日本は即時停戦のため、中印はじめアジア諸国と共に動け
本誌編集長 山本 正治
ロシアの軍事侵攻から早くも2カ月が過ぎた。ウクライナの国家主権と領土一体性を乱暴に破壊し、何よりも毎日多くの国民が命を落とし傷つき、日常を奪われ、祖国を後に難民となっている。プーチン政権の蛮行はいかなる意味でも許されない。
わが国は、停戦と紛争の平和解決のために力を注ぐべきだ。
本誌編集長 山本 正治
ロシアの軍事侵攻から早くも2カ月が過ぎた。ウクライナの国家主権と領土一体性を乱暴に破壊し、何よりも毎日多くの国民が命を落とし傷つき、日常を奪われ、祖国を後に難民となっている。プーチン政権の蛮行はいかなる意味でも許されない。
わが国は、停戦と紛争の平和解決のために力を注ぐべきだ。
広範な国民連合事務局長 山本 正治
ロシアはウクライナ全土に軍事侵攻した。アメリカによる世界支配秩序の時代は終わり、「多極化」の世界が公然と現れた。「ウクライナは明日の東アジア」「台湾有事、日本有事」「核共有」までもが語られる。こうした中でのシンポジウムとなった。
各氏のご発言は当然にもこの問題からだった。ウクライナの国家主権と領土の一体性への乱暴な侵害・破壊、殺戮行為は許されず、即刻の停戦とロシア軍の撤退を求めるとともに、東アジアでの戦争を避ける、台湾有事にしてはならないことは共通の認識だった。
衆議院議員 新垣 邦男さん
衆議院議員の新垣です。今日は本当に勉強させていただきました。私は昨年の総選挙で初めて当選し、国会に来ました。
国会に来て非常にびっくりしたことは、なぜか、国会の中では台湾有事や対中国の安全保障では沖縄が非常に重要な場所だという発言がたびたびあるんですね。ちょっと待ってください、そうなると先ほど伊波先生が言われたように、沖縄は戦争に巻き込まれるんですかと問い返したい。
沖縄はずっと米軍の事件や事故に悩まされている。しかし、戦争になるという認識はこれまではほとんどありませんでした。なんでそんな議論が活発になっているのか不思議でしょうがありません。先ほどのご発言からも石破先生は沖縄について認識されていると思うんです。石破先生に一つ質問をしたいんです。
自衛官OB、元空将補 林 吉永さん
一つ申し上げたいのは、軍人・自衛官は軍事的要請の遂行を追求します。学際的にいくら戦争を論じても、現場では敵を殺すこと、破壊することに懸命になるんです。そうしないと自分がやられ国・国民を守れません。
参議院議員 伊波 洋一
沖縄選出の参議院議員、「沖縄の風」の伊波洋一です。
台湾有事は日本の有事であるというのは、台湾防衛のために南西諸島を戦場とするためだろうと思っています。
今、ウクライナでは隣国への避難民がこれまでに250万人を超えたと言われています。市民が戦火を逃れるのは当然のことで、国連は400万人の避難民を想定しています。ロシアの侵攻後に、地続きの他地域や国外に自動車などの交通手段で避難しているわけです。
青山学院大学名誉教授 羽場 久美子
羽場久美子先生は本誌に、「NATOとロシアのはざまで引き裂かれるウクライナ」を掲載しています。重複部分は割愛しました。
私は、中東欧の近現代国際政治、第一次世界大戦それから第二次世界大戦、そして冷戦、さらにはEUやNATO拡大を専門にしています。ロシアのウクライナ侵攻について、あまりメディアで言われていない三つのことについて今日は話させていただきます。
共同通信客員論説委員 岡田 充
今日のメインテーマは台湾有事ですが。ここ1週間のウクライナの動きを見ると、全体として米ロのある意味では代理戦争的なところがあるわけです。米ロお互いの挑発がかなり刺激的になったなという気がしています。
衆議院議員(元自民党幹事長) 石破 茂
議員になってもう37年目です。右からは左と言われ、左からは右と言われる。実に不思議な立ち位置にありますが、絶対的な立ち位置は変わっていない。言っていることは変わっていないんです。
平成の時代はおそらく、三つのものが本質的に変わった、そういう時代だったと考えます。一つは間違いなく「戦後」が終わったということだと思います。昭和20年に少年兵として従軍された方も今は90歳になられる。田中角栄先生は従軍された経験がおありでしたが、ご存命中に、「あの戦争に行ったやつがこの日本の中心にいる間は大丈夫だ」とおっしゃっておられた。「だけど、そういうやつがいなくなった時が困るんだ、だからよく勉強してもらわなければいかんのだ」ということをよく言っておられた。その戦後が終わった。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
