国内情勢・政治一覧

沖縄と安全保障

復帰48年に考える

衆議院議員 屋良 朝博

 

 

 全世界が新型コロナ感染症と闘う中、日本の検査数の少なさに諸外国から疑問を持たれています。その適否の論議は別に譲るとしても、布マスク全戸配布を含めどうも打つ手が国際標準から外れているようにみえます。独自性は大事ですが、独りよがりでは視野狭窄に陥ります。日本人は〝戦前〟の思考から決別できたのかという疑問が頭をよぎります。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 苦境の今こそ、『国家を超えた連帯』への好機

社会学者 大澤真幸さんに聞く

 「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と喝破される大澤真幸さんに伺った。見出しを含めて文責編集部

グローバル資本主義の負の産物

——大澤真幸さんは、感染症のパンデミック、コロナ・ショックと言われるような状況を、「『グローバル資本主義』という社会システムの負の側面が顕在化した」と捉えておられます。ここが現状認識として最も重要なところだと思います。

 「資本主義は、貨幣(マネー)と商品と人間をグローバル化し、それらを、国境を越えて運動させます。これら三つの中で、最も速いのが貨幣で、最も遅いのが人間です。人間は、貨幣や商品に引っ張られるようにして、国境を越えていきます。ということは何を意味するかというと、資本主義の下では、人間は、他者に対する自然な関心やコミュニケーションへの欲求によって移動した場合よりもずっと速く、広く拡散していく、ということです。もっとわかりやすく言えば、資本の利益に駆り立てられているとき、人間は、異常に速く、世界の隅々にまで移動していくのです。このことが、新型コロナウイルスの拡散がたいへん速かった原因になっています。14世紀のペストがユーラシア大陸の全体に広がったように、資本主義など未発達でも感染症は流行するのですが、今回のウイルスが瞬く間に世界中に行き渡ったのは、明らかに、私たちがグローバル資本主義の時代を生きているからです。もっと具体的に言えば、中国共産党の『一帯一路』の構想で、中国とヨーロッパのつながりが強くなっていたことが、アダになったと推測されます」 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 打開の財源―大企業内部留保の活用を

駒澤大学 小栗 崇資

おぐり・たかし 1950生まれ。駒澤大学教授(経営学・会計学)。著書に『内部留保の研究』(共著、2015)、『多国籍企業・グローバル企業と日本経済』(共著、19年)など多数。

 新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面している。非常事態宣言が出され外出自粛が要請されているが、それに対応した生活保障(雇用保障や休業補償など)については十分な対策がなされていない。感染爆発を防ぎ社会の崩壊を防ぐには、自粛要請と生活保障が一体となって行われねばならない。直接の現金給付等による国民の生活支援が緊急に求められるが、国民生活の危機を打開する抜本的な対策を行うためには多大な財源が必要となる。当面は、今年度予算を緊急対策に集中して組み替えをし、国債を発行するなどして資金を捻出したうえで、それを最終的に負担するための新たな財源を構想することが必要となっている。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用である。日本企業(全法人280万社)の内部留保は463兆円(2018年度)に達しており、その活用について提案したい。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 従順の強制は許されない

命と自由をともに守ろう

専修大学ジャーナリズム学科教授(言論法)山田 健太

やまだ・けんた 1959年生まれ。日本ペンクラブ専務理事。専門は言論法。青山学院大卒、2012年4月から現職。著書に 『沖縄報道』『法とジャーナリズム』『見張塔からずっと』『言論の自由』など多数。

 潮目が変わった、と言うべきだろう。2週間前までは自粛しなくても大丈夫と外出していた人も、つい数日前までは布マスクに文句を言っていた人たちまでもが、一気に、世の中は「一刻も早い緊急事態宣言発令を」、そして「この国難の時に政府批判して何になる」という状況に変わったからだ。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 「医療崩壊」は自民党政治の必然の結果だ

(一社)全国労働安全衛生研究会代表・ 甲府市議会議員 山田 厚

感染症は抑制されずむしろ広がっている

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、「医療崩壊」が始まっている。新型コロナウイルスはきっかけにすぎない。この間の、自民党政権の医療行政の結果引き起こされている。
 まず、感染症の実態はどうなっているのか?
 1999年に感染症予防法もできた。さまざまな医薬品も開発され、感染症の話題もないから、感染症は抑制されていると思うのが普通だ。しかし実態は違う。感染症はむしろ増えているのだ。 続きを読む


コロナ感染症 医療も生活も崩壊の危機

安倍政権打倒! 命を最優先する政治を

『日本の進路』編集部

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者が世界中で261万人、死者も18万人を超え(4月23日午前現在)、しかも増加テンポは速まっている。少なくとも第2次世界大戦後最大の大惨事である。世界経済も、金融危機以来立ち直れず危機を深めてきていたが、コロナ・ショックで局面は変わった。IMF(国際通貨基金)は第2次大戦につながった1929年以来の大恐慌突入を警告する。各国で貧困層を中心に生活苦から暴動が頻発し始めるなど国内対立も、米中対立など国際関係も激化している。世界は激変している。 続きを読む


