課題・言葉一覧

広範な国民連合第23回全国総会・講演

混迷を深める世界、日本の将来を考える

丹羽 宇一郎

 何からお話ししようかと思っているわけですが、やはり私の立場から言いますと、日米関係、あるいは日中関係、北朝鮮問題、そのなかで「これから日本はどのように生きていけばいいか」ということ、少し日本の将来の姿を考えながら話してみたいと思います。
 日本の未来について、「こんなに大変だよ」ということは言われなくても分かっているわけです。しかし、「大変だからどうしよう」ということがほとんど出てこない。「なるほど」と思うような具体的な提案、国是というか、それなりの目標、理念というものは何なのかほとんど明確にされない。国民が安心して次の世代に「こんな日本を残したい」というものはどのへんなのかということを、私なりに少しお話をしたいと思います。 続きを読む


九州地区日朝友好親善訪問団に参加して

長崎県教職員組合中央執行委員長 堤 典子

 去年、10月2日~7日の日程で、福岡県日朝友好協会が主催する「九州地区日朝友好親善訪問団」(兼/福岡県第10次・鹿児島県出水市第6回)」に参加して、初めて北朝鮮を訪問した。「(米朝の関係が緊迫している)今の時期に行って大丈夫ですか?」と何人からも聞かれた。外務省も渡航自粛は言っていたようだ。しかし、本当に大丈夫でないなら、許可されるわけがない。 続きを読む


舞劇「朱鷺」を見て

今年は日中平和友好条約締結40周年に当たる記念すべき年である。

演出家・広範な国民連合全国世話人 澁谷 文孝

 昨年は日中国交正常化45周年で、それを記念して上海歌舞団が舞劇「朱鷺」の来日公演を行った。中国の舞踊劇は日中が国交正常化した当初から来日公演を行っていて、その舞踊技術は素晴らしく、高い評価を得ている。正常化直後の1970年代に来日したバレエ「白毛女」は、社会主義中国が芸術の分野でも大きく発展していることを示した。衣装が見慣れたチュチュでなく人民服であり、権力者を打倒する物語とともに、そのバレエ・テクニックも世界一流のモスクワやレニングラードのバレエ団にもひけを取らず、衝撃を覚えた。 続きを読む


労働組合は隣国と平和な関係を築く政治を求める

労働運動の社会的役割を考える

全日本港湾労働組合 中央執行委員長 松本耕三

本稿は、松本耕三委員長が9月6―7日、全港湾第88回全国大会で行った委員長あいさつの原稿である。今日の情勢下で「労働運動の社会的役割を考える」問題提起として松本委員長の提供で掲載する。掲載に際し一部割愛した [編集部]

 はじめに、北朝鮮のミサイルと核実験の問題について触れないわけにはいかない。
 昨今の報道は非常に偏っている。北朝鮮が挑発行為を繰り返していると報道されているが、アメリカの強大な軍事力とアジアの小さな北朝鮮が戦争をしたらどうなると思うか? 明らかに勝負は決まるではないか。そういう小さな国がなぜ挑発をしなければならないのか。実は1950年から行われた朝鮮戦争がまだ終わっていないのだ。アメリカと平和条約が結ばれず、まだ休戦協定となっている。 続きを読む


「ヘイトスピーチを許さない」川崎市条例づくりに取り組んで

「ヘイトスピーチを許さない」かわさき市民ネットワーク事務局 三浦知人

 国民連合・神奈川の第19回総会で、「ヘイトスピーチを許さない」かわさき市民ネットワーク事務局の三浦知人さんが闘争報告をされた。地域から民族差別と闘い、国会で「ヘイトスピーチ解消法」を成立させ、現在は川崎市での条例づくりに取り組んでいる。
 報告要旨にその後の動きなどを加筆してもらった。【編集部】

 民族差別をなくすという地域活動に関わる立場から報告します。川崎市南部の桜本地区を中心として、在日2世の人たちが40数年前から差別に向き合いながら、共に生きる地域社会を築いていこうという地域活動・市民運動で活動をしてきました。
 関東の中でも在日コリアンの集住率が高い桜本を中心とした街に、2015年11月に突然ヘイトデモが襲撃してきました。それに対する闘いが、私たちがヘイトスピーチと向き合う始まりでした。 続きを読む


恐怖の空 いつまで

沖縄東村での米軍ヘリ墜落抗議!国家主権を取り戻せ

 10月11日に沖縄県東村高江で起こった米軍ヘリ墜落事故について、SEALDs ・RYUKYU の元山仁士郎さんの広範な国民連合・神奈川総会での報告の一部と松永勝利「琉球新報」編集局次長・報道本部長の特別評論(琉球新報10月13日付)を筆者と琉球新報社の了解を得て掲載します。

松永勝利(琉球新報編集局次長・報道本部長)

 亜熱帯性常緑広葉樹のイタジイの木々がうっそうと生い茂っている。周囲には虫の鳴き声が絶えず響き、柔らかな風も吹いている。
 厚い雲に切れ目ができ、森の端に広がる牧草地に日差しが降り注いだ。鮮やかに輝く緑の平地に、黒く焼けただれた巨大な物体が横たわっている。やんばる原生の自然の中、ひときわ異物感を漂わせていた。
 沖縄県東村高江で起きた米軍ヘリ炎上事故。翌日昼の現場には、大勢の報道陣が詰め掛けていた。周囲は規制線が張られ、大破した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターには近づくことができない。 続きを読む


