国際情勢・政治一覧

いま改めて「平和5原則」に立った日中関係の再構築を

懸案の平和解決へ問われる菅政権

元自民党幹事長 山崎 拓 氏に聞く

 米中対立激化のはざまで日本の進路が厳しく問われている。戦後ほぼ一貫して政権与党で「日米同盟」一辺倒に見えた自民党の中にも当然のようにさまざまな動きが垣間見える。
 自民党「国防族」の中心だった山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問。元自民党幹事長、元副総裁。防衛庁長官や建設大臣を歴任)は昨年8月、「倉重篤郎のニュース最前線 崩壊・安倍政治 山崎拓が安倍流『従米構造』の破綻を論じる」(『サンデー毎日』8月6日号)ので次のように語っていた。

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香港問題をどう考えるか(1)

『日本の進路』編集長 山本 正治

より歴史的にとらえないと未来を誤る

 私たちは、自由を求める香港の青年たちの要求と闘いに深い共感をもっている。いかなる政権であってもこうした行動を力で弾圧することは許されない。
 しかし、香港の問題(国家安全維持法制定)は完全に中国の内政問題である。アヘン戦争によって奪われた香港の領土と主権を回復する歴史的課題が中国国民と政府にはまだ終わっていない。「国際社会」による、「自由」とか「人権」という言い分での乱暴な内政干渉は許されない。それは植民地主義の手法である。問題を解決できるのは中国国民だけである。 続きを読む


香港問題をどう考えるか(2)

『日本の進路』編集長 山本 正治

アヘン戦争で「大英帝国」に奪い取られた香港

卑屈なわが国マスコミ

 朝日新聞社説は「19世紀以降、英国の植民地支配下で育まれた独特の都市文化は変質せざるをえないだろう」(7月1日)といって、英国の香港植民地支配を無条件に賛美し、中国政府を激しく攻撃する。「香港の声を聞かずに」「人権」「香港の高度な自治」等々と、わが国マスコミも野党も声高である。だがこれらの中国攻撃は、「大英帝国」がアヘン戦争を通じて香港を中国から強奪し、植民地支配を進めたことに一言も触れない。それどころか朝日新聞に至っては逆に、それを天より高く持ち上げる。「植民地都市文化の変質」、大いに結構、それこそ必要ではないか。植民地文化にどっぷり汚染されたマスコミ人は気づかないのであろうか。 続きを読む


香港問題をどう考えるか(3)

『日本の進路』編集長 山本 正治

司法権も民主制も大英帝国当時のママ

 例えば、「高度な自治権」の中には、「独立の司法権および終審裁判権を有し、現行の法律は基本的に変えない」ことも含まれていた。要するに、イギリス帝国の世界支配の法体系(コモン・ロー)をそのまま維持するという合意だった。コモン・ローは英国(帝国)独特の「一般的慣習法」のことで、英連邦の司法関係者以外には理解もできず、運用もできない。そこに司法支配を委ねるということである。香港基本法92条には「裁判官は、他のコモン・ロー適用地域から招聘できる」とも規定されている。この結果、現在も最終審(最高裁)判事は17人中15人が外国籍である。
 返還とは名ばかりで、ロンドンの金融街による香港の司法支配であり、それに従属した自由だった。司法制度は植民地のままだった。 続きを読む


私の日中関係史(1) 戸毛 敏美

日本の侵略、敗戦と新中国成立、そして関係正常化へ

NPO法人大阪府日中友好協会副会長
関西外国語大学外国語学部名誉教授
戸毛 敏美

私は中国東北部で生まれた

 私は生まれも育ちも中国東北部黒竜江省のハルビン市です。それは日本の中国侵略と関係があります。日本は、植民地支配の属国として中国東北地方に傀儡国家満州国をつくりました。満州を支配していた日本陸軍・関東軍は物資輸送に、中国東北地方の馬を利用していました。しかし、いわゆる満州事変により国際連盟を追い出された日本は原油が手に入らなくなったこともあり、力不足の馬の品種改良が課題でした。父は、東大農学部獣医学科を卒業後、品種改良を命じられハルビンの種馬場長として勤務しました。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ(下)

いかに安定と繁栄をつくるか? 夢は必ずかなう、もし諦めなければ!

青山学院大学教授 羽場 久美子

はば・くみこ 1952年生まれ。青山学院大学教授、世界国際関係学会アジア太平洋副会長、ハーバード大学客員研究員、京都大学プロジェクト教授。専門は国際関係論、国際政治学。著書に『グローバル時代のアジア地域統合』(岩波書店)、『アジアの地域共同―未来のために』『アジアの地域協力―危機をどう乗り切るか』(いずれも明石書店)他多数。

 新型コロナウイルスが猛威を振るっています。中でもアメリカは、感染者82・3万人、死者4・5万人(4月22日現在)、世界の「トップ」です。にもかかわらず新聞は、アメリカの感染のひどさがトランプ政権の「人命より経済重視」からきていること、対策のまずさをほとんど報道しません。逆にトランプの「中国ウイルスだ」「WHOは中国寄りだ」などというフェイクニュースのような暴言を好んで取り上げています。 続きを読む


国民連合・東京総会■記念講演 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ

いかに安定と繁栄をつくるか? 夢は必ずかなう、もしあきらめなければ!

