「日中衝突を煽ってはならない」中村 元氣

国交正常化50周年を祝う九州日中友好大会 
民で官を促し、九州から日本を後押し

福岡県日中友好協会事務局長・広範な国民連合全国世話人 中村 元氣

 今年で「日中国交正常化50周年」になることを記念し、お祝いする「九州日中友好大会」が1月25日に福岡市の中国駐福岡総領事館で開催された。
 この大会は、九州6県(福岡・佐賀・大分・熊本・宮崎・鹿児島)の日中友好協会と同総領事館の共催で開催した。
 当日は、新型コロナウイルス感染拡大も考慮して、メイン会場を同総領事館にして、各県の日中友好協会や(公社)日中友好協会と、中国の北京・南京の友好協会などをオンラインで結んで行った。大会には、メイン会場の約20人(人数制限した)の他に、九州各県や中国からの参加者も含めて全体で約100人が参加して盛大に行われた。


 冒頭、九州各県の永年にわたる日中友好活動のスライドショーが行われ、参加者から歓声が上がった。その後、森山沾一・福岡県日中友好協会会長が、「九州は国交正常化以前から民間交流を行ってきて、現在に至るまで数多くの実績を持っている。現在、日中関係は厳しい関係が続いているが両国は一衣帯水、長い友好の歴史があり、今後も、コロナ収束後に習近平主席の日本訪問を期待するとともに、『第6回九州日中訪問団』で訪中することを展望したい」とあいさつした。
 続いて、中国から中日友好協会の唐家璇会長(律桂軍総領事が代読)、オンラインで程永華副会長のあいさつ、そして、中国駐日本大使館から孔鉉佑大使のビデオメッセージが届けられた。また、(公社)日中友好協会の永田哲二理事長代理がオンラインで「本日の大会がこれからの『日中新時代』の実りある『友好人士皆様』の有意義な大会となりますよう期待します」との祝辞を述べられた後、古川弘信・福岡県国際局長が服部福岡県知事の大会の成果を期待する旨のお祝いメッセージを代読した。
 その後、律桂軍総領事が講演を行い、「中日関係がこの大事な時に、九州の民間団体と各界の有識者が平和友好の揺るぎない信念を持ち、民で官を促し、経済で政治を促し、九州から日本を後押しする伝統を発揚して、歴史を鑑に未来を切り拓き、中日両国人民が子々孫々友好を続け、希望の光がいつまでも中日平和友好協力の道を照らすようになることを期待しています」と述べた。
 続いて、九州各県日中友好協会から多種多様な活動報告(3分スピーチ)が行われ、改めて、民間レベルでの日中友好運動の歴史と重要さを感じた。そして、それぞれの活動報告に大きな拍手がメイン会場とオンライン会場から送られた。また、江蘇省人民対外友好協会の銭文華副会長もオンラインで、福岡県と江蘇省との友好都市30周年のお祝いと、福岡県日中友好協会をはじめいくつかの県友好協会と「2022年度の経済・青年・スポーツ等の友好交流覚書」に調印したことの報告もあった。
 その後、大会を記念して、山田由美子・福岡市日中友好協会理事で福岡市議会議員が、宣言文「夢と希望―新時代の日中友好協力関係を構築する宣言―過去を振り返り、未来を展望して、『民で官を促す』伝統を発揮しながら、さらなる両国の友好促進と世界平和構築に向けて積極的に活動していくことを宣言します」と、力強く読み上げて提案し、全員の拍手で採択された。そして、成岩中国駐福岡総領事館副総領事が「皆さんの協力で大会が成功しました。今日の成果を九州から全国に広げて、国交正常化50周年を機にますますの中日平和友好協力を進めていきましょう」と述べて終了した。
 今年で国交正常化50周年だが、正常化40周年だった2012年9月11日、日本政府は民有地だった尖閣諸島の3島を20億5千万円で購入、国有化した。これに反発して中国全土で反日デモが起き、日系企業の工場や日系関係の商店が襲撃・略奪・破壊されるなど、日中関係は1972年の国交回復後最悪と言われる状態に陥った。そうした厳しい中、当時の李天然・中国駐福岡総領事から「民間レベルで交流する場を設けたい」との提案を受け、中国と長い交流の歴史をもつ九州地区6県の日中友好協会が一致協力をして、総領事館との共催で大会を開くことを決定し、2013年9月5日に「第1回九州日中友好交流大会」が、福岡市のホテルで約300人が集い行われた。第1回大会では、程永華・駐日大使(当時)と村山富市・元首相が記念講演をした。
 この大会の成功を受けて、2014年4月には、松本龍・福岡県日中友好協会会長(当時)を団長とする50人の「九州日中友好交流訪問団」を編成して北京を訪問した。ちなみにこの「訪中団」は、17年まで4年連続で行われた。
 2014年の第2回大会には、唐家璇・中日友好協会会長(元・国務委員)が講演され、前年の倍以上の600人が参加した。以降、17年まで5回開催し、毎回数百人が参加して盛大に行われた。そして、日中関係はその後、改善され、18年、大会の目的「民を以て官を促す」を果たし成果を収めたとして終了した。
 しかし、先述のように「国交正常化50周年記念」の九州日中友好大会を4年ぶりに開催して、成功裏に終わった1週間後の2月1日(ちなみにこの日は「春節」でもあった)、国会において「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案」が、超党派議員多数の賛成で採択された。この暴挙に対して怒りを込めて抗議をするものである。日中間には「不再戦」を誓った「平和友好条約」があり、友好国である。そのことを絶対に忘れてはいけないのである。