労働運動一覧

公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)3年間の活動から

安定した雇用と見合う賃金を求めて

はむねっと共同代表・埼玉大学教員 瀬山 紀子

 

 

 

 

 

 

はむねっとの立ち上げ

 コロナ禍と地方自治体の非正規職員に関わる新たな制度、「会計年度任用職員制度」がスタートした2020年度末の21年3月、はむねっと立ち上げのきっかけとなった集会「官製ワーキングプアの女性たち コロナ後のリアル」を開催した。この集会は、19年9月に開催した集会「女性から考える公務非正規問題」と、その記録をまとめ20年秋に出版することができた『官製ワーキングプアの女性たち』(岩波ブックレット)に端を発した集まりだった。

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インタビュー ■ 新しい社会を展望する

 分かち合う社会を求めて

働くのは何のためですか?

日本労働者協同組合連合会
(ワーカーズコープ)理事長
 古村 伸宏

 

 

 

 

雇用労働とは異なる働き方
=協同労働

 労働者協同組合を説明するときには大きく二つあって、一つは働くということをどうしたいのかということ、もう一つは協同組合というのは何を大事にする仕組みなのかということです。労働という言葉は明治以降に登場したといわれますが、労働というと雇われているのが前提になるんですね。私たちが実践している雇用労働でない働き方。これをどういう言葉で語ろうかということで出てきたのが「協同労働」という言葉です。

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転換点で方向模索する労働運動

2023年 IGメタル第25回定期大会に参加して

ものづくり産業労働組合JAM会長 安河内 賢弘

 「あなたは投票結果を受け入れ、会長に就任することを承認しますか?」
 「はい!」
 一瞬の静寂の中で、一人の女性が立ち上がり、代議員席に向けてすべての参加者が驚愕するほど大きな声でイエスと叫んだ。次の瞬間、会場全体が総立ちになり興奮に包まれた。彼女の手には作業服を着た短髪の女性が握りこぶしを作ったイラストの描かれたプラカード。そのプラカードにはIGメタルのロゴとともに、“We Can Do It”と書かれていた。紺色のスーツに身を包み、長身でいかにもドイツ人らしい骨格をもった彼女は、鳴りやまない拍手の中で壇上に上がり、スピーチを始めた。
 「IGメタルは強くあり続けることが世界から求められている」
 彼女の名前は、クリスティアーネ・ベナー、IGメタル初の女性会長の誕生である。 続きを読む


困窮する労働者・農民 現状と闘い

「大転換となる歴史的春闘」めざし
「物わかりの悪い春闘」を合い言葉に

ものづくり産業労組JAM会長 安河内 賢弘

 

 

 

 

1.春季生活闘争の歴史を振り返る

 今次春闘における300名未満の中小労組の賃上げ(定昇含む)は、8966円、3・55%であり、これは1993年の水準に匹敵する。しかし、その意味合いは大きく異なる。

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2022年の年頭に労働運動の課題を考える

原点に立ち返り平和・人権の大切さを将来世代に引き継ぐ

 

日本労働組合総連合会(連合)副事務局長 山根木 晴久

 

 

 昨年は、東日本大震災から10年、熊本地震から5年という節目の年であった。近年、特に脅威を増す自然災害に対し、尊い命を犠牲にされ、また今もなお不自由な生活を余儀なくされている方々に思いを馳せつつ、今に生きる私たちはその教訓を将来世代に生かし引き継いでいく、そうしたことを確認し取り組んできた一年だったと振り返る(復興五輪だった2020東京オリパラからそのようなメッセージが発信されたと思えなかったことは極めて残念であった)。
 さて、迎えた22年もさまざま周年記念を迎えるが、全国水平社宣言から100年、沖縄返還と日中国交回復から50年の節目を迎えるということをふまえれば、改めて、それら原点に立ち返り、平和や人権の大切さを再認識し、将来世代に引き継ぐ取り組みを進める年にしなければならないと思う。

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2022年の冒頭に考える

ポストコロナ時代のJAM運動

 

ものづくり産業労働組合JAM会長 安河内 賢弘

 

 コロナ禍は、私たちの社会を支えるセーフティーネットにぽっかりと大きな穴が開いていることを浮き彫りにしました。そして、パートやアルバイト、フリーランスなどの不安定雇用労働者やひとり親世帯、外国人労働者など社会的に弱い立場に置かれている人々がその大きな穴に落ちてしまいました。その多くが未組織労働者であり、また多くの女性たちが含まれています。コロナ禍は、医療、介護、保育、飲食、サービス業などの現場や家庭生活に深刻な影響を与え、その主たる従事者である女性たちを直撃しました。東日本大震災に匹敵する大災害であるコロナ禍において、政府与党は残酷なほどの冷淡さを見せ、私たち労働組合はあまりにも無力でした。二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、産業別労働組合JAMとして、しっかりとした総括が必要だと考えています。

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カーボンニュートラルなど激変するものづくりの現場 (上)

労働組合として関心を払い、雇用維持へ発信強める

 

JAM北関東書記長 小嶋 正弘 さんに聞く

心配な海外でのロックダウンの影響

 実は9月からトヨタが大減産をするという話があったので、「これは大変なことになるぞ」と思って、8月下旬くらいから構成組合にいろいろと状況の確認を進めてきました。ところが、ちょっと肩透かしと言っては変ですけども、9月にカーメーカーが操業を停止した関係での一時帰休は意外に少なかったんですよ。

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コロナ禍 ■ 困難のきわみに

外国人労働者のいのちと権利を守る労働運動を!

