「社会保障の確立を求める自治体議員連盟」発足に際して

無償ケア労働が女性に偏ってきた社会

鳥取県議会議員 西村 弥子

 本年7月22・23日、全国地方議員交流研修会と対政府要請行動に、人口最少県・鳥取県の米子市より参加いたしました。本自治体議員連盟に加入したのは、第3分科会において、足立区議会の小椋修平議員、西伊豆町議会の河内ひとみ議員による事例報告と、伊藤周平先生の「公的責任で社会保障の確立を」の問題提起をお聞きし、大きく心を突き動かされたのがきっかけです。寄稿の機会をお与えいただき、深く感謝申し上げます。

ジェンダー問題が
社会保障危機の一因か

 日本では、家事・子育て・介護などの無償ケア労働が女性に偏ってきた社会規範が、女性の正規雇用への道を阻んできました。また、保育士・介護職員などの有償ケア労働も、他業種に比べ賃金が低い水準にあります。こうしたジェンダーをめぐる問題も、人手不足、ひいては日本の社会保障が抱える危機の一因ではないか――と、地方の一女性議員として、ずっとモヤモヤしてきました。
 特に、地方における介護職の人手不足は深刻です。「若い人はすぐに辞めてしまう。私たち中高年が現場を切り盛りしている」と、50代後半の介護ヘルパーの女性は、腰をさすりながら、よくこぼしています。介護職は処遇改善が進められてきたものの、現場からは、十分な待遇改善を実感できないとの声も聞かれます。
 一方、介護離職の問題もあります。認知症高齢者など家族の介護で仕事を失った同世代もいます。令和4年就業構造基本調査によれば、介護・看護を理由に過去1年間に離職した人は約10万6千人、その約75%を女性が占めています。介護を家族、とりわけ女性に依存する社会のあり方は、働く人の生活と将来の保障にも大きく影響しています。

一人ひとりを支える
社会保障へ

 そして、なお『昭和の家族モデル(男性片稼ぎ・女性専業主婦)』の影響を色濃く残す社会保障や税、労働の制度には、現代のライフスタイルとの間に大きな乖離が生じています。「年収の壁」や雇用形態・男女の賃金格差は、現在の暮らしだけでなく、将来の年金受給額の差にもつながり、「老後の女性の貧困」にも結びつきます。
 また、社会保障や福祉の制度には、なお「世帯」を単位として設計されているものが少なくありません。事実婚、同性パートナーシップ、単身世帯など、従来の「標準家族」に該当しない人々が、制度のはざまに陥ることのない仕組みも必要です。
 「家族が支えること」を前提とする社会保障から、家族の有無や家族の形にかかわらず、一人ひとりを支える社会保障へ。ケア労働の公定価格を適切に見直し、担い手が安心して働き続けられる待遇を確保すること、そして、そのための安定した財源を確保することが必要なのだと、今回改めて実感しました。
 かく言う私自身、まだまだ勉強が足りず、正直、問題の整理がしきれていません。だからこそ、海外・他国の事例や知見にも学びながら、日本が進むべき改革の視点を見いだしていきたい。地方の現場から見える課題を持ち寄り、全国の仲間とともに学び、考え、政策につなげていく――その歩みを、本自治体議員連盟の皆さまとともに進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 (見出し・タイトル編集部)