地方自治法改定 ■ 自治体への国の「特権的指示権」に反対する

沖縄のような抵抗が全国に広がってはいけないと政府は思っている

(玉城デニー沖縄県知事)

 地方自治法改定案が国会で審議中である。自治体に対する国の「特権的指示権」を地方自治法の中に新たに盛り込んだ法案だ。


 この狙いについて沖縄県の玉城デニー知事はズバリ、「沖縄での代執行の後、地方自治法改正案が提案された流れを見ると、沖縄のような抵抗が全国に広がってはいけないと政府が思っていると疑わざるを得ない」と述べた(「ローカル・イニシアティブ・ネットワーク=LIN-Net、4月20日)。沖縄の地元2紙も社説で、「『台湾有事』を想定した社会の軍事化が急速に進む沖縄で、民意が軽視され、地方自治が骨抜きにされる事態が相次いでいる。改正案への懸念は尽きない」(タイムス)、「沖縄県は辺野古新基地を巡り、設計変更承認が法定受託事務だとして史上初めて代執行を強行された。国の強権をさらに肥大化させ、自治をないがしろにしかねない法改正は決して受け入れられない」(新報)と、危惧と反対を表明した。
 「朝日新聞」は社説で、「緊迫化する安全保障環境を理由に、政府は地方の自己決定権を奪うような政策を現に進めてきた。米軍普天間飛行場の移設問題で、沖縄県の民意を押し切って着工したのは最たる例だ。憲法に有事の際の緊急事態条項を設けようという政権の動きの先取りだとする批判も強い。もしそうした本音が背景にあるなら、成立させるわけにはいかない」と毅然たる態度を表明した。
 日本弁護士連合会は3月16日「会長声明」を発表し、法案から、国の「指示」について一部を「要求」に改めるか、多くの関係する項目を「削除」すること、各大臣の「指示権」については削除することを求めた。
 衆議院では参考人質疑も行われている。そこに自公与党推薦で参加した全国知事会長の村井嘉浩・宮城県知事ですらも、「(地方の)自主性という観点から望ましいものではない」と言わざるを得なかった。白藤博行専修大学名誉教授は、「これまでも国は県知事が対話を求めても応じてこなかった。自治体との『協議』もないままに『特権的指示』が行使されることになる」と法案を批判した。
 全国的に批判が広がっている。地方議会でもいくつも意見書採択が広がる。山形市議会の髙橋康輔議員の報告を紹介する。