地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり政府を動かす
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
広範な国民連合第25回全国総会(昨年11月20日)で鈴木宣弘東京大学教授は、食料・農業危機打開、食料安全保障確立の政策を提起され、地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり、政府を動かす運動を提唱された。統一地方選への重要な問題提起である。(見出しとも文責編集部)
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
広範な国民連合第25回全国総会(昨年11月20日)で鈴木宣弘東京大学教授は、食料・農業危機打開、食料安全保障確立の政策を提起され、地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり、政府を動かす運動を提唱された。統一地方選への重要な問題提起である。(見出しとも文責編集部)
北海道農民連盟委員長 大久保 明義
ウクライナ侵攻や円安などで燃油・飼料・肥料など生産資材は高騰、農業はかつてない危機に直面している。最大の食料生産地である北海道で、果敢に闘い続けている北海道農民連盟の大久保明義委員長に、北海道農業の現状と課題、農業危機突破・食料自給率向上、 食料安全保障確立などについてお話を伺った。(見出しも含めて文責編集部)
釧路農協連(酪農技術支援室) 永井 照久
酪農現場からの悲痛な声は強まるばかりです。
これまでに幾度も厳しい情勢を乗り越えてきた酪農産業ではありますが、現在おかれている状況はかつてないレベルで生産現場を苦境へと追いやって、生産者の不安感を増幅させています。こうした状況が続くと、大半の酪農場の経営が立ち行かなくなることは必至です。それは単に生乳生産基盤を揺るがすばかりでなく、地域社会の崩壊などその影響は多岐にわたります。日本全体の活力に悪影響を及ぼすことが強く懸念されます。
9月18日、釧路市で約1000人が決起大会
酪農経営を守ろうと、北海道釧路・根室管内の農協や生産者約1000人が9月18日、釧路市で決起大会を開いた。
冒頭あいさつした釧路酪対の徳田善一会長は「釧路・根室地区だけでなく、全道・全国の酪農経営が過去に経験したことのない危機的状況に陥っている」と述べ、国に対して緊急かつ強力なテコ入れ策を講じるよう求めた。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
一昨年に比べて肥料2倍、飼料2倍、燃料3割高、と言われるコスト高でも、十分に価格転嫁ができない農畜産物。政策も動き始めたが、酪農については「追い討ち」的な乳雄子牛価格の暴落などで現場の苦境は深刻化している。
そうした中、ついに、酪農家さんの自殺という最悪の事態に接し、無念と無力感にさいなまれる。政府の緊急補塡、乳製品による人道支援、急いでほしい。皆一丸となって国産乳製品を買おう。酪農家さん、踏ん張ってください。
JA菊池 三角修組合長 インタビュー
――8月8日の菊池地域農業危機突破緊急集会に至る経過や現状についてお聞かせください。
肥料関係は、ご案内の通り3割から4割、なかには5割近くまで値上がりしているものがあります。ロシアによるウクライナ侵攻によって肥料関係の輸入ができなくなったからです。
宍粟市議会議員 今井 和夫
どこの政党も一応、食料安保を言っています。自給率アップも一応口先だけでは言っています。
でも、本当にアップしたいと思っているとは思えません。
ホントに自給率を取り戻すのは簡単です。農家の生活が成り立つようにすればいいだけのことです。例えば、田舎において「公務員になる」ことに反対する親や本人はあまりいないでしょう。農家を公務員並みの所得環境にすれば、ほとんどの者は農家になりたがります。「並みの」というより、農業担当の公務員として採用すればいい。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
ただでさえ食料価格の高騰と日本の国際社会での「買い負け」懸念が高まってきていた矢先に、ウクライナ危機が勃発し、小麦をはじめとする穀物、原油、化学肥料原料などの価格高騰が増幅され、食料やその生産資材調達への不安は深刻の度合いを強めている。シカゴの小麦先物相場は本年3月8日、ついに2008年の「世界食料危機」時の最高値を一度超えてしまった。
宍粟市議会議員 今井 和夫
当市でこの冬に行われた稲作への支援についてご紹介します。
このあたりのコメの単価は最近まで、農家からの買い取り、あるいは農家が直接売るなどの場合、30kg当たりおよそ7500円~8000円(コシヒカリ)が相場でしたが、今年はコロナ禍の影響下、買い取り価格が1000円ほど下がっています。これは、1反(10a)当たりにすると、1万5000円ほどの減収になります。
北海道議会議員 北口 雄幸
昨年12月1日の日本農業新聞に、『水田交付金見直し決定 今後5年水張りなければ対象外 政府・自民』とのタイトルが躍った。水田を畑に転作し、今後5年間コメを作付けしなければ、「水田活用の直接支払交付金」の対象から除外するというものだ。
危機的な農業と農村状況の中で、安全な食料・食料安全保障の確立、食料とエネルギーの地消地産、農業を軸にした地域循環型経済の実現が求められる。学校給食100%有機米を実現している千葉県いすみ市を1月下旬に訪れ、市農林課の鮫田晋主査と有機米づくりに挑戦された矢澤喜久雄さん(農業法人みねやの里代表理事)にお話を伺った。(広範な国民連合全国事務局・川崎正)
北海道農民連盟書記長 中原 浩一
広大な大地を生かし食料自給率200%台を維持しつつ、その強みを生かし、インバウンド需要や観光に力を入れ経済を活性化させてきた。しかし、コロナ禍により人流の制限等は三次産業を直撃し、関連している一次・二次産業への影響も大きく、道民生活や経済活動など、環境が一変した。
JA全中会長 中家 徹
新型コロナで、農業分野でも、外食や業務用需要の減退により、米や牛乳などを中心として幅広い品目で影響が続いています。
一方、コロナ禍により身近な食への関心が高まってきています。こうした状況なども踏まえ、JAグループでは、「国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する」という「国消国産」を独自のキーメッセージとして活用し、国民理解醸成をすすめています。昨年、10月16日を「国消国産の日」に制定しました。
本年は、「国消国産の日」を契機に、皆さまに食料を生産する農業・農村などを支えたいと思っていただけるよう、さらなる情報発信を強化します。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
平凡社新書の『農業消滅』が話題を呼んでいる。まだお読みでない本誌読者の皆さんに向け、著者の鈴木宣弘氏に頼んで、この間マスコミなどに掲載された書評や著者インタビューに触れながら、本書の〝読みどころ〟を紹介していただいた。(編集部)
鈴木宣弘著『農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機』(平凡社新書、2021年7月発行、968円)