<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)
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アジアサイエンスパーク協会名誉会長。元神奈川県副知事
久保 孝雄
世界史的大転換の時代始まる
いま世界は歴史的大転換の時代に際会している。2014年に中国のGDP(17兆6120億ドル、PPPベース、以下同じ)がアメリカ(17兆4180億ドル)を抜き、新興国G7のGDP(38兆1410億ドル)が先進国G7(34兆7400億ドル)を大きく上回ったこと、さらに、アジアのGDP(23兆ドル)が、EU(18兆ドル)やアメリカ(17兆ドル)をはるかに凌駕したことなどが世界史的大転換への重要なメルクマールの一つになった(IMF:Economic Outlook Databook 2015。PPP=購買力平価)。 続きを読む




米国では、2015年11月5日の大統領の署名意思表示の90日後の2016年2月4日に署名、それから政府が105日かけてTPPの影響試算を出し、それに基づいて議会で5月中旬から議論する手続きと日程が明示されているのに、我が国では、TPP協定の詳細も国民に示さず、影響試算が出される前に、「国内対策」だけが先に示され、しかも、関連団体から要望を聞いたとしながら、対策も半年以上前に決まっていた。政府が考えている以上のセーフティネット政策の必要性を要請項目に挙げた団体には、政権党の幹部が激怒し、役所を通じて、政府が考えている以上のことを要請するなと事前に要請事項の削除を迫った。
いま、朝鮮半島では、国連安保理のかつてない朝鮮制裁決議採択、さらに実戦さながらの史上最大規模の米韓合同軍事演習がまもなく始まるなど、一触即発の緊張が高まっている。東北アジアの緊張打開に、いま、何が求められるか、国際問題に詳しい浅井基文さんに緊急にご投稿いただいた。

