ナガサキ・ユース代表団の若者たちの声

長崎大学多文化社会学部2年
稲田 健心 さん
私は今回、ナガサキ・ユース代表団の一員としてNPT再検討会議に参加した。被爆地・長崎で育った者としてこれまでも核兵器問題について学んできたが、実際に国際会議の場で各国の政府関係者や市民社会の方々と交流したことで、多くの学びと気づきを得ることができた。
特に印象に残ったのは、ある核兵器保有国の大使との面会である。私は日本の若者としての思いや考えを率直に伝えた。その際、大使から「Keep being you(あなたらしくあり続けてください)」という言葉をいただいた。核兵器をめぐって立場の異なる相手からこのような言葉をいただいたことは意外であると同時に、とても心に残った。意見が一致しなくても、互いの考えに耳を傾けながら対話を続けることの大切さを実感した瞬間だった。
また、会議では核軍縮の必要性が語られる一方で、各国の安全保障に対する考え方の違いから、核兵器の問題が簡単には解決できない現実も目の当たりにした。しかしその中でも、被爆者や若者、市民社会の声が国際社会に影響を与えていることを感じ、私たちの発信にも大きな意味があることを学んだ。
今後は、今回の経験や学びを学校や地域などさまざまな場で共有し、平和について考えるきっかけを広げていきたい。NPTへの参加は私にとってゴールではなく新たなスタートである。「Keep being you」という言葉を胸に、自分らしく長崎の声を発信し続け、核兵器のない世界の実現に少しでも貢献していきたい。
長崎大学環境科学部2年
桑原 和花 さん
参加して感じたのは、会議に常時参加している国(人)の少なさです。核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)は、締約国数が191カ国・地域と最も広く受け入れられた軍縮枠組みです。しかし、実際に現地で各国のステートメントやNGOセッションなどを傍聴していると空席が目立っているという印象でした。実際に昔の方が、メディアによる関心も強く、各国から出席する人も大臣レベルというように、各国が核廃絶のために歩み寄ろうとしている傾向が強かったと言います。
ただ、核廃絶のための人々の働きかけや活動を知ることができたのも事実です。私が感銘を受けたのは、日本にとどまらず海外の若者らも希望をもって会議に参加していたところです。われわれナガサキ・ユース代表団14期生は、前年の13期生と交流があったアトランタで核軍縮について研究されている若手研究者の方にお会いしました。
核実験や核開発のための資源採掘で被害を受けていたのは黒人の方々であるにもかかわらず、彼らの活動に焦点を当てられることは少ないと話されていました。そして、理不尽なことに対して闘い続ける姿勢を、家庭内で教えられてきたことがきっかけで、この分野を研究しようと思われたそうです。核廃絶に向けて熱意をもって活動されている海外の若者とお会いし、将来核なき世界をつくっていくのは、私たちのような若い世代なのだと実感しました。
14期生の活動はニューヨーク渡航後が本番だと感じています。これまでの研修や講義から学んだこと、そしてNPT再検討会議への参加を通して新たに発見したことがたくさんあります。それらを全力で共有していきたいと思います。
長崎大学多文化社会学部2年
坂元 あゆ子 さん
私にとってニューヨーク研修は、多様な価値観と向き合い、自らの考え方を見つめ直す貴重な機会となりました。研修中は、国連関係者や各国の外交官、NGO関係者など、この活動に参加しなければ出会うことのなかったであろう多くの方々と対話を重ねました。その中で強く感じたのは、多様な意見に耳を傾けることは自分の「軸」を失うことではなく、むしろその軸をより強固で客観的なものへと成長させる行為であるということです。
特に印象に残っているのは、核兵器をめぐる認識や安全保障上の考え方が、国や立場によって大きく異なっていたことです。被爆地ナガサキで育った私にとって、核兵器の非人道性や廃絶の必要性は極めて大切なものです。しかし、NPT再検討会議準備委員会の議論では、地域情勢や安全保障上の懸念から、核抑止に依存せざるを得ないと考える国々の存在を目の当たりにしました。その現実に触れ、自分たちの考えを一方的に伝えるだけでなく、相手がなぜその立場を取るのかを理解しようとする姿勢の重要性を実感しました。
また、会議では各国間の対立によって合意形成の難しさも浮き彫りになりました。しかし同時に、そのような状況だからこそ対話を積み重ね、信頼の土台を築いていくことの大切さを学びました。平和の実現に近道はありませんが、互いの背景や価値観を理解しようとする努力なくして前進はないと感じています。
この研修で培った「強固で客観的な軸」を今後の活動の糧として、平和や核兵器の問題を単純な賛成・反対の構図で捉えるのではなく、多様な立場の人々が対話できる社会の実現に貢献していきたいと考えています。
長崎大学薬学部2年
