敗戦80年 被爆80年を迎える長崎の若者としての思い

これからの80年のために若者が立ち上がる

MICHISHIRUBE代表・鎮西学院大学3年 大澤 新之介

みちしるべメンバーと筆者(右から6番目)

 今年、被爆地・長崎は被爆80年を迎えます。この節目の年に、私は長崎で平和活動を続ける若者として、戦争と核兵器の問題、そして未来への課題について考えをつづりたいと思います。

1 私の生い立ちと
  平和活動への関心

 私は被爆4世として長崎で生まれ育ちました。高校入学と同時に、被爆者である曽祖母を亡くしました。それまでは長崎の平和について関心は正直ありませんでしたが、他界した際に、5歳の時に一度だけ直接聞いた被爆体験談を思い出しました。そのきっかけにより、高校時代に「高校生平和大使」として活動を始めました。
 高校時代はコロナ禍での活動が中心でしたので、国外での活動はできなかった年でした。しかし、それまでは主流ではなかったオンラインでの活動の幅を大きく広げたのが私の成果でもあります。世界中の高校生と一本の動画を作成し、大きな影響を与えました。

2 「みちしるべ」の
  活動と挑戦

 高校卒業後、私は「みちしるべ」という団体を立ち上げ、長崎における平和活動をビジネスの視点から展開することを目指しました。従来の平和活動は、被爆者や研究者による「伝承」に重きが置かれてきましたが、私はそれをより多くの人が関心を持つ形に変えていきたいと考えました。
 その一環として、私はデジタル技術を活用した「デジタルスタンプラリー」や、被爆の歴史を学ぶ観光事業を企画しています。
 また、 MICHISHIRUBEでは、長崎被災協と連携し、被爆者の証言動画の作成と発信にも力を入れています。これは、被爆体験を次世代に継承するための重要な取り組みの一つです。
 しかし、こうした活動を続ける中で、「政治的に中立であるべきだ」という批判や、「平和をビジネスにするのか?」という疑問の声も寄せられました。確かに、平和活動は従来の枠組みの中で語られることが多く、新しいアプローチに対する抵抗感もあるかもしれません。
 しかし、私は「平和を守るために持続可能な仕組みが必要だ」と考えています。単なるボランティアではなく、経済的にも成り立つ形で平和を広めていくことが、これからの時代には求められているのではないでしょうか。

3 被爆80年に思うこと

 今年は、被爆80年の節目の年です。戦争の歴史を振り返ると、長崎や広島の被爆だけでなく、日本のアジア侵略の過去についても改めて向き合う必要があると感じます。特に、近年は歴史認識をめぐる日中・日韓関係の緊張が続いています。そうした中で、私たち若者がどのように歴史を共有し、未来を築いていくのかが問われています。
 私は、日本の若者がアジアの同世代と交流を深め、歴史を共有することが不可欠だと考えています。
 例えば、中国や韓国の学生と共に戦争や核の問題について学び、議論する機会を増やすことが重要です。私自身も、今後の活動の中で国際的な対話の場を設けることを目指しています。

4 未来への展望

 被爆者の証言を直接聞ける時間は、残りわずかです。私たちが次世代へと歴史を受け継ぐためには、新たなアプローチが求められています。SNSやデジタルコンテンツを活用し、若者が自ら平和を発信できる環境をつくることが重要です。
 また、平和活動を一部の専門家だけのものにせず、より多くの人が関われるようにすることも必要です。
 そのために、私の団体「みちしるべ」では、ビジネスの観点から平和を広める取り組みを進めています。「長崎ピース」というブランドを立ち上げ、平和をテーマにした商品を販売することで、平和活動を支える資金を生み出しています。現在もオンラインショップ(URLは下)で販売活動を継続中であり、これまで約500万円の売り上げを達成しています。
 最後に、私自身が被爆地・長崎の若者として、未来へ向けてどのような役割を果たせるのかを常に考え続けたいと思います。過去を学び、今を見つめ、未来を創る︱︱そのために、若者が立ち上がることが、これからの80年において最も大切なのではないでしょうか。

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オンラインショップ https://michishirube-peace.stores.jp/

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