西田発言に県議会抗議決議‼
提出者・山内末子県議の談話
沖縄戦をゆがめ、県民の尊厳をないがしろにし、平和希求への不断の努力に背を向けた西田発言に、県民の代表である県議会は満身の怒りをこめて抗議決議書を可決しました。
私が代表して決議書を提出させていただきました。
残念ながら全会一致にはなりませんでしたが、反対をした維新会派もその決議文にはおおむね賛同しています。
彼らの反対理由の要点は、①西田さんの辞職を求める、②発言の集会を共催した自民党県連への責任追及が足りない、ということです。
その思いには個人的には同調するものです。
が、県民の悔しさ・怒り、そして西田発言が間違いだということを日本全体にいち早く突きつけることが大事だ、ということで厳格な処分を求める、という内容にしました。
また、自民党県連にも、このような発言を行う自民党に対してしっかり歴史認識を改めさせ、根本的な謝罪と撤回を求めることでその責任を負わすこととしました。
もっともっと強い姿勢を示すべきとお叱りを受けることにもなりますが、県民の代表の県議会で、歴史認識にもやはり温度差がある中、あらゆる文言を考えて文案を作成しました。
5月16日の夜10時に提案し、可決となりました。
この決議を持って西田参議院議員本人と自民党本部に手交することとしました。
文案に書けなかったことは、直接訴えていきたいと思います。
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西田昌司参議院議員による
沖縄戦の実相をゆがめ、否定する発言に対する抗議決議(一部略)
5月3日の憲法記念日に那覇市で開催された憲法シンポジウムにおいて、自民党の西田昌司参議院議員が、ひめゆりの塔の展示をめぐり、「歴史の書換え」や「沖縄の場合には地上戦の解釈を含めて、かなりむちゃくちゃな教育のされ方をしている」等と発言した。西田氏の発言は、沖縄戦の実相をゆがめ、戦没者や戦争体験者を冒瀆し、県民の尊厳を踏みにじるものである。
(歴史)事実は、国体護持を至上命令とする日本軍が1944年に配備され、本土決戦を遅らせるため沖縄で時間稼ぎの持久作戦を続け、本土防衛のための「捨て石」にされたと沖縄県史などに表現されている。日本軍は生徒たちを、ひめゆりをはじめとする学徒隊や鉄血勤皇隊などとして戦場に駆り出した。さらに、首里城の地下に造った司令部を放棄し、住民が避難していた本島南部に撤退した結果、軍民混在の状況の中、住民を巻き込んだ激しい地上戦となり、県民の4人に1人の貴い命が奪われた。これらは日本軍の作戦による犠牲であることは紛れもない歴史上の事実である。
また、西田氏は「自分たちが納得できる歴史をつくらないと」と発言している。西田氏の発言は、沖縄戦の実相を認識せず、歴史を修正しようとするものである。
西田氏は「ひめゆりの塔」に言及したことを「TPO(時、場所、場面)をわきまえるべきだった」と弁明したが、沖縄の歴史教育や平和教育を非難した根幹部分は謝罪も撤回もしていない。
これまで本県議会は「沖縄戦での日本軍」による記述について、「歴史的事実である県民殺害の記述が削除されることは到底容認し難いことである」として、「教科書検定に関する意見書」を過去3度にわたり全会一致で可決してきた。
よって、沖縄県議会は再び沖縄を戦場にさせないことを表明するとともに、戦没者や戦争体験者を冒瀆し、県民の尊厳を踏みにじる西田昌司参議院議員の発言に対して、満身の怒りをもって抗議するとともに、以下の事項を強く要求する。
記
1 西田昌司参議院議員は、史実に基づかない自身の発言や認識が、ひめゆり学徒や沖縄戦体験者の証言をゆがめ、否定するものであったことを認めた上で謝罪し、発言を撤回すること。
2 自由民主党は、ひめゆり学徒や沖縄戦体験者の証言をゆがめ、否定した西田氏への厳格な処分を行うと同時に、党としての沖縄戦への認識を示すこと。
3 自由民主党は、党所属議員が歴史の事実や戦争被害に対して無理解な発言を繰り返すことの重大性を直視し、再発防止のため、党内教育体制の再構築を速やかに実施すること。