問われる市町村の災害対策への姿勢
求められる深刻な自治体間格差解消
弁護士(南山法律事務所) 小口 幸人
私は東日本大震災が発生した際、岩手県宮古市という被災地にいました。それから13年間、日本弁護士連合会災害復興支援委員会に所属し、被災者の復興支援に携わり続けています。 続きを読む
弁護士(南山法律事務所) 小口 幸人
私は東日本大震災が発生した際、岩手県宮古市という被災地にいました。それから13年間、日本弁護士連合会災害復興支援委員会に所属し、被災者の復興支援に携わり続けています。 続きを読む
国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二
2024年は、大きな災害と事故で幕を開けた。自然災害や事故は避けられない。なぜなら、そこに人間の意思が働いていないからだ。できることは、被害をできるだけ少なくすることだ。そのためには、被害情報と現場の実情に合わせた救助や支援が必要になる。そこでの対応の誤りが救えるはずの命を失うことになる。
前JA全中副会長・前JA福島中央会会長
菅野 孝志さん
福島円卓会議事務局長・福島大学准教授
林 薫平さん
福島大学教授・副学長補佐
小山 良太さん
能登半島地震では、石川県で死者241人(2月16日現在)をはじめ新潟県、富山県に、家屋倒壊や農漁業基盤、輪島塗・伝統産業などに甚大な被害がもたらされている。志賀原発(石川県志賀町)でも一部の外部電源が喪失、燃料プールから水が漏れるなどトラブルに見舞われた。東日本大震災に襲われた東北一帯や熊本県をはじめ全国の人びとが心を寄せ、復興支援に駆けつけている。編集部は、福島県で大震災と原発事故からの復興に立ち向かっている3氏に集まっていただき座談会で語ってもらった(2月7日)。文責編集部
『日本の進路』編集部
能登半島地震から2カ月、東日本大震災3・11から13年。二つの震災は原発問題も含めて、現代日本の深刻な課題を暴き出した。
「復旧・復興」は緊急の課題だ。だが、「復興」には二つの考え方がある。政府やマスコミなどでは、「あんな所に財政をつぎ込んでも無駄だ」と「効率」「集住」との主張が中心だ。
しかし、多くの被災者が「ここを離れたらいつ戻ってこられるか分からない」と2次避難についても拒否し、先祖伝来の地域の持続・復興を望む。
地方切り捨て・「一極集中型」の日本は、確かに「効率」は良かった。だが大都市集中はいま矛盾を噴出させている。食料もなく、エネルギーは化石燃料輸入依存と原発で持続不可能。地方は衰退。人口減少が急テンポで進む。集中と効率化の日本は限界だ。
地域の復興は地域が決める、自己決定の復興が必要だ。能登の復興、地方・農林漁業と地域の再生で「持続可能な日本」をめざそう。
すずき・たつじろう
長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授。元日本原子力委員会副委員長。2017年6月より国会原子力特別委員会審議委員。東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻博士課程修了(1988年)。本論執筆は23年9月22日。
2023年8月24日、日本の電気事業持株会社である東京電力株式会社(TEPCO)は、損傷した福島第一原子力発電所からいわゆる「処理水」と「希釈水」を太平洋へ放出し始めたと発表した。だが、処理水の放出をめぐる論争は終結したとは言えない。むしろ、政治が科学と衝突し、国内外の信頼を失う、長期にわたる闘争の始まりなのかもしれない。
東京電力の決断、そしてそれが論争を引き起こした理由を理解するためには、まず放出されている「処理水」の正体、その放出作業をめぐる科学的論争、そして社会的・政治的文脈を理解する必要がある。 続きを読む
「復興と廃炉の両立、ALPS処理水問題を考える『福島円卓会議』の声を聞く会」が2023年12月12日、参議院議員会館で開かれた。「福島円卓会議」から林薫平事務局長と呼びかけ人の塩谷弘康先生が報告、国会議員や関心をもった各界の約50人が参加した。またオンラインでも動画が提供された。福島の復興・廃炉と処理水問題を県民・国民が主体となって進めていく活動の重要さが参加者で共有化され、今後もこうした会を継続し、取り組んでいくことが確認された。 続きを読む
「ダムさえ造ったらどんな大雨でも枕を高くして眠れる」というダムの効果を頭に刻み込まれてきた人びとは多いのではないだろうか。昭和30年代以降、多目的ダム建設が各地で進み、近代巨大技術への依存心が人びとの心に刻みつけられた。巨大技術は専門性と巨額の公共投資を必要とし、「政界」「財界」「学界」の三位一体システムがつくられた。このような行動に潜む価値観を「近代技術主義」と呼ぼう。 続きを読む