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座談会 ■ 沖縄―国会議員、県議、市議

政治の主導権を沖縄に

 

参議院議員・高良さちかさん
沖縄県議会議員・儀保 唯さん
石垣市議会議員・花谷 史郎さん

高良さちか(以下、高良) 今回は今年2月の総選挙を経て、今後の沖縄における政治や展望について話してみたいと思います。
 今年9月には県知事選、そして県内での統一地方選挙もあります。特に総選挙を振り返って、私の周りにも言いたいことがある人が多くいると感じています。
花谷史郎(以下、花谷) 残念ながら一連の県内の自治体選挙、そして総選挙でいわゆる「オール沖縄」というものの結集力が弱くなっていることが強く印象付けられました。
 沖縄2区における社民党の分裂選挙、中道改革連合・安住幹事長(当時)の「辺野古新基地建設容認」発言の決着もついていません。そんな状況を考えると、やっぱり沖縄の政治にとって、何か新しい動きが求められていると思うんですよ。
儀保唯(以下、儀保) この間、花谷さんたちと会う中で、「辺野古新基地建設反対」が大きな結集軸になっていく過程で、自衛隊の配備が進み南西諸島の人たちの気持ちを十分に聞いていなかったのではと思いました。
花谷 当然保革が合わさって「オール沖縄」体制みたいなものができ、政治的にも勝利していけば、南西諸島の軍事化についても歯止めがかかるという期待感はありました。
 しかし、オール沖縄側から「我々は辺野古新基地反対のワンイシューでまとまった。辺野古以外の政策について口出しはしないのが基本だ」(「琉球新報」24年3月28日)との報道が出て、石垣で自衛隊基地への反対を訴えてきた人はショックを受けました。
高良 宮古島でも同じような感じでした。そうした一つひとつのほころびが、だんだん積み重なって、連帯が崩れていく。だから今後闘う体制を立て直すにあたって、「沖縄本島中心主義」のようなものから離れて、島々を含む沖縄のありとあらゆる地域に住む人たちの思いをキチンと見ることができるかどうかというのは大事ですよね。
儀保 当然、本島で辺野古新基地建設の反対活動を一生懸命やっている人は軍事化が進む南西諸島のことに心を痛め、なんとかしようと考えている人ばかりです。
花谷 石垣や宮古、与那国の自衛隊の配備は、明らかに中国に対する戦争を前提としたものです。その意味では、この南西諸島における戦争準備に対する取り組みはもっと重視されなければいけないと強く思っています。
高良 一昨年、うるま市での自衛隊の訓練場建設は撤回させることができました。自衛隊問題でも、本島だと大きく団結できるけど、離島の問題になると、なかなか沖縄からみんなで駆けつけることができないところ。
 だから、県も含めて、もっと早い段階で島々への自衛隊の配備問題について、反対という意思を明確する必要があったし、「オール沖縄」含めて、平和運動の側にはそれが求められていたと思っています。

沖縄のアイデンティティーが基礎

儀保 「オール沖縄」はそもそも、辺野古新基地反対だけではなくて、「建白書」の精神を実現しようという考え方でしたよね。
 辺野古新基地建設の強制的な進め方や、一方的なオスプレイ配備にしろ、あの時、翁長雄志さん(元県知事)の思いというものを今の言葉に置き換えて訴えることができないのかと考えているところです。翁長さんの訴えてきたこと、「建白書」の精神そのものは、まだ多くの県民を引き付けるものだと思います。
高良 翁長さんはそれまで沖縄自民党のなかで多数派として生きてきたなかで、当時の安倍首相に「建白書」を手渡そうと思って東京に行く。でも、そのデモの途中ですごいヘイトスピーチを浴びせかけられる。沖縄がいかに差別され、自分がどんな立場の人間なのかということを強く感じた。沖縄の人が元来感じてきた、アイデンティティーを呼び起こされたのではないかと思います。
 しかし、あれは翁長さんの持っていたカリスマ性が大きな位置を占めていたので、同じことが彼亡き今の時代にできるかというと、難しいとも感じています。
花谷 近年の台湾問題などを考えると、米国とイスラエルによるイラン攻撃と中東情勢というのは「ガソリン価格」という形で県民の生活に直結している。「これは大変だ」という意識が急速に広がっていると思うんですね。生活の問題と平和の問題が結びついているのだと、改めて考えさせられます。
 米国が世界のどこかで起こす戦争の舞台が日本、とりわけ沖縄でもおかしくないんですよ。
儀保 ちょっと話が戻るかもしれませんが、自衛隊の配備についての問題が2015年ごろに出てきた時に、どんな議論がされたのかと思うんですよ。
 沖縄で「台湾有事」が叫ばれ、自衛隊の基地が強化されていくなかで、辺野古新基地建設反対と併せて、この問題も十分に結集軸にできたはずじゃないですか。
 もちろん、自衛隊について「賛成」の方もいるでしょう。そういう方々とももっと議論しなければいけないはずです。
花谷 その通りだと思います。「辺野古新基地建設反対か南西諸島の自衛隊強化反対のどちらを取るか」という発想ではなく、キチンと議論すれば、その結びつきが見つかったはずですよね。

