この先の50年、われわれは何をなすべきか
日中友好会館中国代表理事 黄 星原
皆さん、こんにちは! 日中友好会館の黄星原です。
先月、東京で小学生のスピーチ大会に出席した時に、日本生まれの8歳の中国の子に、「日本と中国はまた戦争やるの?」と聞かれて、本当にびっくりしました。とにかく深く考えさせてくれました。
本来なら、日本と中国の間に戦争の教訓があって、「日中平和友好条約」を結んでいるので、戦争がそもそも話題になるはずがない。
1972年の両国の国交正常化が与えてくれたのは、50年間の平和共存・協力発展の機会、年間1千万人以上の人員往来と、数千億ドル規模の貿易の実益です。われわれは50年前の国交正常化の初心と平和友好条約の内容をしっかり覚えたうえで、お互いに内政干渉せず、相手を脅威とみなすことなく、四つの政治文書と取り決めのもとで着実に友好的協力を推し進めれば、戦争と摩擦はわれわれの議題にならないはずです。しかし、現実はどうも楽観できません。
世界の情勢を見れば分かるように、戦争、あるいは代理人戦争を起こしたりして、金儲けをたくらむ国があれば、冷戦的な考え方で競争相手をつくり、対抗を一生懸命煽る国もあります。また、自国の利益を優先させ、軍事集団の拡張によって、災いを他国に引き込もうとする国もあります。今の世界は平和的ではありません。
さらにアジア太平洋地域を見てみましょう。
「核の輸出」と「核シェアリング」は一部の小さなグループのコンセンサスと政治屋の口癖になっています。世界を攪乱する軍事集団を利用し、いわゆる「インド太平洋の秩序」を口にする人もいます。そして、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を利用して、すでに深く融合したアジア経済圏を破壊しようとする人もいます。
また、平和の根幹を揺るがし、軍備拡張し戦争に備えることを吹聴し、戦後の平和的路線を変えようとする人もいます。さらに、条約を破棄し、いわゆる「台湾を守る」という名目で台湾の独立を支持する人もいます。つまり、アジア太平洋地域も安泰ではありません。
われわれはロシアとウクライナの戦争およびヨーロッパの悲劇から次のような教訓を得ることができるでしょう。
それは、最大の敵は自己本位と貪欲であるということです。軍事集団の絶えない拡張を通して、一方的に絶対的な安全を求めることによって、もたらされるのは戦争と災難です。制裁とデカップリングを通して一国主義を推し進めることは産業チェーンを破壊すると同時に世界経済に打撃を与えてしまいます。東洋の文明と知恵を持ったアジア、特に儒教の教えと禅宗文化のゆかりのある中国と日本は、どうやってヨーロッパの悲劇がアジアで起きることを防げるでしょうか。
本日、私たちが象徴的な意味合いのある沖縄に集まったのは、危機が至るところに潜んでいる世界、そして十字路に立たされている中日関係に処方を見つけることが目的です。できればすでに出た症状も病根も治療する漢方を処方できればと思います。ここでいくつかの提案をさせていただきたいです。
一つ目は、「世界観」と「中国観」を見直すことです。習主席とバイデン大統領がこの間の会談で話し合ったように、真剣に「発展」と「安全」の二つの課題を解決し、中国と国際社会に対するミスジャッジ、誤解とミスリードを避けるべきだと思います。
二つ目は、着実かつ丁寧に「戦争」と「平和」を考えることです。われわれはすべての戦争に「ノー」と言う勇気を持って、平和を大切にしなければいけません。戦争のリスクをなくすために、内政不干渉を貫き、自分の価値観を売り込まない。また、悪者を味方の内部に引き入れて災いを招くようなことと、自分の利益を図るために災いを人に押しつけないことが求められています。
三つ目ですが、沖縄から発出する平和提案を人類の文明のコンセンサスとし、強権的な政治に取って代わって運命共同体の理念を持ち、発展の機会を子孫に残してゆき、平和の鍵を私たちの手に握るべきだと思います。
ご清聴、ありがとうございました。