世界の趨勢を見据え
自主的で平和な進路、アジアの共生を
ウクライナ戦争は、ロシアの侵攻以来2月24日で1年を超えた。この1年の経過は、文字通り世界が歴史的な転換期にあることを示している。岸田首相は、1月23日の通常国会冒頭の施政方針演説で「われわれは歴史の分岐点に立っている」として、第1にウクライナを挙げて「国際平和秩序の弱体化」を指摘した。
岸田政権は、「ウクライナは明日の東アジア」などと台湾有事を煽り、中国を事実上の「敵」かのようにして、安保3文書閣議決定で敵基地攻撃能力確保、南西諸島ミサイル配備を強行する。日米首脳会談は「統合抑止」を確認し南西諸島軍事要塞化を中心に日米同盟の深化も進む。米国の圧力もあり、尹錫悦韓国大統領は日韓関係「正常化」に踏み切ったが、「呉越同舟」だ。本当に舟が沈むときどうなるか。そもそも韓国国民は納得していない。世論調査でも53%が「間違った決定」と見ているほどだ。
岸田首相は、この後、インドを訪問し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たな推進計画を発表、グローバルサウスとの連携強化をめざすという。5月には、G7(主要国)サミットで、対中国包囲戦略の結束をうたい上げる計画だ。
施政方針演説では、「新たな時代にふさわしい、社会、経済、国際秩序を創り上げ」る主導的役割を果たすと力んだ。身の程知らずとはこのことだ。衰退したアメリカの策略に乗せられて、対中国の先兵となってどうなる。もはやわが国の経済力は中国の4分の1に過ぎない。
代理戦争に踊らされたウクライナのこの1年を教訓としなくてはならない。アメリカが牛耳る世界はもはや過去のものである。中国をはじめとする新興国、グローバルサウスがますます支配的となっている。今日の世界の趨勢をしっかりと見据えて、自主的で平和な日本の進路を定めなくてはならない。アジアの共生だけが展望である。
本誌は、各界の識者に、ウクライナ戦争1年、安保関連3文書閣議決定について論じていただいた。
ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 に聞く |
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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 世界平和と新国際秩序、日本の役割 青山学院大学名誉教授 羽場 久美子 |
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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 沖縄国際大学教授 前泊 博盛 |
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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 戦後安全保障政策の大転換とは? 衆議院議員・元自民党幹事長 石破 茂 |
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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 ジャーナリスト 高野 孟 |
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ウクライナ戦争1年―安保3文書閣議決定 石垣島自衛隊ミサイル基地開設 石垣市議会議員 花谷 史郎 |