課題・言葉一覧

■ 安全な食料自給。農林漁業を核とする持続可能な地域循環経済へ

 

「日本の未来は守れるか」  鈴木宣弘東大教授の問題提起   
――命・環境・地域・国土を守る食と農林漁業の明るい未来を築くには?

 

広範な国民連合は3月28日、鈴木宣弘東大教授を講師に「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」講演と討論の会をオンラインで開催した。以下は、鈴木教授の講演の結論部分の要約と各地からの報告要旨である。  文責、見出しとも編集部

 

 「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている。2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいる(詳細は本誌4月号、鈴木論文)。世界も同様である。
 「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。都市人口集中という3密構造そのものを改め、地域を豊かにし、農林漁業を核に地域経済の循環構造を確立する必要がある(詳細は本誌2月号、鈴木論文)。 続きを読む


歴史修正主義の教科書検定を許さない 2

侵略戦争美化、沖縄戦を風化させる教科書を許さない

東京都高等学校教職員組合書記長 富崎 豊和

 「沖縄戦を美化してはならない」――4月1日、沖縄県内21の師範学校や、旧制中学校の元生徒らによる「元学徒の会」が強い憤りと、危機感をあらわにした声明を発した。というのも2022年の学習指導要領改訂によって、新しく必修科目となる「歴史総合」の一部出版社の教科書に、沖縄戦の事実を歪曲する記述があることが明らかになったからだ。
 沖縄には沖縄戦没者を慰霊するための慰霊碑が数多くある。「一中健児之塔」もその一つである。一中とは、旧制の沖縄県立第一中学校のことであり、現在の沖縄県立首里高校のことだ。太平洋戦争時には、激烈を極めた沖縄戦下、県内の範学校や、男女中学校の生徒とともに、戦闘に動員され、数多くの生徒が命を落としている。 続きを読む


歴史修正主義の教科書検定を許さない 1

旧日本軍の目線で沖縄戦を語らせてはならない

沖縄大学非常勤講師 親川 志奈子

 

 

 故翁長雄志氏の著書『戦う民意』の中に、2015年5月、辺野古新基地建設をめぐる翁長前知事との非公開協議のエピソードが紹介されていた。当時官房長官であった菅義偉氏が「私は戦後生まれのものですから、歴史を持ち出されたら困ります」と述べたという。「過去を引き受けない」という菅氏の態度表明は沖縄の私たちから見ると極めて不気味なものだった。 続きを読む


福島第一原発事故の汚染水海洋放出に反対する

これは現在と未来への犯罪である

自主・平和・民主のための広範な国民連合

 菅政権は突如4月13日に、福島第一原発の「廃炉を進め、福島の復興を成し遂げるためには避けて通れない課題だ」として事故処理水を2年後に海洋放出すると発表した。 続きを読む


核ゴミの最終処分地問題

原発政策最大のアキレス腱 今ならまだ間に合う

北海道議会議員 市橋 修治

 日本原子力研究開発機構は昨年1月、北海道幌延町の深地層研究期間の延長を決め、8月には500mの追加掘削を道と幌延町に提案した。期間延長間もなくの追加掘削提案は道民の大きな不信を招くことになった。そんな折、北海道の西部の町と村に突然の衝撃が走った。考えもしなかった「高レベル放射性廃棄物の最終処分地」を巡る閃光だった。

 「トイレなきマンション」と言われた原発政策最大のアキレス腱が急速に動きだした。 続きを読む


球磨川大水害から ■ いつでもどこでも起こり得る

温暖化と戦後の土地利用、森林・河川政策などの人災

水害がない流域の未来を考える

つる 詳子

 2020年7月4日に球磨川流域を襲った水害から9カ月。いまだに被災地はその爪痕を強く残したままである。護岸の樹木がなぎ倒され、見通しが良くなった球磨川の両岸は、補強用の黒いフレコンバッグで覆われ、泥出しや家財搬出を終えた窓、ドアがない家、柱だけになった家、解体して家屋がなくなった更地と、殺風景な景観が広がっている。 続きを読む



農業政策は国民の命を守る真の安全保障政策

「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている

東京大学 鈴木 宣弘

 

