの他地域や国外に自動車などの交通手段で避難しているわけです。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
羽場久美子先生は本誌に、「NATOとロシアのはざまで引き裂かれるウクライナ」を掲載しています。重複部分は割愛しました。
私は、中東欧の近現代国際政治、第一次世界大戦それから第二次世界大戦、そして冷戦、さらにはEUやNATO拡大を専門にしています。ロシアのウクライナ侵攻について、あまりメディアで言われていない三つのことについて今日は話させていただきます。
共同通信客員論説委員 岡田 充
今日のメインテーマは台湾有事ですが。ここ1週間のウクライナの動きを見ると、全体として米ロのある意味では代理戦争的なところがあるわけです。米ロお互いの挑発がかなり刺激的になったなという気がしています。
衆議院議員(元自民党幹事長) 石破 茂
議員になってもう37年目です。右からは左と言われ、左からは右と言われる。実に不思議な立ち位置にありますが、絶対的な立ち位置は変わっていない。言っていることは変わっていないんです。
平成の時代はおそらく、三つのものが本質的に変わった、そういう時代だったと考えます。一つは間違いなく「戦後」が終わったということだと思います。昭和20年に少年兵として従軍された方も今は90歳になられる。田中角栄先生は従軍された経験がおありでしたが、ご存命中に、「あの戦争に行ったやつがこの日本の中心にいる間は大丈夫だ」とおっしゃっておられた。「だけど、そういうやつがいなくなった時が困るんだ、だからよく勉強してもらわなければいかんのだ」ということをよく言っておられた。その戦後が終わった。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
まず、ウクライナ戦争に触れておきたい。プーチンの狙いについて、世界が間違えていました。まさか、ウクライナに攻め入ることはないと思っていた。ところが戦争を始めてしまった。
背景には、ソ連崩壊後のNATOの東方拡大を巡って、西欧・アメリカとロシアの間の信頼醸成がなされてこなかったことがあると思います。だからと言ってプーチンの行為を免責するわけにはいかない。これは国連憲章に違反する、第二次世界大戦後の世界秩序を覆す暴挙です。