新年メッセージ

軍事大国化を阻止し、
政治の変革にむけた共同の闘いを大きく前進させよう

部落解放同盟中央執行委員長 西島 藤彦

 昨年の参議院選挙では、衆議院に続いて「裏金問題」や統一教会との癒着などに批判が集中し、与党の過半数割れという結果となりました。その後、石破政権が退陣し、高市政権が発足しましたが、公明党が連立から離脱し、新たに日本維新の会との連立合意のもと、これまで以上に「戦争をする国」づくりがすすめられています。とくに、軍事費のGDP(国内総生産)比2%目標を前倒しで実施し、殺傷能力のある兵器の輸出のための規制緩和や「国家情報局」の新設と「スパイ防止法」の制定など、軍事大国化にむけた反動政策が強行されようとしています。
 さらに高市首相は、中国を敵視し、「台湾有事」における武力行使を明言する「存立危機事態」発言によって日中関係を著しく悪化させました。高市首相の発言は、国交正常化における日中共同声明で「台湾は中国の領土の不可分の一部である」ことが明記され、日本政府はこのことを「十分理解し、尊重する」とした内容に明らかに反しています。また、臨時国会での補正予算では、総合経済対策を決定したものの、医療費負担の増額や賃上げを上回る物価高に苦しむ市民生活を無視した実効性に欠ける内容でしかありません。
 一方、こうした反動政治に抗して闘う政治勢力の総結集という課題が大きく前進しているとはいえない情況にあります。参議院選挙でも、EU諸国や英国と同様、差別排外主義勢力が台頭しました。私たちは、人権と平和、環境の確立にむけた政治勢力の総結集にむけて、それぞれの共通した課題を明確にしながら取り組みをすすめていかなければなりません。国際社会においては、長期化しているウクライナ侵略戦争や、停戦合意後も続く、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘激化をはじめ、対立と分断がますます深まっています。また、新自由主義政策のもとで深刻化してきた貧困や格差、差別の問題も深刻です。さらに、このような荒廃した社会情勢を反映して、ヘイトスピーチやヘイトクライム(憎悪犯罪)、インターネット上の差別情報の拡散など、差別と暴力を公然と扇動する差別排外主義がますます強まっています。
 この間、私たちは部落差別をはじめ、さまざまな差別・人権問題の解決にむけた共同の闘いをすすめ、「部落差別解消推進法」や「ヘイトスピーチ解消法」「障害者差別解消法」「アイヌ施策推進法」などの個別人権課題における立法措置を実現してきました。また、インターネット上に部落差別情報を拡散してきた鳥取ループ・示現舎に対する裁判闘争では、実質的に「差別されない権利」を認める画期的な勝利判決をかちとりました。しかしながら、差別を禁止する法制度が確立されていないなかで、インターネット上には、いまだに差別動画をはじめ多くの部落差別情報が削除されないままに放置されているのが実態です。現在、差別動画削除にむけた裁判闘争を大阪、埼玉、新潟で闘っています。是非とも、多くの皆さんのご支援をお願いしたいと思います。私たちは、こうした取り組みの成果と課題をふまえ、国連人権条約関係の多くの委員会から、たびたび勧告を受けている国内人権委員会の設置を中心にした人権侵害被害救済制度の確立をすすめなければなりません。
 さらに、狭山再審闘争では、無念にも石川一雄さんが昨年3月11日に急逝いたしました。現在、石川早智子さんが再審請求人として、弁護団とともに第4次再審における闘いを全力で取り組んでいますが、私たちも、新100万人署名活動を中心に事実調べ―再審開始をかちとるとともに、「再審法」改正の実現にむけて広範な共同行動を展開しています。
 厳しい情勢ではありますが、差別と戦争に反対し、人権と平和、環境の確立をすすめる政治勢力を大きく結集し、私たちのいのちや生活を守る政治への変革をかちとりましょう。