安保条約60年の現実

 今年、現行の日米安全保障条約締結から60年を迎えた。安倍首相は調印記念日の1月19日、「100年先まで、日米同盟を堅牢に守り、強くしていこう」と述べた。いつまで日本はアメリカに縛られるのか。「日米同盟基軸論」は野党の中にも浸透している。
 4月28日は、1951年9月8日に締結されたサンフランシスコ講和条約と旧日米安保条約の発効記念日である。この日、沖縄などが日本から切り離され米軍の直接支配下に置かれた。また、米軍は「合法的」に日本全土どこにでも駐留する特権を手にした。さらに「行政協定」(今日の「地位協定」)で日本の法律に縛られない特権も手に入れた。
 沖縄県民はこの日を「屈辱の日」と呼んでいるが、まさに民族的屈辱の歴史であり、今も日本の現実である。この機会に日米安保同盟を検証する。(編集部)


[安保条約60年の現実] 日米戦争同盟へと変貌する日米安保

戦争のできる国を目指す安倍政権

ジャーナリスト 吉田 敏浩

 今年は安保改定から60年の節目にあたるが、安倍政権のもとアメリカに追従しながら「戦争のできる国」への動きが加速している。安倍政権は違憲である集団的自衛権の行使を強引な解釈改憲によって容認した。専守防衛の原則を捨て、集団的自衛権の行使などにより、自衛隊が海外で米軍の補完戦力として参戦できるための安保法制つまり戦争法制も整備した。憲法9条を変えて自衛隊を明記し、実質的に戦争ができる軍隊に変えることも企てている。
 米日同盟を米英同盟のような共に〝血を流す〟同盟へと変えたいアメリカの戦略と、それに呼応して軍事大国化を目指す安倍政権の思惑が合致している。軍事予算(防衛予算)は増え続け、アメリカからの武器購入も増加し、自衛隊の軍備は拡大する一方だ。 続きを読む


[安保条約60年の現実] 日米安保体制下の沖縄に生きて

広範な国民連合顧問
元沖縄県教職員組合委員長 石川 元平

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 去る3月9日の「琉球新報」は1面~2面にかけて、「沖縄は国連の『信託統治』であった」という誤認についての記事を大きく報じた。2014年に刊行され、15年に読売・吉野作造賞を受賞した獨協大学教授の福永文夫氏による『日本占領史 1945―1952 東京・ワシントン・沖縄』の初版本や、2019年に直木賞を受賞した真藤順丈氏の沖縄を題材にした小説『宝島』などにある誤認を挙げている。 続きを読む


[安保条約60年の現実] 石垣島・陸自ミサイル基地に反対する

自衛隊配備問題に揺れる島

沖縄県議会議員 次呂久 成崇

はじめに

 沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設計画をめぐり、名護市辺野古の沿岸部を埋め立てることについて賛否を問う県民投票が2019年2月24日に投開票され、反対票が投票総数の7割を超えた。玉城デニー氏が18年の県知事選で当選した際に集めた過去最多の得票をも超えており、辺野古への移設に反対する県民の強い「民意」を改めて示したこの県民投票は全国のマスコミでも取り上げられた。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 観光が主産業の沖縄 「無給の休職を募る状況」

連合沖縄 組合アンケートもとに県へ申し入れ

富川副知事に申し入れる東盛会長(右)

富川副知事に申し入れる東盛会長(右)

 県外からの観光客が1000万人を超え、観光産業は沖縄経済の中心を担ってきたが今回のコロナショックで大打撃となっている。
 連合沖縄(日本労働組合総連合会 沖縄県連合会)の東盛政行会長は3月19日、県庁に富川盛武副知事を訪ね、新型コロナウイルス感染症対策に関し、休業補償の拡充や無利子の融資などあらゆる支援策の実施や手続きを簡素化することなどを求める要請書を手渡し、県の緊急かつ強力な対策を申し入れた。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 北海道での新型コロナウイルスの影響と課題

道民に寄り添わない鈴木知事、官邸の露払いか

北海道議会議員 北口 雄幸

知事の初動対応で混乱拡大

 北海道内で最初の感染者が確認されたのは2月14日。次の確認は2月18日であり、この時鈴木直道北海道知事は道内出張中であり、先に発表したのは札幌市であった。そして北海道の発表の仕方が、その感染者の居住地や感染経路などを一切発表しなかったことから、道民の不安はさらに増幅されたのである。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 感染症拡大――「日本の底力」失う危機

産別、ナショナルセンターが役割発揮を

安河内 賢弘・JAM会長 に聞く

■昨年段階ですでに景況感は悪化―本当の危機はこれから

 昨年4月、加盟組合に行った景況調査で、景況感が大幅に悪化していました。続く9月の調査ではさらに景況感は悪化しました。
 これには10月の消費増税の影響が入っていません。米中の貿易摩擦の影響で、中国経済が減速した点が大きいと思います。そして、それに消費増税が追い討ちをかけました。さらにそれが今回の感染症の世界的拡大でさらに落ち込むのではないかと見ています。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 「国民の命と暮らし」を守る政治を

パンデミックと経済危機、緊急対処が迫られる

『日本の進路』編集部

 新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)に。公衆安全上の危機にとどまらず、100年に一度といわれた2008年の金融危機を上回る世界危機が避けられないと見られる。国民の生命と安全、健康を守り、急ブレーキがかかった経済混乱、間近となったバブル崩壊と引き起こされる恐慌から国民生活を守るために全力を挙げなくてはならない。
 しかし、こうした危機の時ほど、貧困層を中心に国民に犠牲がしわ寄せされ、大企業や大銀行が肥え太る。「危機対策」で覆い隠されるが、危機の時ほど利害対立は最も熾烈となる。 続きを読む