全国地方議員交流研修会で訴えたい一覧

全国地方議員交流研修会で訴えたい 小西 祐馬

子どもの貧困問題と後退する社会保障

長崎大学教育学部准教授 小西 祐馬

 

 

1.貧困を見ようとしてこなかった日本

 先日、大学での講義後、学生から「なぜ厚生労働省は、都道府県ごとの正確な子どもの貧困率を集計し、公表しないのですか。各自治体バラバラの基準・方法で出していてわかりづらいし、まとめづらいです」と質問された。想定していなかった質問に若干焦りつつ、とっさに「政府は都道府県別に貧困率を算出するほどのデータは収集できていないからではないか。そもそも都道府県ごとに貧困率を出すつもりがないのではないか」などと答えた。そして、「日本は国としての貧困率も長年出そうとしてこなかったので」と思い出して付け加えた。日本政府は、本当に長い間、国内の貧困問題を見ようとしてこなかった。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい 鈴木 宣弘

「食料安全保障推進法」に向けて

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 

 現行基本法はGATTウルグアイ・ラウンド合意を「過剰優等生」的に受け入れ、「市場原理主義」に立脚して価格政策(政府買い入れ)などを廃止していく流れをつくった。
 その現行基本法の見直しを今やるということは、世界的な食料需給の悪化を踏まえ、「市場原理主義」の限界を認識し、肥料、飼料、燃料などの暴騰にもかかわらず農産物の販売価格は上がらず、農家は赤字にあえぎ、廃業が激増しているなかで、不測の事態にも国民の命を守れるように国内生産への支援を早急に強化し、食料自給率を高める抜本的な政策を打ち出すためだ、と誰もが(少なくとも筆者は)考えたが違っていた。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい 猪原 彩美

ナガサキ・ユース代表団第10期生として世界を学ぶ
一人一人が核問題の「当事者」である

長崎大学多文化社会学部3年 猪原 彩美

 

 

 

 ナガサキ・ユース代表団第10期生は、2021年11月に就任し、NPT再検討会議への参加のため、22年8月にアメリカのニューヨークを訪問しました。ナガサキ・ユース代表団とは、長崎県・長崎市・長崎大学の3者で構成された、核兵器廃絶長崎連絡協議会が主催する、人材育成プロジェクトです。13年から、核軍縮・不拡散に関する国際会議への参加と、その事前事後の活動を通じて次世代を担う長崎の若者が最新の国際情勢を学ぶとともに、この分野で活躍する世界の人々と出会い、知識を行動に結びつける力を養うことを目指しています。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい 平野 伸人

もう一つの被爆地ナガサキの今

全国被爆二世団体連絡協議会・特別顧問 平野 伸人

 

 

 

 

ひらの・のぶと 1946年12月、長崎に生まれ、母が被爆者の原爆被爆二世。86年、長崎県被爆二世教職員の会を結成、会長。87年、全国被爆二世教職員の会会長。被爆二世の問題に取り組むと同時に、韓国被爆者の救援活動に取り組む。2003年より毎年、日本の高校生を韓国・フィリピンに派遣し、韓国の被爆者との交流、韓国の高校生、フィリピンのスラムの交流と支援を続ける。1998年、高校生平和大使を発案し国連へ派遣。また、高校生1万人署名活動等をサポート。

 

 2023年5月19日、被爆地広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれました。広島を選挙区とする岸田文雄首相の肝いりで実現したこの広島サミットは何を残したのか、もう一つの被爆地ナガサキからの視点で検証してみたいと思います。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい   山田 正彦

「農薬大国」日本を変える 

無償オーガニック給食実現を

元農林水産大臣 山田 正彦

 

 

 

 

 

 

 日本の現在の食をめぐる状況は、まるで真冬のようなゾッとするような肌寒さを感じます。
 除草剤ラウンドアップは癌になるとして世界49カ国は既に使用を禁止または規制しているのに、日本だけは野放しでホームセンターに山積みされて売られています。ミツバチの大量死で神経系に異常をきたすことが明らかになったネオニコチノイド系農薬も、EU、韓国、米国等も禁止規制しているのに、いまだに日本だけは何らの規制もなく、空中散布を続けています。

続きを読む


全国地方議員交流研修会で訴えたい 具志堅 隆松

自治体には大きな役割と可能性がある

今度は私たちが「戦没者遺骨」になりかねない!

戦没者遺骨収集・ガマフヤー代表 具志堅 隆松さん

 

 

 

 

 

 

 私は沖縄が急速にキナ臭くなってから、どこでも二つに絞って話しています。一つは戦没者の遺骨が交じった土砂の埋め立てについて、もう一つは戦争(台湾有事)についてです。

続きを読む