農業一覧

食料自給の確立を求める自治体議員連盟

食料自給確立へ抜本的な財政支援を

     農業基本法改正で政府に申し入れ行動

要望書を渡す北口雄幸呼びかけ人(右から4人目)と受け取る農水省の小坂伸行参事官(同右)

 

 

 

 

 

 

 

 

 農業の憲法である「食料・農業・農村基本法」が25年ぶりに改正されようとしている。法案の審議入りを前に、「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」(以下、議員連盟)は3月21日、国会内で基本法に関する政府への要請行動を行った。議員連盟は昨年12月に設立され3月20日現在、47都道府県141自治体の252議員が参加。その代表17人の議員が要請行動に参加した。要請行動には農林水産省の担当者十数人が出席し、要請に回答、それに対する議員連盟の発言があった。設立した議員連盟は重要な一歩を示した。自給率の向上(国民の食料確保、そのための国内農業への支援)めざしてさらなる前進が期待される。

続きを読む


食料安全保障の確立へ

農業基本法改正の現在地

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 

やっと「食料自給率向上」が追加されたが

 基本法の見直しを今やるということは、世界的な食料需給情勢の悪化を踏まえ、「市場原理主義」の限界を認識し、肥料、飼料、燃料などの暴騰にもかかわらず農産物の販売価格は上がらず、農家は赤字にあえぎ、廃業が激増している中で、不測の事態にも国民の命を守れるように国内生産への支援を早急に強化し、食料自給率を高める抜本的な政策を打ち出すためだ、と考えた。
 しかし、新基本法の原案には食料自給率という言葉がなく、「基本計画」の項目で「指標の1つ」と位置づけを後退させ、食料自給率向上の抜本的な対策の強化などには言及されていない。自民党からの要請を受けて、やっと「食料自給率向上」という文言を加えるという修正は行われることになったが、そのための抜本的な政策について何も言及されていないのはそのままだ。

続きを読む


能登地震の万全な復興対策を求める

能登半島の復興なくして日本の農山村の未来はなし!

全日本農民組合連合会共同代表 鎌谷 一也

 

 

 

 1月1日に発生した能登半島地震は、地震大国であることを痛感させられるものでした。静かな半島を襲った大地震は幾多の尊い人命を奪い、暮らしを奪い、計り知れない甚大な被害をもたらしました。被災者の方々の心痛をお察しし、寄り添いながら、温かい食事とゆっくり休んで学ぶ場や働く場の提供を一刻も早くと願い、復興に向けた取り組みが急がれることを祈念するばかりです。

続きを読む


農業  西 聖一

「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」に賛同してください

発起人・熊本県議会議員 西 聖一

 

 

 

 元日に発災した、能登半島地震は改めて地震大国である日本国民を震撼させました。
 熊本地震を経験した私にとって、倒壊した建物や陥没した道路、避難生活を余儀なくされている方々の映像は、8年前の出来事を彷彿させ、胸が締め付けられます。亡くなられた方へのご冥福と被災された方へのお見舞い、一日も早い復旧復興を祈念いたします。

続きを読む


農業  関根 佳恵

多重危機を乗り越え、次の社会へ

「権利としての食料」実現に向けて

愛知学院大学経済学部教授 関根 佳恵

 

 

1 対症療法より
全身治療を

 自国第一主義の台頭、コロナ禍、ロシアとウクライナの戦争等により、グローバル化は逆回転を始めたと言われる。現行の食料・農業・農村基本法のもとになる新政策が発表された1992年から、国際情勢は確かに変化した。食料安全保障、農村の過疎化、気候変動、生物多様性の喪失、および食品安全の問題等への対応も急がれる。

続きを読む


農業 ■ 農業はカルチャー 日本はこれでいいんかい?

みんなが豊かになれる、新しい社会を
つくらなくちゃいけない

「福島円卓会議」呼びかけ人・前全国農業協同組合中央会(JA全中)副会長 菅野孝志さん

 

 

 

本当の国防とは何?

 岸田首相は国防費に43兆円出すと言っているけど、何に使うかというと武器を買う。そうじゃないだろう。本当の国防というのは国民の命を守ること。離島でサトウキビを作る島民がいることも国防で、問題の全てではないかもしれないが、尖閣では人がいなくなったことによって領有権が問題になっている。この問題は周恩来さんと田中角栄さんが「お互いに難しいことは将来に残しましょう」と日中国交正常化時に棚上げにしたわけだけど。

続きを読む


「自治体議員連盟」に賛同してください

食料自給の確立を推進する

発起人、北海道議会議員 北口 雄幸

 記録的猛暑日が続いた昨年の夏。
 猛暑の影響を受け、農家の皆さんはとても厳しい環境にさらされました。北海道でも、コメは白未熟粒が増加した結果、品質が低下し、販売価格が低く抑えられました。畑作物でも大豆、甜菜、野菜などさまざまな農産物に深刻な影響が出ています。猛暑は家畜にも深刻な影響を与え、道庁の調べでも牛106頭、鶏4万656羽、豚20頭などの死亡や殺処分があったと報告されています。 続きを読む


