沖縄の声に応えて国民的議論で解決すべき

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1788全地方議会に米軍基地問題で陳情

全国青年司法書士協議会 半田 久之 会長 に聞く

全国青年司法書士協議会は6月議会に向けて、全国1788すべての地方自治体議会に、「辺野古新基地建設の即時中止と普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により解決するべき」との意見書採択を求める陳情を提出した。2月の県民投票を受けて、沖縄県民のこの声を全国がどう受け止め、応えるかが問われているなかで一つの画期的な取り組みである。全国の地方議会がぜひともこの呼びかけに応え、陳情を受理し意見書を国に出すようにすべきである。取り組んだ全国青年司法書士協議会の半田久之会長に経過などについて伺った。(文責 編集部)

「安保法制は憲法違反」との議論から始まって

私どもの団体は2015年に辺野古新基地建設に関して最初の意見書を発出しました。そのときも政治的な問題ではないのかとの議論がかなりありました。その前に安保法制があって、そちらも意見書を出すということでいろいろな議論をしました。結果的には、憲法違反であるということで、法律家団体として意見書を出した方がいいとまとまりました。かなり激烈な議論をして出したんです。
その流れのなかで、辺野古新基地建設でも、当時、審査請求ですね、防衛省が一般私人として、国土交通大臣に対して審査請求を行うと。これはどう見てもおかしいということで意見書を出そうとなりました。こちらもかなり大変な議論だったんですけれど、意見書を発出しました。これがこうした課題で対外的に意見書を出すようになったスタートだったと思います。
その後も、沖縄でこの課題に取り組んでいる仲間もおりますので、憲法学者の木村草太さんをお呼びしての勉強会を17年の2月にやりました。木村教授の見解は、「木村理論」というもので、憲法の41条、92条、95条から導き出されるものです。具体的には、どこに、どのような基地を建設すべきか否かは、まさに国政の重要事項であるから、「国権の最高機関」であり「唯一の立法機関」(41条)である国会による立法措置が必要であるというもの。次に、新基地建設により、立地自治体においては都市計画、警察、消防、環境の保全など、地方自治体が通常行使しうる行政権限(自治権)が大幅に制限されるので、立地自治体の自治権がどの範囲で制限されるか、その制限の代償としていかなる措置がなされるべきかなどが「地方自治の本旨」(92条)に基づいて法律で規定される必要がある。さらに、地方自治が脅かされ不当な差別を受けることのないよう、特定の自治体にのみ適用される特別法を制定する場合には、立地自治体の住民の投票による同意が必要となる(95条)というものです。
この「木村理論」もベースに、その後私たちは、この辺野古新基地建設は憲法に違反するという会長声明を出しました。

沖縄への基地の押しつけは「法の下の平等」に反する

沖縄の米軍基地の問題が、ときに「沖縄基地問題」という言い方になってしまうと、沖縄だけの問題になってしまう。日米安保条約では、アメリカは日本全国どこにでも基地を置くことができるということになっています。そして、国民の8割ぐらいが日米安保は容認するとの世論調査もあります。その「利益」は享受するのに負担は負わないというのはおかしいのではないかとの問題提起もありました。やはり、これは沖縄だけの問題ではなくて、日本全体の問題であって、これを解決するには国民的議論が必要なのではないかということを議論してきました。そのような経緯もあって、意見書でも、会長声明でも「国民的議論を」「国民全体で議論を深めるべきだ」と書いています。
その後、17年11月に、沖縄での役員会に合わせて辺野古新基地建設についてのシンポジウムを行いました。現地の小口幸人弁護士、ノンフィクションライターの渡瀬夏彦さん、そして当時の会長と私が登壇者になり、沖縄の安里長従司法書士がコーディネーターで、それぞれの報告と今後どう向き合っていくのかというパネルディスカッションをやりました。
それらの取り組みの中で、この問題は、憲法の統治のルールの問題ももちろんあるが、これは人権の問題なのではないかと議論が深まってきました。今回の陳情書にも反映されているのですが、「一票の格差の問題」というのがありますが、それと一緒で、「自由の格差」が本土の人と沖縄の人との間であるのではないかと。沖縄の人が選挙で民意を何度示しても、今回の県民投票でシングルイシューで端的に意思を示しても、一顧だにされない。他方で安倍総理自身が国会で答弁しているように、本土の理解が得られないから普天間基地の代替地がないんだと。つまり、軍事上や安全保障の問題というよりは、本土の理解が得られないから沖縄で、ということを言っているわけですよね。
そうすると、本土の意向は酌むけれども、沖縄の意向は酌みませんよということになるので、「一票の格差」みたいに「自由の格差」があるんじゃないかと。より具体的には、憲法13条でいう「幸福追求権」や「平和的生存権」、さらには14条で定める、「法の下の平等」に反するのではないかと。このように、私たちの団体のなかでもこの問題は人権問題であると、議論が成熟してきました。
その後も、18年3月には日米地位協定の問題も提起しました。これは普天間第二小学校に米軍機の窓枠が落ちるという事件を受けて、航空法を米軍機にも適用するべきだという意見書です。そして、先ほど述べた沖縄県民の人権を侵害しているので、辺野古新基地建設を中止して、国民的議論を求めるという意見書を発出しました。
そこでも言っていますが、国民的議論をしないとこの問題は解決しない。では国民的議論をどのようにやっていくのかということで、具体的に1788の自治体に陳情を出すという意見が出ました。それで今回の陳情書を出すということになりました。

