能登地震と羽田航空機事故から考える「有事」
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
2024年は、大きな災害と事故で幕を開けた。自然災害や事故は避けられない。なぜなら、そこに人間の意思が働いていないからだ。できることは、被害をできるだけ少なくすることだ。そのためには、被害情報と現場の実情に合わせた救助や支援が必要になる。そこでの対応の誤りが救えるはずの命を失うことになる。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
2024年は、大きな災害と事故で幕を開けた。自然災害や事故は避けられない。なぜなら、そこに人間の意思が働いていないからだ。できることは、被害をできるだけ少なくすることだ。そのためには、被害情報と現場の実情に合わせた救助や支援が必要になる。そこでの対応の誤りが救えるはずの命を失うことになる。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
「戦後安保戦略の大転換」の要である「反撃能力」に関する論理の危うさを、すでに何度も指摘してきた。昨年末に「国家安全保障戦略」など3つの文書(以下、「3文書」という)が閣議決定された。私の年齢になると、読んで賢くなる期待を持てない文書を読むのは時間の無駄だという思いはあるが、なぜこんな発想が出てくるのか、その背景を知りたくて、3文書を読んでみた。以下は、その粗々の感想である。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本では、反撃力(敵基地攻撃能力)をはじめとする防衛力の抜本的強化と、日米同盟強化の議論が盛んである。これらはいずれも、抑止力・対処力の強化として語られている。それだけの力を持てば戦争を抑止すると同時に、戦争になっても負けない、という論理である。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
まず、ウクライナ戦争に触れておきたい。プーチンの狙いについて、世界が間違えていました。まさか、ウクライナに攻め入ることはないと思っていた。ところが戦争を始めてしまった。
背景には、ソ連崩壊後のNATOの東方拡大を巡って、西欧・アメリカとロシアの間の信頼醸成がなされてこなかったことがあると思います。だからと言ってプーチンの行為を免責するわけにはいかない。これは国連憲章に違反する、第二次世界大戦後の世界秩序を覆す暴挙です。
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
私は防衛官僚でしたが、軍事の専門家でも中国問題の専門家でもない。しかし、戦争というのは別に軍事だけでやるものではなく、軍事と政治と経済・社会と、そういうものの総合的作用として戦争があることははっきり言えます。
柳澤 協二
はい、ここでも2点、言いますけど、一つは自治体として、遠慮せずに言えば、あまり「憲法に違反する」とか「対米依存からの脱却」というところでなく、自治体として住民の命をどう守るんだという問題意識で発言すべきではないかということを言いたい。
さっきも言いましたが、基地からの出撃に対してノーと言うべきであるという意見書を出すべきだということ、そこを私はちゃんと議論していく必要があるだろうと思います。そのなかで住民と問題意識を共有していく。そして、宮古の場合でも、自衛隊のミサイル置いて、いざというときそこが戦場になるわけですが、全島避難の計画なんて、ないわけですよね。それは住民の命を守る立場からいって大問題なわけで、そういう議論を通じて、問題意識を住民と共有するいい時期だと思います。 続きを読む
国際地政学研究所(IGIJ)理事長 柳澤 協二
今年の3月、「米海兵隊兵力デザイン2030」が議会に報告されました。海軍・海兵隊が戦略・編成を替えようとしている背景に、中国に対する米国の軍事的優位に陰りが見えてきたことがあります。インド太平洋軍のレベルでも、対中国の戦い方として「集中から分散」という方向を志向しています。こうした米国の戦略転換は、日本の防衛政策にも大きなインパクトを与えることになると思います。
辺野古への米海兵隊普天間基地代替施設の建設も、海兵隊の戦略・配備の変更に左右されます。また、陸上イージス計画の断念と「敵基地攻撃論」についても、グアムのミサイル防衛と長距離精密打撃力に重点が置かれようとしている米軍の新戦略のなかで、日本の役割を大きく変える可能性をはらんでいます。 続きを読む
国際地政学研究所理事長
元内閣官房副長官補、元防衛省 柳澤 協二
地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画を停止すると河野太郎防衛相は表明した。理由として挙げられたのは、迎撃ミサイルを発射するブースター・ロケットの燃え殻を自衛隊演習場内などに確実に落とすようにするには膨大な費用と年月を要することが判明したからだという。
いつでもどこでも、過ちを認めるには勇気が必要だ。その勇気は評価したいが、問題は、「なぜ今まで放置していたか」と、「なぜ今決めたか」という二つの面から検証したい。 続きを読む
今日、久しぶりに鳩山友紀夫さんの顔を見ました。身近な人の中には「鳩山さんはいいことを言っているけど、何か地球ではない、『鳩山星』のできごと」と言う人がいます。実はそこがいちばん大きなテーマだと思うのです。
政治というのは、目の前で起きていることを処理すると同時に、いちばん大事なことは、どうやって世の中全体の考え方、マインドセットを変えていくかということが大事な役割であり、そこが変わらないと結局、何も変わらないと思っています。 続きを読む
NPO国際地政学研究所理事長 柳澤 協二
以下は、柳澤協二氏が理事長を務める国際地政学研究所主催で7月17日に行われたシンポジウム「失われた専守防衛の時代精神」での氏による基調講演の一部である。
柳澤氏は冒頭、国際情勢についておおむね次のような認識を話して論を展開された。
「今の時代は米中の『新冷戦』と言われています。しかし、私は『冷戦』というよりは、自分の勢力圏をまあ、昔のようになかなか地理的に画然と分けられないにしても、自分の勢力圏を囲い込もうとしている意味の争いです。『冷戦』というよりは、第二次世界大戦前夜のような状況に似てきているような感じを受けています。ただ、第二次大戦前と違って、このまま戦争になだれ込むようなことにはなっていないと思いますが。世界秩序をどうするかということよりも、自分の国の利益をどうやって最大化するかということを大国が考える時代なってしまったということだと思っています」 文責・編集部 続きを読む
柳澤 協二
元号が変わったからといって、何かがリセットされるわけではない。世界は日本の都合で動いているわけではない。意味があるとすれば、天皇の代替わりに象徴される世代交代によって、経験に裏打ちされた国民意識が変化することだ。それは、安全保障の方向性を決めるマインド・セット(時代精神)に関わっている。
やなぎさわ きょうじ
国際地政学研究所理事長、自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会代表。1970年、防衛庁入庁、2004年~09年、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)
2016年5月21日の「参院選、真の争点は何か。提言討論会」での発言
文責:編集部
内閣官房副長官補・元防衛省 柳澤 協二
「主権者は何を選択するのか」というのが、安保防衛問題の一番の根本だろうと感じています。
安保法制が去年9月19日、強行採決された11本の法律の中で何が決まったのか。1つは、自衛隊の派遣の枠組みを拡大することです。2つ目が武器の使用を拡大することです。3つ目がアメリカに対する後方支援の内容を拡大することです。4つ目が自衛隊員の罰則を海外でも適用出来るように拡大することです。
法律事項はこの4つですが、これで果たして国民の命と暮らしが守られるのか、ということが問題です。 続きを読む
<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)
内閣官房副長官補・元防衛省 柳澤 協二
世界は、そして日本は、三つの戦争に直面している。
一つは、領土をめぐる古典的戦争、二つ目は、20世紀後半にはじまる大国間の勢力争いを背景とする覇権と支配の戦争、そして三番目に、イスラム原理主義に基づく暴力とこれを根絶するための暴力の対立に起因する戦争である。 続きを読む