追い込まれていたガザ地区
東京経済大学教授 早尾 貴紀
イスラエル軍は、パレスチナのガザ地区に対して、無慈悲なジェノサイド(大量虐殺)を仕掛けている。死者1万4500人以上、うち子供が5500人以上という大惨事で、この数はますます増えている。
パレスチナ問題を理解するためには、歴史的経過を押さえなければならないが、直近の状況からさかのぼって述べたい。
ハマース(イスラーム抵抗運動)などによる10月7日の武装蜂起について、パレスチナに理解を示す人でさえ、冒頭に「ハマースによる民間人への攻撃は不当であるが……」と言わないとダメなような雰囲気がある。
この蜂起をスタートラインにすることは、大きな誤りである。
蜂起直前、ガザ地区は何が起こってもおかしくない状況にまで追い込まれていた。直視できないほどの惨状、極限状態にあった。 続きを読む