佐々木 文葉 さん
NPT再検討会議を傍聴し、そこが核なき世界のためにみんなが協力する場ではなく、自国の利益を少しでも多くもぎとるための競争の場になっていることを強く認識しました。しかし、現地で大使一人ひとりと対面すると、誰もが誠実で優しい方々ばかりでした。私たちの質問にも大変協力的にお答えくださり、核軍縮・核廃絶を忘れたわけではないというのが伝わってきました。このギャップから私は、「世界のシステムがそもそも協力ではなく、競争のために設計されているのではないか」という問題意識を持ちました。気候変動などさまざまなグローバル課題を抱える今、私たちには競争から協力へとシステムの姿勢そのものを転換していくことが求められていると思います。
また帰国後、平和構築や核軍縮・核廃絶に関するキャリアの選択肢が日本では提示されにくいと痛感しました。ニューヨークでは研究者や外交官の他に、医者やアーティスト、国連職員でユース向け軍縮教育プログラムを設計されている方など、本当に多様な取り組み方を目にしました。唯一の戦争被爆国であり、核軍縮教育を力強く押し出している日本だからこそ、「教育して終わり」ではなく、そこで学んだことを基に生かせるキャリアを提示できるはずです。これまでの伝統的な平和活動(署名活動や被爆の継承など)に加え、もっと多様なアプローチができることをユースから発信していければと考えています。
今後は8月末までの任期の中で、小中学校への出前講座や講演等に赴きます。そこで私たちが学んだこと・感じたことを投げかけ、何を感じてもらえるのかを大切にしながら、双方向の学びへ昇華できたらと考えています。任期終了後は、国際人材育成プロジェクトで研究者の夢に近づくべく学び続けます。その経験を糧にゆくゆくは競争から協力へのシステムの転換について研究し、次世代のキャリアのお手本になれるよう尽力してまいります。
長崎大学多文化社会学部2年
嶺井 花音 さん
NPT再検討会議に参加し、核問題はこれまで学んできた知識だけでは捉えきれないほど複雑であり、各国がそれぞれ異なる立場や視点を持っていることを実感しました。
実際に会議を傍聴すると、初日の副議長選出の段階から議論が停滞し、ある国が別の国を名指しで批判する場面も見られました。本来は対話を通して課題解決を目指す国際会議であるはずですが、その場には現在の国際情勢の緊張感が色濃く反映されており、小さな戦場のようにも感じられました。
また、各国の大使や政府関係者との面会では、ニュースだけでは知ることのできない軍縮に対する考え方や立場を直接聞くことができました。その中で、これまで批判的に見ていた核兵器国や核の傘の下にある国々についても、一面的に評価することはできないと感じました。相手を最初から決めつけるのではなく、まず対話を通して理解しようとする姿勢の重要性を学びました。
一方で、日本政府の立場については疑問も感じました。会議での日本のステートメントは、被爆国としての歴史に重点が置かれている印象があり、現在の核問題に対する具体的な提案や呼びかけが十分ではないように思われました。また、日本政府関係者との面会では、安全保障上の理由から核の傘に依存せざるを得ないという説明を受け、その現実的な考え方に大きな衝撃を受けました。
今回の参加を通して、現地でしか得られない多くの学びと気づきを得ることができました。今後は出前講座や報告会などを通して、自分が見聞きし感じたことを多くの人々に伝え、核問題について考えるきっかけを広げていきたいと思います。
長崎大学工学部3年
森山 由里 さん
ニューヨークで開催されたNPT再検討会議準備委員会への参加を通して、私は核兵器問題を取り巻く国際社会の現実を肌で感じました。
NPT準備委員会の傍聴では、理想だけでは前に進まない国際政治の現実も目の当たりにしました。各国の安全保障や国益が複雑に絡み合い、簡単に合意へ至らない難しさを感じる一方で、それでも対話を続けようとする各国代表や関係者の姿勢に大きな意義を感じました。実際に会議の緊張感や空気を体感したことで、ニュースや資料だけでは分からなかった「現実の国際政治」を知ることができました。
今回のニューヨーク渡航を通して、世界には核兵器問題について学び、考え、行動している人々が数多くいることを実感しました。そして、国や立場によって核兵器や安全保障に対する価値観は大きく異なり、一つの正解が存在しないことも学びました。しかし、そのような違いがあるからこそ、対話を重ね、お互いの立場を理解しようとする姿勢が平和への第一歩になるのだと感じています。
この経験を通して、私は「学ぶ」だけでなく、「伝える」ことの重要性にも気づきました。今後は、ニューヨークで得た学びや感じたことを自分自身の言葉で発信し、長崎で培ってきた平和への思いと国際社会で見た現実の双方を踏まえながら、自分にできる行動を積み重ねていきたいと考えています。

主催したサイドイベントでの議論

平和首長会議ユースフォーラムで報告

アトランタの若手研究者と交流して
