「台湾有事」に揺れる八重山諸島 下地 あかね

農業基本法 全会一致で意見書採択

持続可能な農業振興を求める

宮古島市議会議員 下地 あかね

ボランティアで在来種の馬の世話をするあかねさん

 令和6年宮古島市議会3月定例会に提案した「新たな基本計画における持続可能な農業振興の強化を求める意見書」は、一人の退席があったものの、全会一致で可決されました。農業の島である宮古島ならではのことで、多くの議員が当事者ごととしてとらえたものと思います。
 「食料・農業・農村基本法」の改正にあたり他自治体から上がった要請や、3月21日「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」による国への要請にも事前に目を通しましたが、重要な提言が多々ありました。

「みどりの食料システム戦略」における有機農業の目標は、農薬なしに農業はできないとする現場の感覚を知ると、遠い道のりに感じられます。しかし、欧州に比べて農薬等の基準値が低い日本において、子どもたちの健康への影響を懸念して、有機農業の普及を訴える声が途切れないのも事実です。動機付けによる取り組みをいっそう推進していくことが求められます。
 農業にさまざまな課題がある中で、小さな自治体であっても声に加わりたいと考えたのは、とくに農畜産業の厳しい現状を目の当たりにするからです。物価の上昇とともに賃金も増やすべきとする機運が高まっていますが、そうした中で第一次産業の実態はどうでしょうか。ゴーヤーを育てる農家が、肥料や園芸資材が高くなったからと出荷時の値段を上げることができるでしょうか。生産物の価格転嫁は難しいのが実情です。

危機的状況の畜産業

 宮古島は畜産業において繁殖農家が多い地域です。大事に育てた仔牛は、各県の肥育農家に買い付けられ、ブランド牛として育ちます。母牛と仔牛に与える牧草は島内で生産できていますが、雨の続く冬季などは輸入の牧草で補うこともあり、またトウモロコシを含む配合飼料も欠かせないものです。配合飼料をたくさん与えて肥やす必要のある肥育農家や、地域で牧草をまかなえない農家に比べれば、宮古島は物価高騰の影響を比較的受けにくい地域ではありますが、それでも、継続を危ぶむ農家の声が上がる厳しい状況です。
 日本において畜産業そのものが危機的状況にあると思われます。乳牛の状況はさらに過酷です。国は畜産クラスター事業で家畜の増頭を推奨してきましたが、コロナ禍における消費の冷え込みで供給過多となりました。搾った牛乳が廃棄される中、国がとった施策は「淘汰奨励」です。畜産農家は、身も心ももたないと言います。
 沖縄県でも、生産農家や組合が「経営危機突破大会」を開催して窮状を訴えてきましたが、国も県もこれに応える政策を打ち出せていません。県担当者に話を伺いに県庁を訪ねたことがありましたが、救済には大きな予算が必要で、簡単ではないという説明でした。
 供給過多の生産物に生産抑制をかけるのではなく、コスト上昇分の補塡や国による買い取りが望まれています。しかしそれでは供給過多の状況は解消されないため、将来的には欧州が行う「直接支払制度」を参考に、生産調整と切り離した所得補償政策を前向きに検討していくべきだと考えます。
 あわせて国として農業のあるべき姿を考えていく必要があると思います。晩年には農業を本業とした俳優の菅原文太さんは、政府の役割は二つあると言いました。「国民を飢えさせないこと、絶対に戦争をしないこと」。国の目指す農業として、国民の食を守るものであるべきです。たとえば飼料の輸入が途絶えると、牛乳の国内自給率は25%、牛肉に至っては9%まで減少します。

島の生活安全保障へ

 宮古島市では、家畜の排せつ物や、サトウキビの機械刈りで出る残渣を堆肥にする取り組みをおこなっています。地域内で飼料や肥料を調達する仕組みは、島の生活安全保障であり、廃棄物を堆肥として還元する仕組みは土地保全につながります。まだまだ道半ばですが、一定規模の地域で循環が成り立つ仕組みを、島の上に重ねて思い描いています。国民を守り、国土を守る農と食の仕組みづくりへ投資する国の政策であってほしいと思います。