「経済主権」はますますないがしろに
本誌編集長 山本 正治
「経済安全保障法」が5月11日、野党を含む賛成多数で成立した。
高度な先端技術の海外流出を防ぎ、経済や生活に欠かせない物資を確実に確保するため、政府が企業の活動を罰則付きで監視、あるいは助成するという。
実質は米国の対中戦略に沿ったものだ。バイデン政権の「専制主義」との闘い、経済サプライチェーンの分断、経済のブロック化を前提にしており、東アジアの緊張激化と経済混乱を促すだけだ。しかもわが国の、経済面での対米自主を妨げ、従属関係からますます抜け出せない構図である。犠牲はわが国企業と国民に押しつけられる。
中国をはじめアジア諸国との共生をめざす自主的平和外交だけがこの危機からの脱出の策である。