昨年は23都道府県6930人が立つ
3月29日、再び東京でトラクターデモ
全国各地でも行動を呼びかけ

農家に欧米並みの所得補償を求める「令和の百姓一揆」実行委員会は今年3月29日、都内で再びトラクターデモ・提灯デモを計画するとともに、全国各地に同時多発の行動を呼びかけている。
農家と消費者の連携をどう広げていくかを話し合う「全国に拡がる!令和の百姓一揆意見交換会」が昨12月17日、国会内で開かれ、オンラインも含め約120人が参加。国会議員13人も参加し連帯あいさつした。
実行委員会の高橋宏通事務局長は、2025年、令和の百姓一揆の行動が全国23都道府県24カ所でトラクターデモをはじめさまざまな形式で展開され、延べ6930人とトラクター117台、軽トラ等174台が参加したことを報告した。さらに食料安全保障の危機が叫ばれる中、「瑞穂の国」を次世代につなぐため、26年は3月29日、都内で再びトラクターデモを計画し、同時に全国各地での行動を呼びかけた。
第1部「各地域からの報告」では、全国から16団体の代表が取り組みを報告した。
山形県では11月24日にトラクター5台、軽トラ15台、参加者を含めて200人でデモをおこなった後、生産者と消費者がつながる情報交換の場としてシンポジウムを開催し、約300人が参加した。報告に立った共同代表の山口ひとみ氏は、「当初予定していたより多くの人が参加する取り組みになった」と話した。
シンポジウムは生産者と消費者が3人ずつ参加した本音のクロストークでそれぞれの現状や意見を伝える形をとり、生産者からは水の循環や中山間地の農家の重要性を踏まえ、新規就農者をフォローする必要性や、「農業は国防に通じている」という意見、食農教育の必要性などが出たという。消費者からは、食の安全性や食育が気になるという意見や、農業とかかわることが実は楽しいことだという意見、知ることから何かできることを考えたいという意見が出た。山口氏は「会場からも〝市民の要望に対してできないと思わず、考えるのが行政ではないか〟という辛辣な意見や、今の農政があまりにも猫の目農政で、どう先を見通していけばいいかわからないこと、国の政策の不安定さや問題についても意見が出た」などと報告した。

広島では昨年2回の行動
広島県内での百姓一揆の取り組みは、7月21日北広島町での第1弾に続く第2弾。11月24日の第2弾の一揆は、「語る場」「つながる場」「学ぶ場」の三つをテーマに掲げ、広島市の繁華街を原爆ドーム前までトラクター5台と軽トラ15台を先頭に、参加者100人が「日本の食と農を守ろう」「すべての農家に所得補償を」など声を上げ行進した。多くの国内外の観光客が沿道から手を振るなど注目を集めた。行進に先立ち、農業者と消費者の意見を交わす集会が開かれた。
宮地候子氏は報告の中で、「3月30日に令和の百姓一揆に参加し、その後の寄り合いで私たちは知り合った。帰る道すがら、これは広島でもやらないといけないということで女性3人が立ち上がった。2回目はとくに趣向を凝らし、戸別補償がなぜ必要なのか寸劇もして見ていただいた。自給率が38%といっているが、東京や大阪はゼロ%。何かあったらもう食べられない。霞を食べて生きている人はだれもいない。私もじっとしておれないということで立ち上がることになった。お互いに理解を深め合い、自分の命は自分で守り、周りの人も守らないといけない。まずは一歩を踏み出すということで頑張った」などと報告した。
地方議会で「所得補償」求める意見書
意見交換会第2部では、地方議会における取り組みの共有もあった。山形県鶴岡市の草島進一市議が「農家への所得補償を求める意見書を9月議会で全会一致で採択した。『今のままで米作りを続けられますか』という率直な問いかけに、自民党市議も賛同してくれた」ことを報告。9日に栃木市議会12月定例会でも同意見書が採択される運びとなったことを報告。
なお、実行委員会は昨年10月7日に議員懇談会を開催し、地方議会において意見書の提案・採択に向けた活動を進めることを今後の活動の一つにすることを決めた。実行委員会が把握している採択自治体は以下4自治体。
①山形県鶴岡市議会:全会一致
②栃木県栃木市議会:全会一致
③神奈川県大磯町議会:賛成7、反対6で可決
④神奈川県伊勢原市議会:全会一致(最大会派との調整で「所得補償」は施策を限定)

米の適正価格について問題提起鳥取県の農事組合法人代表・鎌谷一也さんと、右から広島の西原美和さん、宮地候子さんと、左は静岡の藤松泰通さん
「かかりつけ農家」持とう
体調不良のためオンラインで参加した実行委員会の菅野芳秀代表は「全国でいろんな方々が立ち上がっていると心熱くした。私たちの所得補償の訴えは実現しておらず、このままでは『瑞穂の国』が終わる。ここで矛を収めるわけにはいかない。国政に転換を迫るだけでなく地域農業を守り人々の暮らしを守る具体的展開をつくり出していく必要がある。かかりつけ医と同じように、『かかりつけ農家』『かかりつけ消費者』の連携があるといい。キーワードは地域、いのち、相互連携だろう。全力で日本の農業を守り、地域で暮らす人たちのいのちを守ろう」と呼びかけた。
消費者と生産者が
連帯して国に働きかける
最後に実行委員会の藤松泰通氏より、26年3月29日に計画している東京での統一行動の呼びかけがおこなわれた。その中で藤松氏は、意見交換を経て消費者とつながる重要性を強調した。3月29日に向けて消費者とつながり、声を上げていくことを呼びかけた。
また、タネや農薬、機械の主導権を海外が握れば日本に自由はなくなり、大規模農業では農村が荒廃することを指摘した。「輸入だけに頼るのは、昨今の状況のなかで台湾有事が起こった際などに、今まで通り輸入されるかどうかも不透明だ。EUやアメリカが直面している移民の問題も、元をたどると農民の移民だ。先進国が輸出型農業で輸出先の農業を破壊した結果だ。自国の農業を守ることは他国の農業を守ることにもつながる」と述べた。
3月29日は東京一極集中ではなく、同時多発的に全国各地の多くの都市で実施し、その集大成として消費者と生産者が連帯して国に農家の声を届けるイメージで取り組みを進める方向である。
