災害・復興一覧

コロナ第2波が目の前 ■ 課題を考える

真の政治家とはこうした危機の時に動けるか

国の難局、地方の難局に腹をくくって立ち向かうということ

Save Okinawa Project代表
玉城 研太朗
(沖縄県医師会理事・那覇市医師会理事・那覇西クリニック診療部長)

 「卯の花の 匂う垣根に 時鳥 早も来鳴きて 忍音もらす
 夏は来ぬ」

 1896年に発表された、佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲の日本の唱歌「夏は来ぬ」。
 わたくしはこの曲がとっても好きだ。長い冬が終わり、卯の花が咲き乱れ、ホトトギスが鳴く、いよいよ夏がやってきた、と何というのでしょうか、弾けんばかりの夏の爽快感が見事に歌われており、心躍らされるそんな歌ではないだろうか? 沖縄県に長く厳しい冬などないが、いよいよ梅雨も明け、まっつぁおな空と照り付ける太陽、エメラルドグリーンの海を眺め、わたくしはとある会議の前に沖縄県恩納村にある谷茶前の浜公園に立ち寄り、この歌を聴きながら、ここ数カ月の出来事、沖縄県が日本全国があるいは世界中が立ち向かって闘ってきた「COVID-19」のことを思い返していた。 続きを読む


コロナ第2波と大災害に備えを

安全保障とは国民の命と安全を守ること

「日本の進路」編集部

 75年目の8月15日がやってくる。アジアで何千万の人びとの命を奪い、日本人も何百万人が命を落とした日本のアジア侵略戦争と太平洋戦争。そして沖縄地上戦と米軍の原爆投下による広島・長崎の惨禍。莫大な犠牲の上に今日の日本がある。
 コロナ禍が加速し浮き彫りにした歴史の転換点で、過去の歴史をしっかりと振り返り未来を選択しなくてはならない。戦争をしない、させない政治、何よりも国民の命を守る政治。安全保障とは国民の命と安全を守ること、そして国際の平和を守り、諸国の共生を実現し、諸国民の命を守ることだ。
 安倍首相は口を開けば、「国民の生命、安全を守る」、そのため「強い国」をつくると言う。ところが、その政権の下で、他国の攻撃によってではなく国民の命が次々と奪われている。これは人災、いわば政災だ。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(2)

参議院議員、前滋賀県知事、
元日本環境社会学会会長 嘉田 由紀子

 コロナ対策をめぐる日本政府の対応、その日々の動きを国会議員として近くで見ながら、安倍政権のちぐはぐさを前稿で示してきた。ポイントは、これまで新型コロナウイルスは「感染率は低いが、致死率は高い」といわれ、それに合わせて「封じ込め」「社会分離」政策がとられてきた。しかし欧米各国との比較で見ると死亡率は2~3桁少なく、「感染率は高いが、致死率は低い」という病の部類になるのではないか。となると、ここまで全国の学校を3月以降休校にして、日本中に経済・社会的活動制限をした政策に正当性があったのだろうかという疑問がわく。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ禍と労働者

雇用と生活を守るJAMの取り組み

JAM副書記長、組織・政策部門長 川野 英樹

未曽有の緊急事態宣言

 JAMは、機械金属産業の中小企業・ものづくり製造業を中心とした約1900単組、38万人が加盟する産業別労働組合である。
 その特徴は、何といっても中小企業単組の構成比が高いということ。300人未満の単組が85%、100人未満の単組が60%を占めており、中小企業単組の「雇用と生活の維持と確保」に焦点を当てた運動が中心とならざるを得ない。
 もう一点は、構成企業の大半が中小・サプライヤー(中小部品供給会社)であり、大幅な景気変動時には発注メーカーから一方的なキャンセルや納入停止が多発する。また、原材料調達が困難で納期遅延が発生した場合は、ペナルティー(違約金)が発生するなど、公正取引慣行の確立が主要な政策課題となっていた。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ危機の時代をどう生きるか

