「国民の暮らしを守る」にこそ思い切って財政を使え
『日本の進路』編集部
中盤となった臨時国会では飲食料品消費税を来年4月から、しかもわずか2年間だけ1%に減税と若干の就業者支援金支給の法案が焦点という。それに法案ではないが中国敵視の大軍拡を目指す国家安全保障戦略など3文書改定12月強行も策動されている。
イラン戦争と円安、インフレ、それに異常気象などで食料品や石油製品など生活必需品の高騰は止まるところを知らない。国民の暮らしが成り立たない。
しかも、非核三原則見直し・原潜導入などで軍備を増強しても国民の命は守れない。それはかつての戦争の教訓である。平和こそが命を守る。そもそも貿易など最大の経済交流関係がある隣の大国中国と敵対して、この国の経済が成り立つはずがない。
国民の命が守れない! 高市政権の即刻の退場を求める。
食料が買えない命の危機
36歳埼玉県の会社員が投稿していた。「物価高をひしひしと感じるこのごろ。(スーパーでは)野菜の値段と品物を一つずつ念入りに確認する。値引きシールが天使に見えるほど、キラキラ輝いて見えるのは私だけ?と心の中で独り言をつぶやく」(毎日新聞、9月21日投書欄)
「会社員」でも大変だ。ましてや非正規雇用とかパート・アルバイト・フリーターとか、片親家庭や低・無年金高齢者などはもっともっと大変だ。アルバイト漬けの学生たちも大変だ。
農家も米価暴落に資材費高騰、異常気象などで離農の危機が進む。小売業を中心に中小零細企業・自営業の倒産も4~9月期の倒産件数は5年連続前年同期を上回り、3年連続で年間1万件を超えるという。
この事態に緊急対策と、同時に根本的な対策が急がれる。
「経済最優先」に転換したかを装う高市首相は「内閣発足当初から、物価高への対応を最優先課題として取り組んできた」と所信表明で述べた。だが、例えばイの一番に上げた「ガソリン・軽油の暫定税率廃止」は、すでに昨年6月に当時の野党共同提案で衆議院を通過したが参院で廃案になり、7月参院選での野党多数獲得の後に石破政権の下で合意されたものだ。決して首相が最優先課題として取り組んだものではない。
一事が万事この調子である。「実質賃金8カ月連続上昇」を自慢する。だが、ほぼ誰にも実感はない。むしろ税金投入によって燃料油や電気・ガス料金が若干にしろ引き下げられ消費者物価が若干下がった結果で、見せかけに過ぎないとも言われる。
しかも、「電気・ガス料金支援」はこの9月すでに終了し、11月の支払いから家庭負担増だ。特に北海道や沖縄の電力料金は平均1万円を超す。灯油代も大幅に上がって、これから冬を迎えて大変である。
この政権が国民の暮らしに関心がないことは明らかだ。
来年4月では間に合わない
問題点が多々指摘される「食料品消費税1%への減税」だが、来年の4月から実施だ。厳しい国民の暮らしを応援しようとするのであればどうしてすぐにやらないのか。わらにもすがる思いの消費者には幾らかの息継ぎになるはずだ。
今すぐ、例えば公明党の「全国民に8万円給付」などで、野党各党が要求を一致させ与党にも実現を迫りたい。
一律8万円にはバラマキとの指摘もあろう。だが、真に必要な国民を絞り切れないのだから、緊急時の方策は他にない。一定以上の所得者には来年度の所得税に上乗せして返してもらうように国会が決めれば良い。
しかしこの程度では、多くの国民にほんの一時しのぎにもならない。
「おかしな国」だが
財源はある!
国民の暮らしを成り立たせる政治、財源確保は政治の責任だ。
高市首相が公約した食料品消費税率ゼロ%をすぐに実現したらどうか。あるいはすべての消費税率5%を実現したらどうか。われわれは「消費税の廃止」を求めている。
消費税は貧困層ほど負担が重い逆進性の最たるものである。とくに問題は生きていく上で不可欠な食料品への課税である。昨年、エンゲル係数は全世帯平均で31・2%、消費支出の実に3分の1が食費である。全世帯の下位10%世帯では実に35%を食費が占める。
ところが一方「おかしな国・日本」は、「お金持ちになればなるほど、大企業になればなるほど税金を払っていない」。前衆議院議員がこう暴露し日経新聞2022年8月20日の1面トップを紹介した(江田憲司、『食料品の消費税をゼロに!』かや書房)。
「ソフトバンクグループ(SBG。書中では匿名に)、繰り返す法人税ゼロ。07年以後の15年間で課税は4回」と見出し。そして「法人税額は計約170億円で、この間のSBG単体の税引き前利益(計約6兆6千億円)の約0・25%だった計算となる。連結純利益が日本企業で史上最高の約5兆円となった21年3月期も、単体の法人税はゼロだった」。
しかし、これは「脱税」ではない。「合法的な税務処理」でこうなるのだ。各種の「税制優遇措置」の結果である。
現在の法人税率(国税)は23・2%である。ところが資本金規模1000億円以上の超大企業の実際の法人税負担率(法人所得に対する税負担率)は半分の11・9%(2023年)。一方、資本金1000万円以下の中小零細企業は14・6%だという。
これが自民党政治の結果である。
個人所得税も同様である。年収が1億円を超えると所得税負担率がどんどん下がる。年収1億円が最高で25・9%の負担率となる。そこから負担率は下がり始め年収100億円を超えると負担率はわずか16・2%に。株式などの金融所得の税率が一律20%だからである(25年度から若干課税強化されたが全くの「若干」である)。
超大企業・大金持ちへの超優遇措置である。
こうした優遇措置を是正すれば、消費税廃止などはたちどころに可能だ。これがいちばん暮らしに役立つ。
ところが財務省は「消費税は社会保障財源」などと言って脅かす。だがそれは1989年4月に始まった消費税の目的を、2012年に「後付け」したものでしかない。法律は国民の意思に沿って変えれば良い。
大企業法人税と高所得者の所得税などを「適正」にするだけで国家財政は十分にやっていける。
そもそも国民が生きられないのにミサイルや潜水艦を買っても仕方がない。防衛費は専守防衛の最低限の範囲に収めるべきだ。高市政権が進めようとしている360兆円の大企業支援も止めるべきだ。
国民を守るための財政
しかも首相の所信表明には農業が一言も出てこない。国民の食料もなくて何が国防か。「日本型直接支払い」の確立が急がれる。
社会保障にも触れない。介護保険制度は崩壊寸前だ。国費投入で介護など社会保障制度の確立を目指さなくてはならない。
何よりもすべての労働者の大幅賃上げが求められる。これこそが消費を、そして経済を活発化させる国民のための「成長戦略」だ。
まず高市政権は「最低賃金目標」引き下げを撤回すべきだ。最低賃金の大幅引き上げを実現し、低賃金でこき使われている非正規雇用を「禁止」する労働法制を確立すべきだ。同時に男女の賃金差別、外国人労働者差別などを禁止し、すべての労働者に生活できる賃金保障を雇用者に義務づけることも必要だ。また政府はすべての労働者の税と社会保険料負担を大幅に軽減すべきだ。
これらはすべて政治の責任だ。高市政権打倒! 国民のための政治へ!
