小泉防衛大臣の「核兵器」発言に抗議

「核兵器のタブー」を破ってはいけない

   長崎の共同記者会見で抗議声明

 8月4日長崎市内で、「安全保障政策の議論で核兵器について触れざるをえない」という小泉進次郎防衛大臣発言に抗議する共同記者会見が行われた。この共同行動は6日広島と9日長崎の81回目の原爆祈念日を前に危機感を持った被爆者4団体が中心になり、32団体が賛同して開催したもの。最初に、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長が代表して抗議文を読み上げ、その後各団体から一言ずつ発言があった。広範な国民連合・長崎の中村住代共同代表も小泉防衛大臣に抗議し決意を述べた(共同声明別掲)。
 今年の長崎原爆祈念式典では鈴木史郎長崎市長が「平和宣言」で、「日本政府に対して、不戦の決意が込められた日本国憲法の平和の理念と非核三原則を堅持し、国際社会の緊張緩和と軍縮に向けた外交を強化して下さい」と求めた。また、平田研長崎県知事も「慰霊の詞」で「日本政府におかれては、国際的な安全保障環境が大きく変化する今、唯一の戦争被爆国として常に国際社会の先頭に立ち、非核三原則を堅持しながら核兵器廃絶に向けてあらゆる努力を」と求めた。
 多くの団体が一堂に会し共同の取り組みをしたことは画期的であり共同行動のパワーを感じさせるものであった。
 広範な国民連合・長崎は昨年11月30日にも、高市首相が安保関連文書の改定に伴い、国是とも言うべき「非核三原則」見直しをもくろんでいることがわかったのを受けて、「非核三原則の見直しへの抗議と撤回を求める声明」を高市首相に送付、記者会見を行っている。

非核三原則堅持
国へ意見書過去最多

 6月長崎県議会では、最大会派の自民党が提案し「非核三原則堅持の意見書」が決議された。長崎市議会は今年1月、「『安保3文書』改定に向けた議論が与党内で開始されており、これに伴う非核三原則の見直しは到底受け入れられるものではない」との意見書を賛成多数で可決した。広島県、広島市はそれぞれ、同様の意見書を全会一致で可決している。
 とくに広島県議会は自民党の提起で、「今日、安全保障関連3文書の改定に向けた議論が与党内で開始されており、これに伴う、非核三原則の見直しを不安視する声がある」との文言を含んだ意見書を昨年12月に決議している。
 北海道の函館市や旭川市など7市町議会は、「非核三原則堅持」に加えて原則の法制化を求める意見書を国に提出した。
 この動きを東京新聞は8月5日、次のように報じた。
 高市政権の発足後、日本が国是とする非核三原則の堅持を求め、国会に意見書を提出する地方議会が急増している。参院事務局によると、政権が誕生した昨年10月21日から今年7月28日の間に、少なくとも36都道府県の128議会が提出。国会で意見書の受理が始まった2000年7月以降の政権で最多となった。安全保障関連3文書の年内改定を控え、三原則の見直しを否定していない高市早苗首相への懸念が強まっているとみられる。
 年末の「安保3文書」改定見直しに照準を合わせ、全国の自治体、議会で「非核三原則堅持」の世論を住民とともに広げていくことが求められている。

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共同声明 小泉防衛大臣発言に抗議

「核兵器のタブー」を破ってはいけない

 小泉進次郎防衛大臣が、安全保障政策の議論で核兵器についても触れざるをえないと発言したことに抗議します。この発言は、「自分たちと同じ苦しみを地球上のだれにも味わわせてはならない」と、人生をかけて核兵器廃絶を訴えてきた被爆者の思いを無視するものです。見過ごすことはできません。
 2024年に、被爆者の全国組織・日本被団協にノーベル平和賞が贈られました。受賞の理由は、アメリカが広島、長崎に原爆を使ったことで何が起きたのかを被爆者が伝え、核兵器の使用は道徳的に許されないという強力な国際規範「核のタブー」を形づくったことでした。その後81年間にわたって核兵器は一度も実戦で使われていません。それは、2つの国が互いに核兵器を持っていれば、どちらも核兵器を使えないという『核抑止』の考え方だけでは説明できないことです。アメリカが核兵器を独占していた時も、アメリカとソビエト連邦が核兵器を持っていない国と戦った時も、核兵器は使われませんでした。被爆者が作り出した「核のタブー」がいかに重要かがわかります。小泉防衛大臣は、「核のタブー」について学んでください。
 日本政府が核兵器の持ち込みについて議論するだけでも、「核のタブー」を弱めます。周辺の国々に、核兵器を持とう、増やそうという動きを広げる結果になります。どの国も核兵器を持てば安全になるのでしょうか? 核兵器が使われる可能性が高まり、今よりも危険になることは明らかです。このように行き着く先を見通すことこそが、「真に日本を守る」うえで必要なことです。小泉防衛大臣の発言は、議論の方向が逆です。
 世界で核兵器を増やす動きが出ている今こそ、日本政府はこの動きを逆転させて、再び核兵器を減らす動きを作り出すためにどうすればよいのかを議論すべきです。
 日本政府は、軍事大国や武器を輸出する「死の商人」になってはいけません。「平和を望むものは戦争に備えよ」と言って軍事費を増やした国が、戦争に突き進んでいったことを歴史が教えています。安保3文書の改定で、非核3原則を見直すことがあってはいけません。軍事費を増やし核兵器を持てば安全になると考えることこそ、現実を直視しない「お花畑の発想」です。共同通信の調査によると、高市政権が発足してから今年6月下旬までに、非核3原則を堅持することや法律にすることを求める意見書を、広島、長崎を含む25都道府県の82議会が日本政府や国会に提出しています。その後も増えていて、非核3原則は多くの国民に支持されているのです。小泉防衛大臣と日本政府には、戦争の反省から平和国家を目指した憲法9条を指針にして、他国との緊張をやわらげ、核兵器と軍備増強によらずに日本の安全を確保する道を目指すことを求めます。
 2026年8月4日

<賛同団体(順不同)>
長崎県被爆者手帳友の会
長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会
長崎原爆遺族会
長崎原爆被災者協議会
(以下28団体略)