武器ではなく人、子育てや教育こそ最重要

日中友好協会会長 元駐中国大使
伊藤忠商事名誉理事 丹羽 宇一郎

 新型コロナウイルスの感染拡大について、「パンドラの箱が開いた」とよく言われるが、この中から出てきた新型コロナウイルスの正体はいまだにハッキリ分からない。いわゆる「専門家」といわれる人たちが口にするのは、感染者数や亡くなった人数など、すでに終わった話ばかりで、どうなるのかは誰も言ってくれない。
 また、この新型コロナの感染拡大を防ぐために、「『3密』を避けましょう」と言われています。しかし、毎日電車通勤をしなければいけない人たちや、買い物をする人、そうしたところで働く人たちにとって、この「3密」を避けるのは大変難しいことです。
 これからは「ウィズコロナ」です。「コロナと共に」にということです。ワクチン開発の成否も分からないなかでは、新型コロナウイルスに対する免疫を高めるしかありません。そうして免疫を高めた世界でコロナと共生・共存していかざるを得ない時代が確実にきます。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ禍で問われる税収の空洞化

不公平な税制をただす会共同代表・税理士 菅 隆徳

 コロナ対策では、政府が閣議決定した(第1次)補正予算だけでも25・7兆円の国債の追加発行が予定されている(その後第2次補正は全額国債で賄われ、31・9兆円 編集部補足)。さらに政府案にはない「賃金・収入の8割補償」や「イベント中止への補償」、医療・検査・介護などへの支援策の拡充などを実現するためには、さらに多くの費用が必要となる。
 コロナ危機対策で各国は巨額の財政支出に踏み切っている。財源負担をどうするか、税の集め方、使い方が問われる。感染防止のための財政出動を契機に、公平・公正な税負担を実現することが、強く求められている。 続きを読む


[コロナ危機] 傷つく人々を全力で支援 費用負担は応能で

財源負担問題の国民的議論を

『日本の進路』編集部

 第1次に続いて第2次補正予算が成立し、通常国会は閉じた。
 一般会計歳出は当初予算と合わせ総額160・3兆円、過去最大だった19年度(104・7兆円)の1・5倍に。補正の財源は全て国債で今年度の国債発行額は90・2兆円となる。
 未曽有の国民的危機にはあまりにも「遅すぎる」「少なすぎる」対策だが、大企業や大銀行、大金融資産家には十分すぎる財政・金融支援であろう。しかも、給付金事務に大企業が食いつき利益を貪り、パソナのような白アリも集っている。
 他方、傷つく人々や、頑張っている医療関係者や社会インフラを支える人々への支援は「雀の涙」、それもまだ多くは届かない。 続きを読む


コロナ禍、米中冷戦激化の中 日米安保条約60年

自主・平和、アジア共生の進路こそ急げ!

『日本の進路』編集部

 6月23日、現行日米安保条約発効60年を迎える。安倍晋三首相は、祖父である岸信介元首相が60年前条約に調印した1月19日、「100年先まで、日米同盟を堅牢に」とアメリカに誓った。
 日米安保条約に基づく日米同盟と米軍駐留は、日本の国家主権を著しく損ない、国民のいのちと安全を脅かしアジアの平和の脅威となってきた。日米同盟に組み込まれた自衛隊は、湾岸戦争やイラク侵略戦争、いま中東や南シナ海などへと、派兵が常態化している。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 「生命」か「経済」か、それが問題だ

地方と新型コロナウイルス禍

山形県議会議員 原田 和広

 昨今の新型コロナウイルス禍において山形県が直面している喫緊の課題は、医療崩壊と地域経済の崩壊である。生命と経済のどちらを守るのかという二者択一がマスコミ報道等で議論されることが多くなってきたが、どちらかではなく、そのどちらも守れない可能性を山形県のような地方は構造的に抱えているのではないだろうか。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 見えてきた理不尽な『新型コロナ格差』の実態

