「知り・つながり・とめる」合言葉に

私たち市民は連帯して「国家のための戦争」を阻止する

ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会事務局長 新垣 邦雄

8月11日の「戦争準備NO!」集会で司会を務めた新垣邦雄さん(壇上左端)

 岸田政権下、「台湾有事」を口実に全国で自衛隊の基地強化・拡大の動きが強まっている。こうしたなか8月、沖縄で「戦争準備NO!」をスローガンに西日本を中心に全国各地から基地強化・拡大に反対する住民団体が一堂に結集した集会が開催された。9月には自衛隊が大規模な「防衛複合拠点」の開設などを計画している広島県呉市で「戦争止めよう西日本連帯交流会」が開かれた。すでに「沖縄・九州・西日本ネットワーク」(仮称)の発足も決まっている。こうした取り組みを中心的に担っている新垣邦雄氏に聞いた。

全国の情報共有し、
統一した行動を

 一連の行動は昨年11月に那覇市・奥武山公園で開催した県民集会がきっかけでした。集会直後に開いた全国交流会では、米軍や自衛隊基地の新設や強化について心配していることが、各地で現実化していくことへの危機感が多くの方々から示されました。
 一昨年11月に沖縄県うるま市で陸自の勝連分屯地へのミサイル部隊の配備に反対する「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」が発足し、昨年8月には陸自大分分屯地における大型弾薬庫(敷戸弾薬庫)の建設に反対する市民が「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」を立ち上げました。そして、今年4月には京都の陸上自衛隊祝園分屯地での弾薬庫新設に反対する「京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」も発足するなど、この1年間ぐらいの間に全国各地で基地強化・拡大に反対する市民・住民組織がどんどん出てきました。
 よく「沖縄が戦場になる」とも言われていますが、沖縄のみならず、西日本中心に「全国が戦場になる」という危機感を全国の皆さんが共通の認識として持ち始めたと思っています。
 こうした各地の基地強化・拡大の動きを全国紙はほとんど取り上げません。各地で個別的に対応するだけでは限界です。各地の動きについて、みんなで情報共有をしながら、全国一体となった行動をしようと皆で話し合っているところです。

西日本が「台湾有事」の
前線に

 例えば、大分の敷戸弾薬庫の周辺は大学や小中学校、病院があり、周囲3キロは約4万人の市民が生活しています。京都の祝園分屯地も関西文化学術研究都市にあり、周囲は住宅地や大学、研究所などが集まっています。
 基地があるがゆえに標的にされ、多くの住民が犠牲になる事態が沖縄だけでなく、全国各地で起きかねない状況です。
 西日本、特に九州では急ピッチで基地の強化・拡大が進められようとしています。まさに沖縄と九州がつながる形で「台湾有事の正面装備」に立たされようとしています。
 ですから、九州防衛局に対する行動も考えなくてはいけないと思っているところです。

台湾問題に介入するな

 沖縄で開いた集会の「共同声明」(別掲)でも国際連帯の重要性を強調しています。
 今、自民党総裁選が行われ、みんな「日本を守る」と言っています。つまり、「台湾有事」の際に、「中国から日本を守る」ということでしょう。
 しかし、言われている「台湾有事」というのは、中国と台湾の問題です。日中共同声明では「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府である」「台湾は中国の不可分の領土である」と明記しています。つまり、これは中国の国内問題であって、米軍や日本の自衛隊が介入することは、国際法に照らせば侵略行為に当たるとジャーナリストの田岡俊次氏は指摘しています。私もそう思います。よその国の内政問題に首を突っ込んで、その火の粉を浴びて、日中戦争という羽目になってはいけないということを、沖縄、全国の皆さんは気づかないといけないと思っています。
 沖縄は以前から中国や台湾、韓国などと人的ネットワークがあって、国際連帯、東アジアの平和を訴える上でとても大事なポジションに位置していると思います。
 私たちは「知り・つながり・とめる」をキャッチコピーにしています。全国各地の基地の強化・拡大の動きをまずは「知る」。そして、反対する各地の運動と「つながる」。最後に全国一体となってこの戦争への動きを「とめる」。全国の皆さん、共に頑張りましょう。