法律家として人権の問題を無視できない

当初はやっぱり「政治的じゃないか」「われわれの業務にあんまり関係がないよ」という議論がすごくありました。そのなかで私たちは法律家として国民の権利を擁護することが使命ですので、そこに立ち返ったときに、人権の問題だよねと。安全保障、国防の問題というよりは人権の問題だよねということで、理解を深めて、人権の問題であれば、これまでも生活保護や、多重債務の問題でも意見書を出して、いろいろな行動もしてきたわけですから、それと同じだということで議論を深めてきました。

沖縄が投げたボールを受け止める

ちょうどここ数日、全国の自治体の議会から問い合わせが入っています。
また、沖縄の方からは「励まされた」とのお声も聞きました。2月の県民投票を受けて私どもも会長声明を出したのですが、その際も、沖縄はしっかり意思を示した、ボールは本土に投げられた、本土がきちんと応答しないといけない、との問題意識を持っていました。今回の陳情書はまさにその応答です。

人権の問題として貧困に取り組む

私たちの協議会は1970年2月に創立した団体で、来年でちょうど50年です。全国で約2万人の司法書士がいるのですが、2600人くらいの司法書士が加入している団体です。
市民の権利擁護、法制度の発展を目的とする団体でして、主な取り組みは、貧困の問題、多重債務の問題、養育費の問題、労働の問題などを中心にやっています。
貧困問題に関しては、多重債務への取り組みが大きいと思います。もともと、司法書士は裁判所提出書類の作成が業務になりますので、破産申立書や再生手続きの申立書をつくることなどを通じて債務整理に取り組むのですけれども、この多重債務問題の背景には貧困の問題があります。そもそも収入が少なすぎてとか、シングルマザーで養育費をもらっていないとか、そういう問題があるので、多重債務問題を解決するには、その背景にある貧困の問題も解決しないといけないということで、貧困の問題にも取り組んできました。
「生活保護110番」という電話相談を毎年1回、今年1月にもやって通算15回やったと思います。生活保護を受けている方から、福祉事務所やケースワーカーさんからおかしな対応を受けるとか、生活保護をこれから受けたいんだけど「水際作戦」ということで追い返されたりとか、電話をいただいて具体的な対応が必要であれば全国の司法書士が申請同行や相談に乗るという活動をしています。
そうした中で生活保護、養育費、労働の問題はとくに深刻だということで、平日毎日ホットラインという電話相談を4時間受けているのですが、生活保護、養育費、労働問題に特化したダイヤルをもう1回線開設をして月・水・金に、この5月から始めました。個別の案件で権利救済をするとともに、市民の方の声を集めて、それを法制度の改善にも結びつけていきたいと思っています。
この間も例えば3月に「破産者マップ」という事件が起きました。住所、氏名等の個人情報を、Google マップ上にピンと呼ばれるしるしをつける形で表示させ、破産手続き開始の決定等を受けたことが容易かつ効果的に確認できるというものでした。これは問題だということで相談をお受けしまして、1カ月で30件近いご相談をお受けしました。個別救済は法的にはなかなか難しい事件ではあるんですけど、何とかできないかということで、今いろいろなところに働きかけも始めているところです。
人権の問題として貧困の問題も取り上げて頑張っています。

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