まず、ウクライナ戦争に触れておきたい。プーチンの狙いについて、世界が間違えていました。まさか、ウクライナに攻め入ることはないと思っていた。ところが戦争を始めてしまった。
背景には、ソ連崩壊後のNATOの東方拡大を巡って、西欧・アメリカとロシアの間の信頼醸成がなされてこなかったことがあると思います。だからと言ってプーチンの行為を免責するわけにはいかない。これは国連憲章に違反する、第二次世界大戦後の世界秩序を覆す暴挙です。
広範な国民連合は衆議院議員会館で3月14日、シンポジウム「台湾有事を避けるために――日本の安全保障を考える」を開催した。冒頭、柳澤協二さん(元内閣官房副長官補、安全保障・危機管理担当)が「台湾有事を避ける」基調的な提起を行った。続いて、石破茂さん(衆議院議員、元自民党幹事長)が日本の安全保障政策について問題意識を述べ、岡田充さん(共同通信客員論説委員)と羽場久美子さん(青山学院大学名誉教授)がコメントした。会場から、「台湾有事」ともなれば最前線となる沖縄から伊波洋一参議院議員と新垣邦男衆議院議員が、また、実際に戦闘を担うことになる自衛隊OBとして林吉永さん(空将補)が、それぞれ問題意識を述べた。
日本のロシア・東欧史研究者を中心に歴史家たちは3月15日、「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」と題した訴えを出し、日本政府などへの働きかけを強めている。「ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉」を始めるため、「日本、中国、インド三国の政府にウクライナ戦争の公正な仲裁者となるように要請」している。この訴えを支持し、「なしうるあらゆる努力を」呼びかける。(編集部)
世界国際学会(ISA)アジア太平洋会長/
グローバル国際関係研究所所長/
神奈川大学教授・青山学院大学名誉教授
羽場 久美子
本稿は、第2回「日中時事交流フォーラム」(2月27日)での問題提起に筆者が加筆修正されたもの。見出しとも文責編集部。
ウクライナはヨーロッパとロシアのはざまにある「非常に大きな小国」です。不思議な言い方ですけれども、ドイツとポーランドを合わせたくらいの、ドイツの2倍の領土があります。ウクライナはすでに主権と領土保全の領有権を持つ国です。現在、ウクライナの首都までロシアの軍隊が迫っており、そうした中で多数の犠牲が出ていることはたいへん遺憾だと思います。
第2回「日中時事交流フォーラム」が2月27日、オンラインで開催された。当フォーラムの日本側代表を務めている羽場久美子・青山学院大学名誉教授が、「EU・NATOの間で引き裂かれるウクライナ―境界線でせめぎあう大国―」をテーマに報告し、華語シンクタンクの彭光謙理事長がコメントを述べた。中国側からは徐長銀・同シンクタンク執行理事長、龔剣・同シンクタンク事務局長が、日本側からは、第1回報告者であった丸川知雄東京大学教授をはじめ三十数人が参加した。凌星光教授が仲介役を務め、杜世鑫氏が通訳を担当した。
今回の交流は、ロシアの軍事侵攻でウクライナ市民の犠牲が相次ぎ、他方、経済制裁などロシアへの圧力が強まる情勢下で行われた。羽場教授の、日中が連携して東アジアから平和的解決に動くべきとの提起を受けて、真剣な意見交換がなされたことは大いに意義深い。以下概略。
福岡県日中友好協会事務局長・広範な国民連合全国世話人 中村 元氣
今年で「日中国交正常化50周年」になることを記念し、お祝いする「九州日中友好大会」が1月25日に福岡市の中国駐福岡総領事館で開催された。
この大会は、九州6県(福岡・佐賀・大分・熊本・宮崎・鹿児島)の日中友好協会と同総領事館の共催で開催した。
当日は、新型コロナウイルス感染拡大も考慮して、メイン会場を同総領事館にして、各県の日中友好協会や(公社)日中友好協会と、中国の北京・南京の友好協会などをオンラインで結んで行った。大会には、メイン会場の約20人(人数制限した)の他に、九州各県や中国からの参加者も含めて全体で約100人が参加して盛大に行われた。