ものづくり労働組合JAM OB 小山 正樹

 外国人労働者数は172万4328人(厚生労働省、2020年10月末現在の「外国人雇用状況」)で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で増加率は大幅に減少したものの、過去最高を更新した。 続きを読む


安全な食料自給。農林漁業を核とする持続可能な地域循環経済へ

日本農業と中小製造業を守れ

 

JAM会長 安河内 賢弘

 

 4月27日に2020年農林業センサスが発表されたが、日本農業の衰退がさらに進んでいることが改めて示された。5年前と比較すると農林業経営体は22・2%減少し、なかでも林業経営体は61・1%と壊滅的な減少である。また、年齢階層別に基幹的農業従事者の推移を見ると、5年前と比べ、85歳未満の全ての階層で減少した。
 一方で、農産物販売金額規模別に農業経営体数の増加率を見ると、5年前に比べ3千万円以上の層で農業経営体数が増加したとするものの、3千万円を超える農業経営体は全体の3・82%にすぎず、全体の約7割強が300万円未満の農家である。

図 基幹的農業従事者数(個人経営体)の推移(全国)

 2015年11月25日、TPP大筋合意を受け政府はTPP総合対策本部を設置し、「総合的なTPP関連政策大綱」を取りまとめた。その主な柱は、①中堅・中小企業等の海外展開の支援、②経済再生・地方創生の実現、③農林水産業支援、④その他必要な支援(食の安全・安心、知的財産等)であった。このうち農林水産業については、「攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)」と「経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)」が重点施策として掲げられたが、それから5年を経た2020年の日本農業の衰退は残念ながら加速している。

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『雑感』■ コロナ禍における労働組合運動

私も、「未来は変えられる」を信じて

全農林労働組合顧問 柴山 好憲

工夫が求められるコロナ禍の運動

 新型コロナウイルス感染症は、1年を経過した現在も人々の暮らしや経済活動はもとより、労働組合の組織運営や活動にも大きな影響を与えている。OBとして当組合の活動を見たとき、「密の回避」と「非接触」を前提としたかつて経験したことのない組織運営に苦労しつつも、WEBによる協議や会議・打ち合わせ、さらにはユーチューブを活用した発信などを積極的に進めるなど、そのしなやかさに感心する日々である。しかしながら、集まりやオルグもままならず一方通行にならざるを得ない場面が多いなど、きめ細かな対応には一定の限界もあり、さらなる工夫が求められている。 続きを読む


コロナ禍におけるJAM運動の推進

労働運動で未来を変えられると信じて

ものづくり産業労働組合JAM会長 安河内 賢弘

 時代の要請にそぐわないのは十分に承知しているが、コロナ禍において働く人々の困難や不安に寄り添うためには会って話すことが重要であり、会社と交渉して一定の譲歩を引き出すためにはWEB会議システムでは不十分である。一方で会社側のコロナ対策は過敏だと思えるほど厳格である。 続きを読む


コロナ禍の労働者 ■ 生活と権利のための中小労組の闘い

団結し闘えば要求は実現する

国一般労働組合福岡地方本部北九州支部
執行委員長 山岡 直明

ストライキで春闘を闘う

 全国一般北九州支部の2020春闘要求は、春闘アンケートに基づき月額賃上げ3万円をはじめとする統一要求を決定し、3月3日、北九州労働会館において、組合加盟企業経営者を一堂に集め、統一要求団交を開催した。統一団交では、支部から統一要求額の説明、働き方改革関連法による労働法規の改正の説明を行い、各分会長からは、分会独自の要求の説明と闘う決意を表明する。この取り組みは、1996年から毎年続けている。 続きを読む


不当弾圧と闘う全日建連帯労組関西生コン支部

「国のあり方を論じ運動している関生支部を『のさばらせる』と本当に安倍政権がもたないと思っているのだろう」

武 洋一・関西生コン支部書記長に聞く

続く不当弾圧―運動の全国化恐れる権力

 逮捕者のべ62人、武建一委員長は接見禁止もついて勾留7カ月余、他執行部9人も勾留が続いています。
 弾圧は2017年末12月のストライキから始まっています。 続きを読む