新型コロナで傷む現場~連合の労働相談よりレポート~

連合総合運動推進局長 山根木 晴久

 連合本部は、新型コロナウイルスの影響が顕著に出始めた3月4日から6日にかけて、フリーダイヤルとラインを活用して緊急集中労働相談を実施し、多くの相談に対応した。当時は、政府の要請で全国の小中学校が休校になった直後ということもあり、「子どもの面倒をみるため仕事を休まざるを得ないが、その間の賃金はどうなるのか」といった休業補償関係の相談や「職場でマスクを着用させてもらえない。感染が心配だ」といった安全保障関係の相談が相対的に多く寄せられた。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] アメリカ、世界最大級の感染爆発と、危険な排外意識の暴走

コロナウイルスは世界を変えるか?

青山学院大学 羽場 久美子

先進国の感染爆発

 コロナウイルスは、先進国の近代資本主義社会を破壊して進んでいるように見える。
 コロナウイルスによる一般的な死亡率は2~3%だが、イタリア、スペイン、イギリスなど感染者数が多いEU諸国はドイツを除いて軒並み10%以上だ 。[1]

[1] Johns Hopkins University, Corona virus VI
COVID-19, MAP, COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU)(以下同様)
https://coronavirus.jhu.edu/map.html 2020/4/26

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[コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(1)

参議院議員、前滋賀県知事、
元日本環境社会学会会長 嘉田 由紀子

なぜ安倍政権のコロナ対策の評価が低いのか?

 世界23カ国・地域の人びとにそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、残念ながら日本が最下位となった(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050800721&g=int)。
 日本の感染者数、死者数は世界との比較では決して多いわけではない。それこそ欧米各国と比べると人口あたり感染者数も死亡者数も二桁ほど少ない。それでもなぜ、安倍晋三首相らの指導力に対する日本国民からの評価が厳しいのか? 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 今こそ辺野古移設計画の見直しを

「米軍基地問題に関する万国津梁会議の提言」の意義

沖縄国際大学准教授 野添 文彬

 3月27日、玉城デニー知事の諮問会議「米軍基地問題に関する万国津梁会議」は、「在沖米軍基地の整理・縮小についての提言書」を知事に提出した。この会議は、安全保障や外交の専門家である委員(筆者もそのメンバーの一人である)が「在日米軍基地の整理・縮小」をテーマに提言を行うために設置されたものである。
 提言書は、玉城知事がこの会議で述べたように、沖縄の側から国際情勢や米軍の戦略を踏まえた上で作成されたという点で「画期的」なものであった。しかし、提言発表後、コロナウイルスの全国的な感染拡大によって、沖縄県や本会議も十分に動けなくなり、提言書についても他のニュースに埋もれてしまったことは否めない。
 その一方で、コロナウイルスに伴う世界的危機の状況であればこそ、提言書の内容は、ますます重要になっている。以下、本稿ではこの点について論じたい。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ(下)

いかに安定と繁栄をつくるか? 夢は必ずかなう、もし諦めなければ!

青山学院大学教授 羽場 久美子

はば・くみこ 1952年生まれ。青山学院大学教授、世界国際関係学会アジア太平洋副会長、ハーバード大学客員研究員、京都大学プロジェクト教授。専門は国際関係論、国際政治学。著書に『グローバル時代のアジア地域統合』(岩波書店)、『アジアの地域共同―未来のために』『アジアの地域協力―危機をどう乗り切るか』(いずれも明石書店)他多数。

 新型コロナウイルスが猛威を振るっています。中でもアメリカは、感染者82・3万人、死者4・5万人(4月22日現在)、世界の「トップ」です。にもかかわらず新聞は、アメリカの感染のひどさがトランプ政権の「人命より経済重視」からきていること、対策のまずさをほとんど報道しません。逆にトランプの「中国ウイルスだ」「WHOは中国寄りだ」などというフェイクニュースのような暴言を好んで取り上げています。 続きを読む