2050年ごろに起きるかもしれない渋谷駅頭の暴動(21年2月7日、NHKテレビ画像)

 

 

 先日、NHKスペシャルが2050年ごろに日本人が飢餓に直面する危険性に警鐘を鳴らした。画期的である。だが、その危険性はもっと早くに迫っているかもしれない。下の表はその可能性を示唆している。 続きを読む


これ以上沖縄を犠牲にしてはならない。これは全国民の課題だ

米軍兵をはじめすべての性暴力の根絶を目指して

高里 鈴代さん(基地軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表)に聞く

聞き手 山内 末子(沖縄県議)

たかざと・すずよさん(左)
オール沖縄会議共同代表、基地軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表、軍事主義を許さない国際ネットワーク沖縄代表。元那覇市議。

 

 

   1995年結成の「基地軍隊を許さない行動する女たちの会」は、結成から25年を迎える。高里鈴代さんは、共同代表として一貫して米軍兵の性暴力と基地に反対して奮闘している。高里鈴代さんに、東日本大震災から10年、節目の3月11日、毎月11日に全国で開催されている「フラワーデモin沖縄」開催前に、会場の沖縄県庁前広場で山内末子沖縄県議がお話を伺った。文責、見出しとも編集部 続きを読む


これ以上沖縄を犠牲にしてはならない。これは全国民の課題だ

遺骨と血の混じった土を基地造りに使うな

具志堅隆松さんハンスト 応答する若者が緊急ステートメント

3月1日から沖縄でガマフヤー(遺骨収集者)の具志堅隆松さんがハンガーストライキを始めた。これに呼応し、若者たちが3月6日、「日本に生きるひとりひとり」に次のような呼びかけを発した。受け止めたいと考え、その要旨を紹介する。編集部

 今回の件については、なんとしても止めたいんです。これは基地に賛成とか反対とか以前の、人道上の問題だ

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沖縄県うるま市長選 ■ 立候補を決意の照屋寛之さんに聞く

市民が主役、「誰一人取り残さない市政」

聞き手は、大学の教え子でうるま市議会議員の國吉 亮

これまでの研究成果の全てを注ぎ込んで市長選挙に臨む

國吉亮(以下、――) 沖縄国際大学の恩師である照屋寛之先生が、4月25日投開票のわがうるま市の市長選挙に立候補を予定されると伺い、大変うれしく思いました。必ず市長になっていただきたく全力で支える決意です。まずは、立候補を決意された心境を伺います。 続きを読む


農村活性化の「地域政策」の役割がポイント

家族農業など多様な経営体の共存・共生

北海道農民連盟書記長 中原 浩一

 北海道農民連盟の昨1年間の運動の柱は、「基本農政対策」、「米・水田農業対策」、「畑作・野菜対策」、「酪農・畜産対策」、「税制対策」等であった。一昨年からの継続課題を整理しつつ、新たな方針のもと活動してきた。 続きを読む


『雑感』■ コロナ禍における労働組合運動

私も、「未来は変えられる」を信じて

全農林労働組合顧問 柴山 好憲

工夫が求められるコロナ禍の運動

 新型コロナウイルス感染症は、1年を経過した現在も人々の暮らしや経済活動はもとより、労働組合の組織運営や活動にも大きな影響を与えている。OBとして当組合の活動を見たとき、「密の回避」と「非接触」を前提としたかつて経験したことのない組織運営に苦労しつつも、WEBによる協議や会議・打ち合わせ、さらにはユーチューブを活用した発信などを積極的に進めるなど、そのしなやかさに感心する日々である。しかしながら、集まりやオルグもままならず一方通行にならざるを得ない場面が多いなど、きめ細かな対応には一定の限界もあり、さらなる工夫が求められている。 続きを読む


南西諸島軍事要塞化 ■ 馬毛島基地化の西之表市長選・市議選

市民は「基地建設ノー」の意思を示した

西之表市議会議員 長野 広美

 全国からも注目された鹿児島県西之表市の市長および市議会議員選挙は1月31日、投開票された。市長選は、馬毛島基地に反対する現職・八板俊輔市長が勝利した。市議会は、反対派7人で、賛成6人、中立1人と勢力図が変わり、今後の議会運営は困難が予測される結果となった。 続きを読む