中央の政党の論理を超えた視点こそ

高良 この前の衆議院選挙、結果はもちろん、私たちにとってもなかなか厳しかったですよね。
 その上で、候補者を選定する過程で、もっと何かできなかったのかという思いをもっています。
 突然の解散、中道など新しい政党ができたりする大きな変化がある中で、私たちのなかで民主主義的に話し合いながらまとめることができなかったというのがとても残念に感じています。
 中央の各政党における考えもあるでしょうけど、そういう中央の論理を超えた視点も必要だったと思っています。
花谷 そうですね。例の「安住発言」というのは、あの党に沖縄選出の現職議員がいながら、その議員たちの同意も得ずに、勝手に「辺野古新基地容認」と言う。これは「沖縄の民意」というのはどうでもいいっていうことですよね。また、中道の「日米同盟基軸」という基本政策の下では、「辺野古新基地建設反対」さえも言えないということだったわけです。
高良 政策の主導権を沖縄が持つことに大きな意味があると思っています。
 今回みたいに政党の合従連衡のような大きな動きがある中で、私たち沖縄側からの要望を中央の政党にしっかり行う、それに応える人でなければダメという構えが必要ですね。
儀保 そうですね。政党に入るかどうかは置いといても、入ってもブレないような人に民意を託したいですね。
 そうするとやっぱり私たちが候補者にどの政党に所属するか、誰を候補者に選ぶかという時に話し合う場が本当に大事ですよね。政党はあくまで民意を実現する手段ですからね。
沖縄の民意に沿った政治に
花谷 沖縄の民意と違う人だったら選挙に落ちるし、民意の合っている人だったら通るんだという体制をこちら側がつくることができれば、中央の政党も沖縄の民意に配慮した政策を取らざるを得なくなる、そんな状況が必要です。
 私も参加している地方議員のグループで、県民が何を望み、どう思っているかを聞く取り組みを始めました。ワークショップとか対話集会みたいな形式で、これから地域ごとにやっていこうと計画しています。
 儀保さんのような本島北部選出の議員が石垣や与那国まで行って、そこで住んでいる人たちから話を聞くというような地域をまたいだ形で、県民の声を共有していく。そしておのおのの議員が全体の民意というのをだんだんつかめてくれば、国政選挙の時に、「民意に沿っている候補者はこの人」というのが見えてくると思うんです。
高良 こうした活動の中で若い世代が動いていくこともすごく大切だと思っていて。あらゆる分野で、次の世代にどうつないでいくかというのは意図的にやらないと多分いけない。人ってすぐに育つわけでもないし、増えるわけでもないじゃないですか。
 だから、若い世代が動きながら、それ以前から頑張っていた人たちから何かしらを受け継いで、そしてまた次の人を発見していくみたいに広げていくことがいいと思いますね。
儀保 今回、知事選挙もそうですが、各自治体選挙も相当に重要だと私は思っています。県議という立場になってあわてて候補者を探してみたり、引退する現職の後継者を立てられないということではなくて、日常的に次の候補者を見つけて、育てていくようなキチンとした世代交代が必要だと感じています。そのへんは自民党の方が上手ですね。
花谷 若い世代を育てることは重要ですね。私は5歳ぐらい下の世代は自分と同じような感覚だと思うんですけど、10歳くらい下だと、物事の捉え方が全然違うと感じます。多分どこかの時点で一変するような時代があったという感覚です。

もっと女性政治家を増やす

高良 髙良鉄美先生(前参院議員)が勇退するにあたって私に声をかけたのは、「自分の後は絶対女性だ」と決めていたからです。意識的に女性の政治家を沖縄から増やそうとしていた。
 女性候補者・議員を育てて、女性の政治参加を実現していくには、今後の活動を通じてちゃんと女性にバトンタッチできるような環境を一緒に伴走して、悩みを聞きながらつくっていかないといけない。
 昨日、ある立憲民主党の議員さんから話を聞いたら、立憲はその点を本当に意図的に行ったと言っていました。国会全体でパリテ(同等、同量)の実現を目指そうと思ったら、まずは自分の政党からやろうということで。
儀保 私も今、特に女性に声をかけて候補者を探しているところです。正直、声をかけても断られることの方が多いですが、自分も最初はそうでしたから。だから何回も話し合う前提で取り組んでいます。現職の議員は高良さん言うように意図的にやっていく役目があると思います。
高良 儀保さんだったら「自分はこんなふうにした」とか実体験通じて言えるから、声かけられた人もちょっと考えてみようかと思うんじゃないかな。自分よりも前に体験者がいるかどうかってすごく大きいと思うんですよ。
儀保 改めて、今年の地方選挙は大事だと思います。候補者選びにせよ、「民主主義が大事」と言っている私たちが自分の周りで十分な話し合いを通じて候補者をつくる。自分たちがいる場所で民主主義を実践してないといけない。
高良 民意というものも変化するし、今本当に県民が何を望んでいるのかということを、日常的に対話しながら吸い上げていかないとダメですね。
 国会議員、県議、市議と、3人それぞれ立場は違いますが、9月の知事選での玉城デニー知事の再選、統一地方選では私たちの仲間が勝利できるように、今回の座談会で話し合った視点を大事にしながら、お互い頑張りましょう。