防衛省 うるま市の陸自訓練場白紙に

「住民が団結すれば、政府よりも強い力を発揮する」

 木原稔防衛相は4月11日、沖縄県うるま市石川への陸上自衛隊訓練場の整備計画を白紙に戻すと表明、反対運動を進めてきた「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会」は石川部落事務所で緊急記者会見を開いた(写真)。

 共同代表の伊波常洋氏(元県議)は、「無謀な計画を断念させたことは、会の原点である保革を超えた団結の力だと思う。地域住民、県民の怒りが大きく広がっていったことが計画断念につながった。住民が団結すれば、政府よりも強い力を発揮する。しかし防衛省は、(訓練場は)必要な施設だから県内のどこかにつくると明言している。見過ごすことはできない。われわれはそこの住民と連帯し、共にたたかっていく」と述べた。
 山内末子共同代表(県議)は、「旭自治会から始まった反対運動が、市内の自治会全体に、うるま市全体に広がり、市議会、市長、さらに県議会と知事も動かして、近隣の市町議会など沖縄県全体の総意として断念を求めることに至った。地域住民、沖縄県民の勝利だ」と述べた
 久高政治共同代表は、「65年前の宮森小学校ジェット機墜落事件の当事者として、今、沖縄の空で訓練が激しくなってジェット機が毎日のように飛び交っていることにとても危機感を持っている。住民、県民の力で訓練場設置計画をはね返すことができたということは、住民を無視したやり方は成り立たないということを実証したと思う。石川におけるたたかいは、沖縄全地域の人たちに勇気と激励を与えた」と述べた。翌12日の緊急幹事会は勝利宣言をおこなった。(別掲)
 沖縄県の玉城デニー知事は11日の記者会見で「大歓迎だ。住民の声に政府は真摯に向き合うという姿勢をこれからも堅持してもらいたい。県内のどこにも訓練施設はいらないという声があり、引き続きわれわれも住民の声、民意を尊重してもらうよう要望していく」と、沖縄の声を聞かない差別的な政府対応に注文をつけた。

【勝利宣言】(一部略)
 4月11日、木原防衛大臣は臨時記者会見で、うるま市石川のゴルフ場跡地への自衛隊訓練場整備計画を巡り、土地取得も含めて「取りやめる」ことを明らかにした。計画の白紙撤回のみならず、土地取得そのものの断念まで求めてきた私たちからすれば、この運動の勝利を勝ちとったものとして、率直に喜びたい。たとえ国が相手でも、主権者たる住民がイデオロギーや立場を超えて団結し、闘っていけば、国の政策決定をも揺るがすことができるのだということ。このことを、私たちは今回の問題の大きな教訓として確認したい。
 運動は勝ったとはいえ、防衛省は「訓練場の必要性」を強調し、本島内の別の場所を確保する意向を明らかにしている。今回、訓練場の新設によって日常生活が根底から脅かされるであろうことを「自分事」として身に染みて感じ、反対運動に汗を流してきた私たちとしては、今後、本島内のどこであろうが、そこの住民が反対し、運動を展開することがあれば、惜しみなく連帯の意思を表明し、支援していくのが道義的に問われると考える。
 今回の運動の勝利は、県民に大きな希望を与えたことは疑いない。この自負を肝に銘じつつ、私たちは今後も県民とともに、ふるさと沖縄を想う肝ぐくるを大切にし、前に向かっていきたい。
 2024年4月12日
 自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会