羽場 久美子 青山学院大学教授

 羽場久美子青山学院大学教授が「東アジアで戦争をさせない!戦争を避けるには?」との問題意識で、広範な国民連合・東京総会記念講演で熱弁をふるわれた。本稿はそれを基にしている。講演直後の1月24日、「世界終末時計」はさらに20秒進んで、「終末1分40秒前」となったと報じられた。羽場さんの問題提起は、日本の進路を考える上できわめて重要である。誌面の都合で2回に分けて掲載する。見出しも含めて文責は編集部。

[本論の構成]
世界史の転換点で
今、世界とアジアで何が起こっているか(今回、ここまで)
背景に何があるか
どうすればよいのか?
結論と提言

世界史の転換点で

 今日は、「世界の中の東アジアと日本」というお題のなか、「力の転換は必然的に戦争を呼ぶ」という米欧の政治学者が最近言っていることから、話を始めたいと思います。現在、「世界の転換点」という状況のなかにあって、近隣諸国と仲良くしていくことが、戦争を起こさない最大の要因でもあるということを今日は確認しておきたいと思います。 続きを読む


世界史的転換点を映す――ダボス会議、ミュンヘン会議

しっかりとした国の進路を定めなくてはならない

本誌編集長 山本 正治

 新型コロナウイルスが世界を揺さぶっている。安倍政権の対応はお粗末極まりない。即刻政権を代える以外にない。官民の知恵と力を総結集した強力な対策を強く求める。
 「歴史的に見れば新興感染症は世界史的転換点で発生してきた」(中西寛・京都大学大学院教授)といわれる。時あたかもこの時期に二つの国際会議が開かれた。
 一つは通称「ダボス会議」、全世界の有力な企業経営者やトランプ米大統領など政治家、それに研究者など3000人以上が集まった世界経済フォーラム総会が1月末にスイスで、もう一つはドイツのミュンヘンで、「安全保障版のダボス会議」とも呼ばれる国際安全保障会議が2月中旬に開かれた。当然どちらでも新感染症対策は議論になった。
 これらの会議も、歴史的な大転換期を経過していることを全世界に印象付けるに十分だった。 続きを読む


東北アジアに非核・平和の確立を!

今こそ日朝国交正常化を

「6・7朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」集会に参加して

日朝国交正常化全国連絡会 中村元氣

6月7日、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!日比谷野音集会」(主催 市民連帯行動実行委員会)が小雨の降るなか開催され、約1000人が参加した。私も日朝国交正常化全国連絡会幹事の立場で福岡から参加し、意見発表をした。集会には、日本・朝鮮の市民・学生や、労働組合、平和団体のほか、韓国からも「朝鮮学校差別反対!高校無償化適用要求!金曜行動12次訪問団」のメンバーなどが参加した。 続きを読む


米中激突の国際情勢とわが国の進路

以下は、広範な国民連合「第3回全国世話人会議への報告と提案」の中の、「激動の国際情勢見通し、展望」の部分に議論を踏まえて若干加筆したものである。今日の情勢をより深く歴史的に評価するうえで重要と考え編集部の責任で紹介する。

衰退したアメリカは、新興する中国を軍事力を使ってでも抑え込みドルと覇権を維持しようと画策し、世界を破局の瀬戸際に追い込みかねない。世界の国々は小国も大国も「アメリカ第一主義」の世界支配に反発を強め、アメリカの戦後世界支配に代わる新しい時代が近づいている。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(下)

山本 正治(本誌編集長)

(3)安倍政権が進める地方政策、その批判的ポイント

 今年の安倍首相施政方針演説(1月22日)の構成は、「明治150年」にふれた「はじめに」から始まり、「二 働き方改革」「三 人づくり革命」「四 生産性革命」等々と「改革」「革命」が続き、その後に「五 地方創生」で、最後が「六 外交・安全保障」であった。これらが、安倍政権が当面とくに重視する政策ということであろう。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(中)

山本 正治(本誌編集長)

3 安倍政権の国内政治、地方政策のポイント、批判的検討

 2012年12月、政権に復帰した安倍晋三首相は翌年1月28日、政権復帰後最初の国会所信表明で「危機的な状況にあるわが国の現状を正していく」と大上段から振りかざした。具体的には、「日本経済の危機」「東日本大震災からの復興の危機」「外交・安全保障の危機」、それに「教育の危機」の4つの危機を正すとした。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(上)

山本 正治(本誌編集長)

 安倍首相は今も「アベノミクスの成果を地方に」などと欺いている。日本経済は「緩やかな成長」が言われるが、国民は貧しく家計消費は伸びず、需要は海外依存、大企業の海外収益依存度は5割を超える。
 主要先進国は、どこもリーマン・ショック前の成長を超えることはない低成長傾向が続くが、なかでも日本は先進国の中で最低の成長にとどまっている。国内の需要は乏しく、バブル崩壊後の「失われた20年」を脱していない。
 安倍政権のアベノミクスで、大企業と資産家は極度に豊かになったが、地方はますます疲弊し、貧困化と格差が拡大し持続可能性が問題となっている。 続きを読む


広範な国民連合と中国国際交流協会との連携強化

劉洪才副会長と記念撮影(中央右・劉洪才氏、左・吉田伸団長。2月5日、北京・釣魚台飯店)

 広範な国民連合訪中団は、中国国際交流協会の招聘で吉田伸代表世話人を団長に、2月4日から7日まで中国・北京を訪問した。団は、中国国際交流協会の劉洪才副会長と会見し、交流協会と意見交換の機会を持った。また、交流協会が主宰した日中平和友好条約締結40周年記念座談会にも参加し、中日両国の関係諸団体との意見交換の機会も持った。劉洪才副会長は会見で「国際交流協会を代表して来訪を歓迎する。広範な国民連合は、長期にわたり中日友好、中日交流、とりわけ民間交流の発展に努力し、大きな貢献をされた」(発言要旨を別掲)と述べ歓迎宴を開いた。 続きを読む