食料安全保障推進は喫緊の課題 鈴木 宣弘

日本の食料・農業危機の深層と日本社会崩壊の足音

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 ロシアがウクライナの穀物積み出し港の攻撃を7月に再開し、インドは世界の輸出の4割を占めるコメの輸出の多くを7月から停止した。紛争に備えて中国は人口14億人が1年半食べられるだけの穀物を備蓄するために買い占めているという(一方、日本の穀物備蓄能力は1・5~2カ月だ。この点でもまったく危機への備えに雲泥の差がある)。さらに、イスラエル・パレスチナ紛争も勃発した。国際情勢はさらに悪化している。

続きを読む


「いちのたんぼの会」の20年を振り返る

市民が農作業を続けてきて

いちのたんぼの会代表 樋口 茂敏(福岡県大牟田市)

 

「いちのたんぼの会」草刈り隊(右端が会代表の樋口茂敏さん)

 

 福岡県大牟田市の市民団体「いちのたんぼの会」は結成から20年を迎え、8月下旬に「20周年を祝う会」を開催しました。当日は、大牟田市長、市議会議員、市農業委員会会長、グリーンコープ生協支部理事長などの来賓を含めて40名近くが参加し、20年の軌跡を振り返り、今後の課題を確認し合いました。編集部のご厚意により、この間の私たちの取り組みの一端を報告させていただきます。

続きを読む


食料安全保障推進は喫緊の課題 渡部 務

日本に農業は無用か

山形県・農民 置賜自給圏推進機構代表理事 渡部 務

 

 

 

異常気象と資材依存

 猛暑どころか酷暑をくぐり抜け、なんとか米収穫を終わることができた。山形県の作況指数は101の平年並みとのことだが、予想された品質低下は現実となって表れた。
 水不足に見舞われた他県ほどではないが、1等米比率が昨年を32%下回る63%となっている(当農協9月末)。その原因は梅雨期間の曇天続き、梅雨明けからの猛暑、そして登熟期の降雨と暑さ、そのため腹白米、芯白米被害が発生し、米粒の充実不足も重なった結果である。その結果、米価は昨年より1000円(60キロ当たり)上がったものの、2等米は600円、3等米は1600円の価格差となり、値上げ分が吹っ飛んだ。

続きを読む


農業と農村の衰退は農家だけでは解決できない

新しい農業の仕組みや地域再生をめざす

グリーンコープ生活協同組合ふくおか理事長 坂本 寛子

 

 

 緑の山に囲まれた青空の下、こうべを垂れ、たわわに実った稲穂が風を受けて揺れている。その一角に、稲の黄金色ではない、深い緑色が目を惹きつける。大人の胸ほどの高さまで成長したサイレージ(飼料)用トウモロコシだ。
 ここは、福岡県田川郡赤村にある圃場。赤村ではグリーンコープの産直生産者たちが、有機栽培や化学合成農薬をできるだけ使わない農法で、トマトやセロリなどを中心にさまざまな野菜を、そしてその土地の名前を冠した「赤村のめぐみ」という米などを生産している。グリーンコープの鳥越ネットワークの生産者たちだ。

続きを読む


食料安全保障を推進する自治体議員連盟

『食料安全保障を推進する自治体議員連盟』
立ち上げに向けて

兵庫県宍粟市議会議員 今井 和夫

 

 

 

 

 8月の長崎での全国地方議員交流研修会は延期になりましたが、実はその時に、第1分科会(農業部会)において、次ページの『食料安全保障を推進する自治体議員連盟』設立の提案をさせてもらおうと、第1分科会の世話役の間で話をしていました。
 繰り返して私が説明するまでもないと思いますが、鈴木宣弘先生が孤軍奮闘、あちこちで体を壊してでも講演されています。今、日本は食料が危ない。流通が止まれば7000万人が飢え死にする。そんな国は日本だけ。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい 鈴木 宣弘

「食料安全保障推進法」に向けて

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 

 現行基本法はGATTウルグアイ・ラウンド合意を「過剰優等生」的に受け入れ、「市場原理主義」に立脚して価格政策(政府買い入れ)などを廃止していく流れをつくった。
 その現行基本法の見直しを今やるということは、世界的な食料需給の悪化を踏まえ、「市場原理主義」の限界を認識し、肥料、飼料、燃料などの暴騰にもかかわらず農産物の販売価格は上がらず、農家は赤字にあえぎ、廃業が激増しているなかで、不測の事態にも国民の命を守れるように国内生産への支援を早急に強化し、食料自給率を高める抜本的な政策を打ち出すためだ、と誰もが(少なくとも筆者は)考えたが違っていた。

続きを読む


食料安全保障推進のために

農業・酪農危機を国の農政転換の契機に

千葉市酪農家 金谷 雅史さん

 飼料代高騰など酪農危機は続いている。「安心安全な国産牛乳を生産する会」(事務局・加藤博昭さん)のご協力で、千葉市で酪農を営んでいる金谷雅史さんにお話を伺った。(見出しとも文責編集部)

続きを読む