高江ヘリ墜落と日米地位協定の壁

沖縄東村での米軍ヘリ墜落抗議!国家主権を取り戻せ

 10月11日に沖縄県東村高江で起こった米軍ヘリ墜落事故について、SEALDs ・RYUKYU の元山仁士郎さんの広範な国民連合・神奈川総会での報告の一部と松永勝利「琉球新報」編集局次長・報道本部長の特別評論(琉球新報10月13日付)を筆者と琉球新報社の了解を得て掲載します。

元山仁士郎(SEALDs・RYUKYU、大学院生)

 この総選挙で、沖縄で争点になったのは米軍基地問題でした。これは、沖縄だけでなく全国で争点になるべきなのですが、残念ながらそうはならなかった。これがまず、選挙でもそうですが、日本の政治の一番といってよい問題です。辺野古での新基地建設問題と普天間基地閉鎖の問題がずっと争われてきています。それにオスプレイの事故、不具合が相次いでいます。 続きを読む


緊迫する朝鮮半島情勢 戦争に近づくのではなく遠ざかること

すべての核保有国による核開発・使用の2年間禁止合意など平和に向かって
問われる日本のリーダーシップ

広範な国民連合第23回全国総会 記念講演者 (元伊藤忠商事会長・社長、元駐中国大使、日中友好協会会長)
丹羽宇一郎さんに聞く

 今、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の相次ぐミサイル発射、そして核実験を受けて、北東アジア情勢が緊迫しています。

 そのなかで、安倍政権は、アメリカの後を追随するように、北朝鮮の敵対国になろうとしています。これではむしろ逆に、どんどん戦争に近づくことになってしまいます。日本のこうした姿勢を見て、北朝鮮は敵国の一つに日本を考えてくるでしょう。だから、安倍政権のこのままの政策でいいのですか、国民の皆さんはそれを分かっているんですか、ということを言いたいのです。 続きを読む


朝鮮半島危機が高まる中での衆議院総選挙に際して

「小池新党」に右往左往せず、安倍政権を追い詰め、国民運動で打ち倒そう!

「日本の進路」編集部

 安倍晋三首相の衆議院解散・総選挙は、「モリカケ」の疑惑隠し以外の何物でもなく、言語道断の暴挙です。

 内外の危機の深まりと国民の怒りに追い詰められ、自民党内からも不満が高まり始めた下での、政権の延命策動にほかなりません。対米追随一辺倒の安倍政権を断じて許さず、国民の手で追い詰め、打倒しなくてはなりません。

 広範な国民連合は、国民運動とともに、議会闘争も重視しています。この総選挙でも、広範な国民連合の趣旨に賛同する候補者を積極的に推薦し、当選のために奮闘します。 続きを読む


自由・人権・平和を求めて、立正大学生は立ち上がった

平和を求める立正大学生の会 橘内 優一さん

 2年前、戦争法反対運動が盛り上がった時に、立正大学でも私ともう1人の学生で「安全保障関連法に反対する立正大学の会」を立ち上げました。大学と駅の間の路上で宣伝活動したり、ツイッターアカウントを作ったりするくらいで、満足な活動ができず、やがて活動休止状態になりました。 続きを読む


労働運動の社会的役割を考える

北海道の課題と労働運動がめざすもの

連合北海道会長 出村良平

オスプレイに抗議して街頭宣伝する出村会長(中央)

オスプレイに抗議して街頭宣伝する出村会長(中央)

 今回北海道で開催された第14回全国地方議員交流研修会は、夕張市視察を盛り込むなど内容的にも充実し、意義深いものであったと思います。交流研修会の呼びかけ趣旨には、21世紀日本の縮図である北海道で開催とありました。 続きを読む


労働運動の社会的役割を改めて考える

水道は地域自治の問題であり生命の問題である

辻谷貴文(全日本水道労働組合書記次長)

日本の水道は「いま」

 「日本の水道は世界一」と、国内外からの呼び声が高い日本の水道。水ビジネスに興味津々の企業家や経済界は、「日本の水道の技術を世界へ」と、2025年には110兆円規模といわれる水ビジネス市場に打って出ようと躍起になっている。いまや石油ではなく「水」に起因して戦争が起こる時代であり、水(Water)=金(Gold) という構図が彼らの頭の中にあるようだ。 続きを読む


自治体議員から見た「社会の市場化」

新宿区議会議員・弁護士 三雲崇正

 私は、1977年生まれで、2004年に弁護士になってから約10年に、大手渉外法律事務所で国内外の大企業や投資家の経済活動を法的な側面からサポートする仕事をしました。その後、独立し、15年春からは区議会議員兼弁護士として、地域の中で活動しています。
 その間、山田正彦・元農水大臣に誘われて「TPP交渉差止・違憲訴訟」弁護団に参加し、自由貿易・投資協定について以前とは別の角度から検討する機会を得、また自治体議員として、地域社会や公共分野と民間事業者の経済活動との間の関係について考えさせられることとなりました。 続きを読む


農業の直面する課題と展望

日本の種子を守る会会長(JA水戸組合長) 八木岡 努さんに聞く

後継者不足の解決をめざす

 農業で今、一番重要な問題は高齢化と後継者不足、担い手不足だと思います。
 私は15~16年前から、新規参入者受け入れを行い、就農希望者を15組くらい指導しました。そこで育った教え子の多くが、県内各地でイチゴ作りをやっており、現在では都会からの就農希望者を受け入れるなど、後進の指導をするほどになってくれています。茨城県では農業経営士という制度があり、私もその現職ですが、教え子のうち3人くらいが農業経営士に認定されて、活躍しています。 続きを読む